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給料が未払いの際に回収する6つの方法と時効期間を解説

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2020.5.1
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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会社からの給料が未払いの際はさまざまな回収方法がありますので、状況に応じて適切に判断対応するようにしましょう。また回収にあたっては時効期間もあるため、速やかに対応するよう注意してください。

 

この記事では、給料未払いの際の回収方法、会社が経営不況・倒産しそうな場合の対応、時効期間などについて解説します。

 

給料未払い・不当な減額は違法行為

給料は労働に対する対価ですが、これを会社の一方的な都合で支払わなかったり減額したりすることは許されません。もし、このような行為があれば、会社の対応は違法の可能性が高いです。

会社都合での給料未払いは違法行為

会社の業績悪化や社員への個人的な感情など、このような会社都合による給料未払いは、契約違反であると共に労働基準法にも抵触します。

 

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

引用元:労働基準法第24条

このような労基法違反については罰則の対象にもなります。具体的には30万円以下の罰金刑が予定されています。

会社都合で給料を減額するのも違法行為

会社都合で一方的に給料を減額することも同様に労働基準法に抵触します。業績が悪化している場合や、会社側が社員のパフォーマンスを悪いと感じている場合など、会社側に何らかの事情や感情があるとしても、契約どおり給料を支払うことは会社の義務であり、この義務を果たさない行為は違法行為です。

 

会社が社員の給料を減額するためには、労働者との間で明確に合意するか、就業規則を変更するなど、正当な手続きを履践した上で実施されなければなりません。しかし、これらの手続きの正当性も厳格に判断されるものであり、会社側の都合のみで形式的に合意をとってもその合意は無効となる可能性が高いですし、就業規則の変更も有効性を否定される可能性が高いです。

 

したがって、会社が、一方的な都合で給料を支払わなかったり減額したりということは、法的には極めて難しいとお考えください。

未払い給料を回収する6つの方法

実際に給料未払いが起きてしまったら、どのような方法で未払い給料の回収を進めたらいいのでしょうか。未払い給料を回収する方法として以下のような方法が考えられます。

①会社と協議する

まずは、会社と給料の支払いについて協議することから始めましょう。会社としても給料は確実に支払わなければならないことは、当然認識しているはずです。支払いがされない場合、それが正当な理由となるかどうかは別として、何かしらの理由があるのだと思われます。

 

そのため、まず会社に給料の支払いがないことを伝え、支払いがない理由、支払いの見込み等について説明を求めることが先決でしょう。結果、未払いが一時的なものに留まるのであれば、その間様子を見るという選択もあるでしょうし、支払いの見込みが立たないのであれば、別の方策を講じることも検討するべきでしょう。

②会社に書面やEmailで請求する

上記の協議の延長ではありますが、会社に支払いがないことを伝えたことや、支払いを求めたことを形で残したいのであれば、書面やEmailで支払いを求めることも検討しましょう。このように明確な支払い要求があれば、会社も無視することはできないとして、何かしらの対応がされることもあるかもしれません。

 

もし、より強い姿勢で臨みたいのであれば、会社に対して内容証明郵便で支払いを求めることも検討してもよいかもしれません。内容証明郵便は、それ自体、特別な効力があるものではなく、法的な意味合いは書面やEmailでの督促と変わりません。ただ内容証明郵便は、書面を送付した事実と送付した内容について郵便局に記録されますので、後日、会社から「そのような書面は受け取っていない」とはぐらかされるリスクを排除できます。

 

また内容証明郵便は、法的な手続きに入る準備行為として行われることも多いので、例えば弁護士名義での内容証明郵便を受け取った会社側において、訴訟リスクを考慮して任意の支払いに応じるということもあるかもしれません。

③民事調停・ADR(裁判外紛争解決手続)を利用する

民事調停は裁判所の調停員を介して協議により紛争解決を目指す手続きです。裁判所といえば裁判の印象が強いかもしれませんが、民事調停は当事者同士の話合いでトラブルを解決します。

 

また、裁判所以外で話合いにより解決を目指す手続き(ADR)としては、労働局の実施するあっせん手続きや弁護士会が運営する紛争解決センターの仲裁手続きなどがあり得ます。

 

裁判所が当事者間の話合いに応じない場合には、これら公的・準公的な協議の場を利用して、解決する方法もあり得ます。

④裁判所の支払督促を申し立てる

支払督促という言葉から、手紙や電話、メールなどを想像するかもしれませんが、これは裁判所の法的な手続きです。具体的には、所管の簡易裁判所に対し、会社に対する請求内容を記載した支払督促申立書を提出し、裁判所のチェックを受けた上で、相手に発送することになります。

 

裁判所からの支払督促書面が相手方に送達され、相手方が2週間以内に異議申し立てをしない場合、申立人は支払督促について仮執行宣言を付すように追加で申し立てることが可能となります。この申立てについても、相手方が2週間以内に異議を述べなければ、支払督促の内容が法的に確定し、申立人は相手方に対して強制執行等の措置を取ることができるようになります。

 

このように支払督促は相手方がこれを無視し続ければ、申立人の主張する通りの権利が確定してしまう強力な手続です。そのため、相手方としても督促を無視することができず、何かしらの対応が期待されます。なお、相手方が支払督促に異議を述べた場合には、通常訴訟に移行しますので、相手方が異議を述べる可能性が高い場合には、最初から通常訴訟を提起した方がベターです。

⑤簡易裁判所の少額訴訟

簡易裁判所には、通常の訴訟とは別に少額訴訟という手続きがあります。簡易裁判所は請求額が140万円以下の事件を取り扱う場所ですが、請求額が更に低く60万円以下の場合には、少額訴訟という非常に簡易的な裁判手続きを利用することが可能です。

 

少額訴訟は、基本的に1回の期日で判決に至る非常にスピーディな訴訟手続きであり、少額債権を迅速に回収するときに有用な手続きと言えます(そして、この判決が確定すれば原告は被告に対して強制執行手続きが可能です)。

 

もっとも、少額訴訟を行うためには、相手方が手続きに同意することが必要であり、相手が少額訴訟で行うことに異議を述べた場合には通常訴訟に移行します。そのため、相手が少額訴訟に同意しない場合には、最初から通常訴訟を提起する方がベターです。

⑥労働審判、民事訴訟

上記はいずれも、相手代理人が事実関係を争わない場合に有用な簡易・迅速な手続きですが、会社側が争う姿勢を見せる場合には、裁判所の裁定を求める手続きを検討するべきでしょう。具体的には、労働問題に特化した調停、裁定手続きである労働審判手続きや通常の民事訴訟手続きがこれに当たります。

 

労働審判手続きは、裁判官を構成員に含む労働審判委員会が労働問題について審議する手続きであり、民事訴訟手続きに比べて迅速な処理がされます。労働審判では、まずは話合いでの解決を目指しつつ、これが難しい場合は裁判所から心証に基づく一定の審判が下されます。この審判に異議があれば通常訴訟に移行しますが、労働審判の決定が通常訴訟で大きく覆ることは少ないです。

 

他方、民事訴訟は当事者が主張・立証を尽くす重厚な手続きです。訴訟手続きでも和解を試みることはありますが、基本的には判決も見据えて手続きが積み重ねられていきますので、時間がかかります。

 

労働審判での調停・審判の内容や民事裁判の判決が確定した場合、債権者側はこれを債務名義として強制執行などの手段を用いて回収が可能です。

経営不況・倒産しそうな会社から回収できる?

未払い給料の回収において問題になるのが、経営状況が悪化している会社や倒産しそうな会社からでも回収できるかどうかです。ここでは経営状況が悪化しており、給料に充てる資産が乏しい会社からの回収可能性について説明します。

経営不況でも会社に支払い義務はある

当然ですが、経営状況が悪化している会社や倒産しそうな会社であっても、給料の支払い義務はあります。会社の経営状況が悪化しても、この支払義務が当然に消滅したり、減少したりということはありません。

 

しかし、会社が法的な倒産手続きに入った場合には、給与債権も倒産手続きに服することになり、一定の範囲を超えて請求することができなくなる可能性があります。また会社が完全に破綻しており、資金がまったくない場合には、権利があったとしても回収は困難です(無い袖は振れないということです)。

【倒産してしまったら】未払賃金立替払制度を利用する

会社に未払い給料の支払いを求めるとしても、上記のとおり、会社が倒産した場合や事実上破綻している場合には、権利があっても請求ができない可能性があります。このような場合は、公的な制度を利用してはいかがでしょうか。

 

会社が倒産して給料の支払いが受けられなかった場合は、労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構が実施する未払賃金立替払制度の利用が可能です。

 

未払賃金立替払制度の利用により、同機構から未払い給料の8割が立て替えて支給されます(但し、退職時の年齢に応じて88万円~296万円の上限額があります)。このように立て替えられた賃金については、独立行政法人労働者健康安全機構が給料の支払義務がある会社に対して求償を行います。

 

会社の倒産によって給料が未払いの場合は、このような公的な制度の活用も検討しましょう。

給料未払いの時効は2年もしくは3年

未払給料債権の消滅時効は、従前は労働基準法で2年とされており、支払期日から2年間は消滅することはありませんでした。

 

しかし2020年4月の民法改正に伴い、このような給与債権の消滅時効は当面の間は3年間とされることになりました。そのため2020年4月1日以降に支払期日の到来する給与債権については、消滅時効は3年となり、支払期日から3年間は消滅することはありません(支払期日が2020年4月1日より前の給与債権については、従前どおり2年の消滅時効とされますので注意しましょう)。

まとめ

昨今の状況下で経営難に陥っている会社も少なくないと思われますが、経営難を理由に社員への給料未払いが許されるわけではありません。給料は社員の仕事に対する契約上の対価であり、正当な理由なくこれが支払われない場合は、労働者としても明確な権利主張をすべき場合も多いと思われます。

 

なお、実際に権利を行使するに当たっては、会社の状況を踏まえた個別的な判断を要することも少なくありませんので、独自に判断しかねる場合は弁護士への相談も検討してみてください。

 

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は債権回収弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債権回収弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。


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