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公開日:2021.8.18  更新日:2021.10.22

給料未払いの相談先は?労働基準監督署・弁護士・司法書士等の各メリット・デメリット

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ゆら総合法律事務所
阿部由羅 弁護士
監修記事
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会社からの給料が未払いとなった場合、早めに行政機関や専門業者に相談することが大切です。

給料未払いの相談先としては、主に労働基準監督署・弁護士・司法書士・社会保険労務士などが考えられます。

各相談先には、それぞれメリットとデメリットがあるので、ご自身の状況に合わせて適切な相談先を選択してください。

この記事では、給料未払いの相談先と、各相談先のメリット・デメリットなどを解説します。

 

給料未払いの主な相談先は?

勤務先から給料(残業代を含む)が正しく支払われなかった場合、主な相談先としては、労働基準監督署(都道府県労働局)・司法書士・社会保険労務士・弁護士などが考えられます。

労働基準監督署(または都道府県労働局)

労働基準監督署は、労働基準法を中心とした労働法令を所管する、国の出先機関です。

全国の市区町村に設置されており、労働者からの給料未払いに関する相談を受け付けています。

各地域の労働基準監督署の所在地は、以下の厚生労働省HPから検索してください。

参考:全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

また、各都道府県労働局にも「総合労働相談センター」が設置されており、給料未払いに関する労働者からの相談を受け付けています。

都道府県労働局は、労働基準監督署に対する上位機関です。

給料未払いの事実が疑われる場合には、都道府県労働局から、所轄の労働基準監督署に取り次いでもらえます。

近くに都道府県労働局がある方は、一度相談してみるとよいでしょう。

都道府県労働局・労働基準監督署の総合労働センターの所在地は、以下の厚生労働省HPから検索できます。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

司法書士

司法書士の中でも、法務大臣による認定を受けた「認定司法書士」に限り、給料未払いが発生している法律事件を取り扱うことが認められています(司法書士法3条1項6号、7号)。

地域の司法書士会に相談すれば、給料未払い事件を取り扱うことのできる司法書士を紹介してもらえます。

参考:日本司法書士会連合会HP

ただし、認定司法書士が取り扱うことのできる業務には、請求額などの観点から制限があることに注意が必要です。

社会保険労務士

社会保険労務士のうち、一定の試験に合格した「特定社会保険労務士」には、給料未払いに関する紛争解決手続きの代理を依頼することができます(社会保険労務士法2条1項1号の4~1号の6、2項)。

各都道府県の社会保険労務士会に相談すれば、特定社会保険労務士の紹介を受けられます。

参考:全国社会保険労務士会連合会HP

ただし、特定社会保険労務士が取り扱うことのできる業務についても、かなり狭い範囲に限定されている点に注意しましょう。

認定司法書士・特定社会保険労務士の業務範囲については、後で詳しく解説します。

弁護士

弁護士は、給料未払いに関する紛争解決全般について、相談・依頼を受け付けています。

法律事務所のホームページなどを参考にして、労働者側で労働問題の解決に取り組んでいる弁護士を探すとよいでしょう。

また、各都道府県の弁護士会や法テラスに相談すれば、労働問題を取り扱う弁護士の紹介を受けることができます。

参考:日本弁護士連合会HP法テラスHP

労働基準監督署に給料未払いを相談するメリット・デメリット

給料未払いに関する各種相談先には、それぞれメリット・デメリットが存在します。

給料未払いの相談を検討している労働者の方は、ご自身が置かれた状況に合わせて、適切な相談先を選択してください。

まず、労働基準監督署に給料未払いを相談するメリット・デメリットを解説します。

いずれの面でも、労働基準監督署が「公的機関」「監督官庁」であることの長所・短所が表れているといえるでしょう。

労働基準監督署に相談するメリット

①相談料は無料

労働基準監督署は公的機関であり、労働者からの申告・相談について、相談料等を設けていません。

そのため、専門業者に依頼する場合とは異なり、費用をかけずに相談できるメリットがあります。

②会社全体の労務環境が改善される可能性がある

労働基準法違反等の事実が疑われる場合、労働基準監督署が事業場への臨検監督を行います。

労働基準監督署による臨検監督は、個別の労働紛争の解決ではなく、事業場全体における違法状態の是正を目的としています。

そのため、労働基準監督署への申告が正しく行われれば、事業場全体の労働条件が改善される可能性が高いでしょう。

労働基準監督署に相談するデメリット

①間接的な監督指導が行われるにとどまる

労働基準監督署による臨検監督のメリットは、裏を返せば、そのまま労働者にとってのデメリットとも捉えられます。

つまり労働基準監督署は、個々の労働者を直接救済してくれるわけではなく、あくまでも監督権限を行使して間接的に労働者を救済するに過ぎないのです。

したがって、労働基準監督署に相談したとしても、すでに発生している給料未払いの直接的な解決には繋がりにくいデメリットがあります。

②きめ細かいサポートは受けられない

労働基準監督署は、申告を行った労働者の代理人ではないので、給料未払いについて受けられるサポートには限界があります。

たとえば裁判手続きの紹介を受けることはできますが、具体的な裁判手続きの進め方について、手取り足取り教えてくれるわけではありません。

そのほか、給料未払いの解決に当たってわからないことがあっても、あくまでも客観的な立場からの一般論ベースで助言を受けられるにとどまります。

給料未払いの問題についてよりきめ細かいサポートを受けたい場合には、労働基準監督署ではなく、各種専門業者に相談した方がよいでしょう。

司法書士に給料未払いを相談するメリット・デメリット

次に、司法書士に給料未払いを相談するメリット・デメリットを解説します。

司法書士には、法律の専門家として一定の手続きをサポートしてもらえる反面、業務範囲に制限があることがネックとなります。

司法書士に相談するメリット

①民事調停・少額訴訟などの代理を依頼できる

法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」であれば、簡易裁判所で行われる民事調停や少額訴訟の代理を依頼できます。

また通常訴訟であっても、管轄が簡易裁判所であれば、やはり認定司法書士に代理を依頼することが可能です。

これらの裁判手続きはとっつきにくいため、認定司法書士に依頼することでスムーズに対応できるメリットがあります。

②裁判手続きの書面作成もサポートしてもらえる

上記の各種裁判手続きでは、労働者側の主張に説得力を持たせるため、裁判所に提出する書面を丁寧に作成する必要があります。

認定司法書士は、書面作成についても全面的にサポートしてくれるので、労働者本人の負担は大きく軽減されるでしょう。

司法書士に相談するデメリット

①請求額に上限がある

認定司法書士が取り扱える給料未払い事件は、(1社あたりの)請求額が140万円以下のものに限られます。

請求額が140万円を超える場合には、認定司法書士は法律相談に応じることも認められていません(弁護士を紹介するなどの対応が必要になります)。

②労働審判の代理は依頼できない

認定司法書士が代理権を認められるのは、簡易裁判所で行われる手続きのみです。

給料未払いの問題については、労働審判が迅速な解決方法として役立つ場合もあります。

しかし、労働審判は常に地方裁判所で行われるため、認定司法書士に代理を依頼することはできないのです。

請求額が140万円を超える場合や、労働審判を利用したい場合には、認定司法書士ではなく弁護士に相談しましょう。

社会保険労務士に給料未払いを相談するメリット・デメリット

今度は、社会保険労務士に給料未払いを相談するメリット・デメリットを解説します。

社会保険労務士は、労働問題への専門特化の度合いが高い特徴がありますが、対応可能な業務範囲がかなり狭いのが難点です。

社会保険労務士に相談するメリット

①労働問題に特化した知識・実務経験を有している

社会保険労務士は、労働および社会保険の専門家です。

弁護士や司法書士が幅広い法律問題を取り扱うのに対して、社会保険労務士は労働・社会保険に関する業務のみを取り扱います。

その分、労働問題の取り扱いにかけている時間が長いため、豊富な知識や実務経験を基に労働者をサポートできるメリットがあります。

②ADRの代理を依頼できる

社会保険労務士は、「紛争解決手続代理業務試験」に合格することで、「特定社会保険労務士」として認められます。

特定社会保険労務士は、以下の「ADR」(Alternative Dispute Resolution、裁判外紛争解決)と呼ばれる手続きの代理を行うことができます。

  • 厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続き
  • 都道府県労働局によるあっせん、調停手続き
  • 都道府県労働委員会が行うあっせん手続き

ADRは、給料未払いに関する紛争を迅速に解決できる可能性があるため、社会保険労務士に代理を依頼するのも一つの選択肢でしょう。

社会保険労務士に相談するデメリット

①120万円を超える請求の場合、弁護士との共同受任が必要

厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続きを利用するケースで、請求額が120万円を超える場合には、弁護士との共同受任が必須となります(社会保険労務士法2条1項1号の6)。

この場合、依頼費用を弁護士・社会保険労務士の両方に支払わなければならず、労働者にとっての負担が大きくなってしまうでしょう。

なお都道府県労働局によるあっせんや調停、および都道府県労働委員会によるあっせんの各手続きについては、特定社会保険労務士が代理できる事件の請求額に制限はありません。

②ADR手続外で会社との事前交渉ができない

特定社会保険労務士は、ADRに関連する限り、勤務先の会社との間で和解交渉などを行うことができます(社会保険労務士法2条3項)。

しかし逆に言えば、ADR手続きが開始していない限り、社会保険労務士が労働者の代理人として勤務先の会社と交渉することは認められません。

ADR手続きを申し立てる前に、会社と事前交渉をしたい場合には、労働者自身で交渉に臨む必要があるので注意しましょう。

③ADR以外の手続きの代理は依頼できない

特定社会保険労務士に代理を依頼できるのは、前述の各種ADR手続きのみです。

それ以外の労働審判・民事調停・訴訟などについては、特定社会保険労務士に代理を依頼することはできません。

そのため、労働者が利用できる手続きの種類がかなり限定されてしまう点は、大きなデメリットでしょう。

弁護士に給料未払いを相談するメリット・デメリット

最後に、弁護士に給料未払いを相談するメリット・デメリットを解説します。

弁護士は、業務範囲に制限がないため、幅広く未払い給料の回収をサポートすることが可能です。

ネックとなるのは弁護士費用の点ですが、経済的に困難な方への配慮も存在します。

弁護士に相談するメリット

①請求額に上限がない

認定司法書士や特定社会保険労務士とは異なり、弁護士は法律事務全般を取り扱うことが認められており、業務範囲に制限がありません。

未払い給料の請求額についても、弁護士の取り扱い範囲に上限は存在せず、高額の請求を取り扱うことも可能です。

特に、請求額が140万円を超える可能性がある場合には、当初から弁護士に依頼するべきでしょう。

②会社との交渉を全面的に依頼できる

未払い給料をスムーズに支払ってもらうには、まずは会社との事前交渉を行うのが一般的です。

弁護士は、事前交渉の段階から前面に立って、労働者の代理人として会社に請求を行います。

交渉についてのアドバイスを受けられるだけでなく、交渉の代行も併せて依頼できるため、労働者にとって時間的・精神的負担の軽減に繋がります。

③あらゆる法的手続きに対応可能

弁護士は、訴訟・労働審判・ADRなど、給料未払いに関するあらゆる法的手続きに対応できます。

弁護士に依頼すれば、業務範囲との関係で、利用できる手続きが制限されてしまうようなことはありません。

したがって、迅速・適正な紛争解決を実現するため、状況に応じたベストな選択肢を採用することができるのです。

④代理人としてきめ細かいサポートを受けられる

弁護士は、監督官庁である労働基準監督署とは異なり、代理人として労働者をサポートします。

依頼者である労働者は、もしわからないことがあれば、弁護士に対して何でも質問することができます。

また、解決方針についての希望を弁護士に伝えれば、弁護士が労働者の希望に沿った解決を実現すべく動いてくれるでしょう。

このように、代理人としてきめ細かいサポートを受けられる点も、弁護士に依頼するメリットの一つです。

弁護士に相談するデメリット

弁護士に給料未払い問題の解決を依頼する場合、司法書士や社会保険労務士に比べると、依頼費用が割高になる傾向にあります。

経済的に困難な状況にある方は、弁護士費用を捻出することが難しいかもしれません。

しかし、初回相談は無料としている弁護士も多いため、まずは一度弁護士の法律相談を利用してみましょう。

弁護士によっては、着手金無料または分割払いに対応しており、経済的に困難な依頼者への配慮がなされているケースもあります。

また、収入・資産などについて一定の要件を満たす方は、法テラスの立替払制度(民事法律扶助)を利用することも可能です。

参考:法テラスHP

このように、弁護士費用の支払いを工面する方法はさまざま存在するので、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

給料未払いの相談先としては、主に労働基準監督署・司法書士・社会保険労務士・弁護士の4つが挙げられます。

しかし、労働基準監督署への相談は直接的な解決に繋がりにくく、司法書士・社会保険労務士には業務範囲の制限があります。

そのため、基本的には最初から弁護士に相談するのが、スムーズかつ安心でしょう。

弁護士に依頼すれば、請求額の上限を気にすることなく、給料未払い問題の解決策を幅広く検討することができます。

弁護士費用について懸念される方も多いと思いますが、弁護士が支払い方法について配慮してくれる場合もあります。

また、法テラスの立替払制度を利用することも一つの選択肢です。

勤務先からの給料未払いにお悩みの労働者の方は、お早めにお近くの弁護士までご相談ください。

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この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部由羅 (第二東京弁護士会)
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て、ゆら総合法律事務所代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

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編集部

本記事は債権回収弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債権回収弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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