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KL2021・OD・166
台風の接近が予想される場合、災害に巻き込まれる可能性があるため、イベントなどが中止になることがあります。
野球のように雨天中止が頻繁に発生する興行ならば混乱はありませんが、屋内でのライブなど、中止となることを想定していないイベントが仮に台風やその他災害によって中止になった場合、その後どうなるのかよくわからず、混乱してしまいます。
チケット購入者への返金や、出演者に支払われる予定だった出演料の支払い義務は発生するのでしょうか。法律事務所あすかの冨本和男弁護士にお伺いしました。
「結論からいいますと、特約がない場合、チケット購入者は主催者に対してチケット代金の返還を請求することができると考えます。
ライブの主催者は、予定の日時に指定の場所でアーティストのライブをチケット購入者が鑑賞できるようにする義務を負っており、これに対し、チケット購入者はチケット代金を支払う義務を負っています。
要するに、鑑賞できるようにする義務とチケット代金を支払う義務とは対価関係にあり、ライブ主催者とチケット購入者は双方が互いに対価的な債務を負っているということができます(双務契約)。
このように契約当事者双方が対価的な債務を負っている場合で、当事者双方の責任でない事情によって一方当事者が債務を履行することができなくなった場合、公平の見地から、他方当事者の債務も消滅するとされています(民法536条1項 危険負担の債務者主義)。
危険負担というのは、契約当事者双方が対価的な債務を負っている場合において、一方の債務だけが債務者の責任でない事情によって履行不能となった場合に、他方の債務をどう扱うかという問題です。
一方の債務が消滅した危険(リスク)を、債務者(消滅した債務についての)と債権者(消滅した債務についての)のどちらが負担するかという問題です。
台風は誰の責任でもありませんから、台風が原因で主催者の債務が履行不能となった場合、チケット購入者の代金支払い債務も消滅することになるわけです。
そして、チケット購入者が既に代金を支払っていた場合、主催者の不当利得となりますので、チケット購入者は、主催者に対してチケット代金の返還を請求できることになります」(冨本弁護士)
「結論からいいますと、特約がない場合、出演者は出演料を請求することはできないと考えます。
出演者は、指定の日時場所でライブを行う義務を負っており、これに対し、主催者は出演料を支払う義務を負っています。出演者と主催者の契約関係も、双方が対価的な債務を負う双務契約です。
やはり、台風は誰の責任でもありませんから、台風が原因で出演者の債務が履行不能となった場合、主催者の出演料支払い債務も消滅することになります(民法536条1項 危険負担の債務者主義)」(冨本弁護士)
チケット購入者への返金義務は認められる可能性が高く、逆に出演者への出演料は請求することは難しいようです。イベントが台風に遭遇しないことを、願うしかなさそうですね……。