取引先から入金がないとき、焦りを感じながらも、どう動けばいいかわからない方も多いはずです。
入金遅延は資金繰りの悪化や債権の消滅時効など、放置するほどリスクが大きくなります。
入金が確認できない原因は振込忘れのような単純なミスから、意図的な支払拒否まで、さまざまです。
いずれのケースも、早期に適切な手順で動くことが回収の可否を大きく左右します。
この記事では、未入金発生時の対処法と回収手順を解説しています。
また、回収が困難になった場合の貸倒損失の処理方法や、未入金を未然に防ぐ予防策についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
未入金とは?
未入金とは、商品やサービスを提供したにもかかわらず、支払期日を過ぎても代金が振り込まれていない状態のことです。
契約では支払義務が生じますが、未入金はその義務が守られていない状態を指します。
身近な例を挙げると、「月末払いの約束で商品を納品したのに、翌月になっても銀行口座に入金がない」といったケースが典型的です。
未入金と未収入金との違い
未入金は日常的なビジネス用語で、代金が払われていない状態を広く指しますが、未収入金は会計上の勘定科目です。
企業会計では、本業の取引から生じた債権は売掛金、本業以外の取引から生じた債権は未収入金として、別々に計上するよう定められています。
| 用語 | 種別 | 発生する取引 | 具体例 |
| 未入金 | ビジネス用語 | 本業・本業外を問わない | 商品代金・サービス料が未払い |
| 売掛金 | 会計上の勘定科目 | 本業(営業取引) | 自社商品の販売代金が未回収 |
| 未収入金 | 会計上の勘定科目 | 本業以外の取引 | 社用車・不要備品の売却代金が未回収 |
日常会話では未入金という言葉が、本業や本業以外の取引に関係なくビジネス用語として広く使われています。
一方、会計上では取引の種類によって売掛金・未収入金と区別されるため、混同しないよう注意してください。
取引先から入金がない場合のリスク
未入金を放置すると、主に2つのリスクが発生します。
- 資金繰りの悪化(黒字倒産)
- 債権の消滅時効(原則5年)
ひとつ目は資金繰りの悪化です。
売上帳簿が黒字でも手元の現金が不足すれば、仕入れ代金や給与が支払えなくなります。
いわゆる黒字倒産で、100万円規模の未入金が引き金になるケースも珍しくありません。
2つ目は債権の消滅です。
民法上の消滅時効は原則5年で、期間を過ぎて相手に援用されると法的な請求権を失います。
未入金が発覚した時点で、速やかに催促の手続きに入ることをおすすめします。
取引先から入金がない場合の対処法5つ

入金遅延が発生したとき、いきなり法的措置に踏み切るのは得策ではありません。
原因は振込忘れのような単純なミスから、意図的な支払拒否まで幅広く、相手との関係性を保ちながら段階的に対応するのが基本です。
費用対効果の高い手順から順番に実行していきましょう。
1. 請求書に誤りがないかなどを確認する
入金がないことに気づいたら、最初に確認すべきは相手側ではなく自社の請求書です。
金額の誤りや送付先メールアドレスの間違い、振込口座番号の記載ミスといった自社側のヒューマンエラーが原因で入金が滞るケースは少なくありません。
以下の点を確認してください。
- 請求書が相手の担当者に正しく届いているか
- 振込先の銀行名・支店名・口座番号に誤りがないか
- 請求金額や支払期日の記載が契約内容と一致しているか
自社に問題がないと確認できて初めて、相手への連絡に進みます。
2. 契約内容を確認する
請求書に問題がない場合は、相手と交わした契約書を確認します。
支払遅延時の違約金・契約解除条件・所有権の帰属など、債権回収を有利に進めるための条項が記載されている可能性があります。
特に確認しておきたいのは次の2点です。
期限の利益喪失条項
期限の利益喪失条項があれば、契約で定められた回数・金額の未入金が発生した時点で残代金を一括請求できます。
通常の分割払い契約では、相手には期日が来るまで支払わなくてよいという権利(期限の利益)があります。
ただし支払いが遅延した場合、期限の利益は即座に消滅し、全額を一括請求できる法的根拠となるのが期限の利益喪失条項です。
たとえば毎月10万円×10回払いの契約で、条項の発動条件を満たした場合、残り90万円を一括で請求できます。
所有権移転時期
所有権留保条項があれば、未払いが生じた時点で納品済みの商品を自社の所有物として引き揚げ、損害を補填できます。
代金が完済されるまで商品の所有権を自社に留めるという取り決めが所有権留保条項です。
たとえば高額な機械設備の契約書に、代金完済時に所有権が移転すると記載されていれば、未払い発生後に当該機械を回収して転売し、代金に充当することも可能です。
3. 先方の担当者に連絡する
自社に落ち度がなく契約内容も把握できたら、相手企業の担当者に電話またはメールで連絡します。
遅延の原因として多いのは、悪意のない以下のようなケースです。
- 振込忘れ
- 経理担当者のミス
- 社内稟議の遅れ
連絡するだけで支払いが完了することも少なくありません。
相手を責める表現は避け、以下のように丁寧な言い回しで伝えましょう。
| 〇月〇日がお支払期日となっておりましたが、本日時点で入金の確認が取れておりません。行き違いであれば大変恐縮ですが、ご確認をお願いいたします。 |
4. 必要に応じて商品やサービスの提供を停止する
担当者への連絡後も支払いがない場合、または相手の資金繰り悪化が疑われる場合は、契約内容を確認した上で、商品の納入やサービスの提供を停止できるか検討しましょう。
ただし、未払いがあるからといって当然にサービス等を停止できるとは限りません。
契約上の停止条件などを確認した上で対応する必要があります。
未入金のまま対策せず取引を継続すると売掛金が膨らみ続け、最終的な損害額が取り返しのつかない規模になるリスクがあります。
たとえばSaaS型のシステムで2ヵ月連続の未入金が続いた場合、相手のアカウントを一時停止してシステム利用を制限することで、支払いを促せます。
停止前には必ず事前通知を行い、支払いがあれば即座に再開できる体制を整えておきましょう。
5. 可能であれば相手の債権と相殺する
自社が相手に支払うべき買掛金など逆の債権がある場合、未入金(売掛金)と帳消しにする相殺が確実な回収手段のひとつです。
民法上、双方が同種の債権を持ち、双方の履行期が到来している等の一定の要件を満たせば、一方的な意思表示(相殺の通知)によって対当額まで債権を消滅させられます。
相手の同意や資金の有無に左右されない点が、相殺の大きなメリットです。
たとえば相手からの未入金が100万円あり、自社も相手に外注費60万円を支払う義務がある場合、内容証明郵便で相殺を通知すれば、差額の40万円のみを請求する形に整理できます。
未払い金を回収するための流れ5STEP
未払い金の回収は、穏便な任意交渉から段階的に進めるのが基本です。
いきなり強硬な手段に出ると時間・費用がかかるだけでなく、取引先との関係も完全に崩れます。
費用対効果が高く、関係悪化を防ぎやすい手順から順番に実行していきましょう。
STEP1:電話やメールなどで請求をする
最初のアクションは、先方の担当者への電話またはメールによる丁寧な催促です。
入金遅れの多くは、経理の手続き漏れや請求書の紛失といった事務的なミスが原因です。
柔らかいトーンで通知するだけで即座に解決するケースも少なくありません。
以下に回数別の催促メール文例を紹介するので参考にしてください。
催促メールの文例:1回目
1回目の催促は、相手に悪意がないことを前提とした丁寧な文面で送ります。
いきなり強い言葉で請求すると、単に忘れていただけの相手との関係がギクシャクし、今後の取引に支障をきたす恐れがあるからです。
相手の顔を立てる表現を意識しましょう。
| 件名:請求書番号XXXXX-XX入金のご確認をお願いいたします |
| 株式会社〇〇〇〇 〇〇事業部 〇〇〇〇様 大変お世話になっております。 株式会社〇〇〇〇の〇〇です。 8月末にお送りした請求書につきまして、10月10日現在ご入金を確認することができておりません。 何らかの手違いかと存じます。改めてご確認くださいますよう、お願い申し上げます。 請求書番号:XXXXX-XX お支払い期日:2024年9月31日 念のため、改めて請求書をメールに添付いたしますので、ご確認くださいませ。 このメールと行き違いですでにご入金いただいている際は、ご容赦願います。 その場合は、お手数ですがその旨をご一報いただけますと幸いです。 よろしくお願いいたします。 |
催促メールの文例:2回目以降
2回目以降も、相手への配慮を保ちながらも前回連絡済みであることを明示し、支払状況の回答を具体的に求めます。
柔らかいトーンを維持しながらも、期日や請求書番号を明記することで、相手に対応を促す圧力を自然にかけられます。
| 件名:【再送】請求書番号XXXXX-XX入金のご確認 |
| 株式会社〇〇〇〇 〇〇事業部 〇〇〇〇様 大変お世話になっております。 株式会社〇〇〇〇の〇〇です。 度々のお願いとなり誠に恐れ入ります。 8月末にお送りした請求書につきまして、現在もご入金を確認することができておりません。 すでに10月10日にも、ご確認のお願いをいたしております。ご状況はいかがでしょうか。 請求書番号:XXXXX-XX お支払い期日:2024年9月31日 本メールと行き違いでご入金いただいている際は、申し訳ございません。 念のため、前回のメールの内容を再度掲載いたします。 <前回のメール内容> お手数をおかけいたしますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。 |
STEP2:内容証明郵便を送付する
電話やメールでの催促に応じない場合は、内容証明郵便で督促状を送ります。
内容証明郵便は、以下の情報を郵便局が公的に証明する文書です。
- いつ送ったか
- 誰が送ったか
- 誰に送ったか
- どのような内容を送ったか
- 相手が受け取ったか(配達証明付きの場合)
法的措置を本気で検討しているという心理的プレッシャーを相手に与える効果があります。
本人名義でも送付できますが、弁護士名義で作成し、本書面到達後〇日以内にお支払いがない場合は法的措置に移行する旨を明記して送付するのがおすすめです。
驚いた相手からすぐに連絡や入金が来るケースも少なくありません。
STEP3:相手方への訪問を検討する
内容証明郵便を送っても反応がない場合は、相手方のオフィスや店舗へ直接訪問することも選択肢に入れます。
対面では相手が無視しづらくなる上、実際に営業しているか・支払能力があるかといった実態を直接確認できます。
必要に応じて、事前にアポイントを取った上で相手方を訪問し、分割払いなら可能かや、商品を引き揚げるかといった具体的な支払計画をその場で交渉することも考えられます。
ただし、業務妨害をしたり、退去を求められたのに滞在し続けないよう注意が必要です。
STEP4:未入金債権の消滅時効を確認する
法的措置に踏み切る前に、債権が消滅時効にかかっていないかを必ず確認してください。
民法の原則では、権利を行使できることを知った時から5年で債権が時効消滅します。
相手に時効を援用されると、裁判を起こしても法的に一切回収できなくなります。
支払期日からすでに4年数ヵ月が経過していると判明した場合、時効をストップさせるため訴訟の提起や支払督促の申し立てを急ぐ必要があります。
時効が迫っている場合は、早急に弁護士へ相談してください。
STEP5:未入金の状態が続くなら各種法的措置を検討する
STEP1~STEP4までの手段を尽くしても入金されない場合や、相手に支払う意思が見られない場合は、裁判所を介した法的措置に移行します。
任意交渉で動かない相手から回収するには、裁判所による強制力を使うほかありません。
放置し続けると回収の機会を完全に失う恐れがあります。
以下の手段を弁護士と相談しながら選択してください。
| 手段 | 概要 |
| 支払督促 | 異議がなければそのまま強制執行に進める書面手続 |
| 少額訴訟 | 60万円以下の債権を1回の期日で解決できる簡易手続 |
| 通常訴訟 | 金額・内容を問わず利用できる最も強力な法的手段 |
| 強制執行 | 勝訴後に銀行口座・不動産・給与を差し押さえる手続き |
取引先から入金がない場合の法的手段による回収方法

法的手段は、大きく分けて訴訟を使わない方法と、訴訟を通じた方法の2種類があります。
事案の複雑さや相手の対応次第で、適切な手段は異なります。
時間・費用・回収スピードを考慮しながら、状況に合った手続きを選択しましょう。
訴訟以外の法的手段による回収方法4つ
裁判を起こさなくても、4つの法的手段で債権回収を図れます。
通常訴訟は判決まで半年以上かかるケースも多く、弁護士費用も高額になりがちです。
相手の状況や争いの有無に応じて、より迅速・安価な手続きを選択することで、回収までの時間とコストを抑えられます。
1. 公正証書を作成する
相手が未払いを認め、支払いの約束に応じる場合は、公証役場で公正証書を作成しておきましょう。
公正証書とは、公証役場で公証人に作成してもらう公的な書面です。
自社で作成した契約書より法的な証明力が高く、後から内容を否定されるリスクを抑えられます。
作成する際は、支払いが滞った際に裁判なしで強制執行できる強制執行認諾文言を必ず盛り込んでください。
たとえば、未払い金100万円を毎月10万円ずつ分割で支払う合意内容を書面化しておけば、支払いが滞った時点で即座に差し押さえに移行できます。
2. 即決和解を申し立てる
即決和解とは、当事者間で合意した支払条件を裁判所に認めてもらう手続きです。
裁判官の面前で確認された和解調書は確定判決と同一の効力を持ち、支払いが滞った場合はそのまま強制執行に進めます。
来月末までに全額支払うと合意できた段階で簡易裁判所に申し立てておけば、期日に支払われなかった際も即時対応が可能です。
3. 支払督促を申し立てる
相手が未払いの事実を争っていない場合、支払督促を活用するのが効果的です。
支払督促とは、裁判所書記官が相手に対して支払いを命じる書面を発行する手続きです。
通常の訴訟と異なり、申立書と必要書類を提出するだけで手続きが進むため、時間と費用を大幅に抑えられます。
申立書の内容に不備がなければ迅速に発付され、相手が2週間以内に異議を申し立てなかった場合、仮執行宣言を申し立てることで強制執行が可能になります。
4. 民事調停を申し立てる
支払金額や条件について争いがあるものの、話し合いで解決できる余地がある場合は、裁判所の民事調停が適しています。
裁判官と調停委員が間に入って話し合いをまとめる制度で、訴訟より費用が安く、手続きが非公開で進むのが特徴です。
取引継続の可能性が残っている相手には、訴訟より関係を損ないにくいです。
訴訟による回収方法2つ
話し合いや簡易な手続きでは解決できないほど相手が支払いを拒絶している場合、裁判所を通じた強制的な回収手段に移行します。
時間と費用はかかりますが、任意交渉で限界を迎えた相手から回収するには、法的な強制力を使うほかありません。
1. 訴訟を提起する
訴訟を提起し勝訴判決が確定すれば相手に対する法的な支払い義務が確定します。
判決が出た時点で相手は法的に支払いを拒めなくなるため、任意で支払ってくるケースも少なくありません。
請求額や争いの内容に応じて、少額訴訟と通常訴訟の使い分けは以下のとおりです。
| 項目 | 少額訴訟 | 通常訴訟 |
| 請求額の上限 | 60万円以下 | 上限なし |
| 審理回数 | 原則1回 | 複数回 |
| 判決までの期間 | 即日 | 半年以上 |
| 費用 | 比較的安い | 高くなりやすい |
| 向いているケース | 少額・証拠が明確 | 高額・争いが複雑 |
少額訴訟は、請求額が60万円以下であれば原則1回の期日で判決が出るため、費用と時間を抑えて回収できます。
ただし、被告が通常訴訟への移行を求めた場合などには、通常訴訟の手続きで審理されます。
通常訴訟は請求額の上限がなく、複数回の審理を通じて双方が主張と証拠を出し合いながら解決を図ります。
相手が争う姿勢を見せており、審理に時間がかかると見込まれるケースには通常訴訟が向いています。
2. 強制執行を申し立てる
勝訴判決を得ても相手が任意で支払わない場合、裁判所に強制執行を申し立てて財産を差し押さえます。
判決はあくまで支払いを命じる決定であり、相手が無視した場合には強制執行を経なければ実質的な回収は完了しません。
差し押さえの対象は相手の財産状況によって異なります。
- 預金口座(メインバンクの口座残高)
- 不動産(土地・建物の競売)
- 売掛金などの債権
取引先に入金がない場合に貸倒損失が認められる3つのケース
どうしても回収不能となった未入金は、税務上「貸倒損失」として計上することで法人税の負担を軽減できます。
ただし、国税庁が定める要件を満たした場合に限られます。
安易に損失計上すると税務調査で否認されるリスクがあるため、3つのケースを正確に把握しておきましょう。
| 種類 | 説明 |
| 法律上の貸倒れ | 法的手続によって債権が消滅したことが確定した状態 |
| 事実上の貸倒れ | 法的手続はないが客観的に全額回収が不可能な状態 |
| 形式上の貸倒れ | 法的証拠がなくても一定の事実をもって貸倒れ処理できる特例 |
法律上の貸倒れ
法律上の貸倒れとは、相手方の倒産手続や法律上の決定によって、債権が法的に消滅したことが確定したケースです。
以下のような状況が該当します。
- 破産法に基づく破産手続終結の決定
- 会社更生法に基づく更生計画の認可
- 債権者集会での協議による債権カット
公的に回収不能が確定した事業年度に、全額を損金算入しなければなりません。
たとえば取引先会社が破産して消滅し、自社の売掛金500万円が法的に請求できなくなった時点で、500万円全額を貸倒損失として計上します。
事実上の貸倒れ
事実上の貸倒れとは、法的な倒産手続はおこなわれていないものの、相手の資産状況から客観的に見て全額回収が不可能だと明らかなケースを指します。
担保物権などの処分を済ませた後、回収の見込みがないと判断できる状況であれば損金算入が認められる可能性があります。
法的な切り捨て決定がなくても実態に基づいて損失処理できる点が、法律上の貸倒れとの違いです。
取引先の代表者が失踪して事業所が空になっており、調査の結果めぼしい財産が一切確認できない場合、全額を損失計上できる可能性があります。
形式上の貸倒れ
形式上の貸倒れとは、法的倒産や明確な資産ゼロの証拠がなくても、取引停止から一定期間が経過した事実をもって貸倒れ処理できる特例です。
要件を満たした場合に備忘価額1円を残して損金算入が認められます。
代表的な要件は、継続的な取引相手との取引停止から1年以上経過していることです。
売掛金10万円が残ったまま最後の取引から1年以上経過した場合、備忘価額1円を残した9万9,999円を貸倒損失として処理できる可能性があります。
処理のタイミングや証拠書類の準備は、税理士や弁護士に相談した上で進めることをおすすめします。
取引先からの未入金を未然に防ぐ方法4つ
未入金が発生してからの回収は、時間もコストもかかります。
債権回収の専門家に依頼しても、相手に支払い能力がなければ回収は困難です。
日常的な管理体制と外部サービスの活用で、未入金を発生させない仕組みを整えることが、トラブルを未然に防ぐ上で効果的な対策といえます。
1. 普段から請求情報をきちんと管理する
以下の情報を社内で一元管理して可視化することから始めましょう。
- 請求先(誰に)
- 請求日・支払期日(いつ)
- 請求金額(いくら)
- 入金予定日
未入金の中には、請求書の発行漏れや入金確認の遅れといった社内の管理不足に起因するものもあります。
入金期日を過ぎた案件に素早く気づける体制を整えることで、多くの未入金を未然に防げます。
管理ツールの種類を問わず、誰が担当しても同じ手順で確認できるルールを社内に設けておくことが重要です。
担当者の異動や退職があっても、請求情報の管理が滞らない体制を作っておきましょう。
2. 与信管理を徹底する
新規取引の開始時や既存取引の継続において、相手企業の信用力と支払能力を評価して取引額の限度を設定する与信管理は欠かせません。
経営状態が悪化している企業に過大な商品を販売してしまうと、大規模な未入金が発生するリスクが跳ね上がります。
事前に財務状況や信用情報を確認した上で、安全に取引できる金額(与信枠)を設定することで被害を最小限に抑えられます。
新規取引先に対しては、信用調査会社を利用して経営状況を確認した上で与信枠を設定し、超過する場合は前払いや担保を求めましょう。
3. 請求代行サービスを利用する
請求書の発行から集金・督促までを外部に一括委託できる請求代行サービスは、リソースが限られる中小企業やフリーランスにとって有効な選択肢です。
プロの決済代行業者が間に入ることで、社内の事務作業とヒューマンエラーを大幅に削減可能です。
一部のサービスでは未入金が発生しても代行業者が代金を100%保証してくれるため、資金繰りの安定につながります。
4. 売掛金保証サービスを利用する
取引先の倒産や支払遅延に備えたいなら、売掛金保証サービスの活用がおすすめです。
未入金が発生した際に保証会社が代金を立て替えてくれるため、自社では排除しきれないリスクをカバーできます。
どんなに与信管理を徹底していても、取引先の予期せぬ倒産を完全に防ぐことは難しいです。
しかし、保証サービスを活用することで、貸倒れによる連鎖倒産のダメージを回避できます。
売上額の数%の保証料を毎月支払う契約を結んでおけば、取引先が倒産して未入金になった場合でも、保証会社から同額が支払われます。
取引先から入金がない場合は「ベンナビ債権回収」で弁護士に相談
取引先からの入金がなくて困っている場合は、ベンナビ債権回収の利用がおすすめです。
素人判断の交渉を続けるよりも、交渉のプロである弁護士に早期に介入してもらう方が、回収できる可能性は高まります。
債権回収は初動のスピードが結果を大きく左右するため、限界を感じる前に相談することが大切です。
ベンナビ債権回収には、債権回収を得意とする弁護士が多数掲載されており、地域や得意分野で絞り込んで探せます。
初回相談無料の事務所も多く、費用を抑えながら複数の弁護士を比較できます。
取引先からの入金がないことで悩んでいるなら、まず無料相談から試してみてください。
事例1:未払い委託代金の回収成功事例
内装工事の完了後、委託代金400万円が支払われないまま4ヵ月が経過したケースです。
依頼者は何度も請求を行いましたが、相手は支払いに応じず、業務継続に必要な資金が不足する状況に追い込まれていました。
弁護士に依頼し交渉を進めた結果、350万円の回収に成功。
あわせて今後のトラブルを防ぐための契約書類の整備についてもアドバイスを受け、安全に取引を継続できる体制を整えられました。
事例2:売掛金を1回の裁判期日で和解の上回収した事例
過去に取引実績のある会社へ商品を納入後、100万円が未払いのまま2ヵ月が経過したケースです。
催促を重ねても相手は不合理な理由を述べて支払いを拒否し、交渉が行き詰まっていました。
弁護士に依頼後、内容証明郵便の送付と電話交渉を開始しました。
期限を設けても回答がなかったため訴訟を提起。
裁判期日において相手は従来と同様の主張を続けましたが、裁判官から支払義務があることを指摘され、和解協議に移行しました。
最終的に頭金を即時支払い、残金を分割払いとする内容で和解が成立し、100万円を全額回収。
判決後の強制執行という手間を省きながら、迅速に解決できた事例です。
事例3:取引先への請負代金400万円を回収できた事例
新築工事を完成させたにもかかわらず、発注先が契約期限を過ぎても400万円を支払わなかったケースです。
電話・請求書の送付・直接訪問と繰り返し催促しましたが、相手は「もう少し待ってほしい」と弁解を続けるばかりで、4か月間一切支払いがありませんでした。
任意の支払請求では回収の見込みが低いと判断した弁護士は、発注先の預金口座を凍結する仮差押手続を選択。
担保金の供託など一定の負担はあるものの、成功すれば回収可能性を大きく高められる手段です。
仮差押申立が認められ、発注先の預金口座を押さえたところ、その後は任意の支払いに応じてもらうことができ、400万円を全額回収しました。
まとめ
取引先からの未入金は、早期対応が回収の可否を大きく左右します。
まず自社の請求書や契約内容を確認した上で、担当者への連絡・サービス停止・相殺と段階的に対応をすすめましょう。
それでも解決しない場合は、支払督促や訴訟といった法的手段に移行します。
時効の消滅には原則5年という期限があるため、対応を先送りにすることは避けてください。
もし、未入金への対応に行き詰まった場合は、早めにベンナビ債権回収で弁護士に相談することをおすすめします。
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当記事では、支払督促を介して仮執行宣言付支払督促を取得する方法と、利用するにあたり抑えてくべき知識や注意点について紹介していきます。
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支払督促に対して異議を申し立てられた場合は、そのときの状況に応じて対処・検討すべきことが異なります。本記事では、支払督促に異議申立てされたときの対処について詳し...
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「貸金業者や弁護士が債権回収をしてきた」「身に覚えのない取り立てが来て当惑している」という方はいませんか?債権回収を無視すると、裁判に発展する恐れがあります。こ...
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債権回収を依頼した場合の弁護士費用相場は依頼状況などによっても異なりますが、ある程度の目安はあります。費用倒れを防ぐためにも弁護士費用について知っておきましょう...
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本記事では、督促と催促の違い、それぞれのタイミングや具体的な方法について解説します。また、債権回収の流れや効果的な進め方についても詳しく説明するので、ぜひ参考に...
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支払督促とは裁判所を介して債務者へ督促するための手続きです。この記事では①支払督促に適した債権者の特徴②支払督促申立書の書き方③支払督促申立の流れと費用④その他...
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ホテル経営者が頭を悩ませる無断キャンセル。本記事では無断キャンセル率を減らす方法とキャンセル時に備えて行っておくべきこと、キャンセル料を請求するために必要なこと...
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この記事では、支払督促の基礎知識や流れから、弁護士に依頼するメリット・費用相場・選び方まで詳しく解説しています。
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家賃滞納され、一向に支払われない大家・管理会社が相談できる相談窓口をまとめました。また、弁護士に依頼した場合の流れやよくある質問についてご紹介します。
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この記事では、未入金発生時の対処法と回収手順を解説しています。また、回収が困難になった場合の貸倒損失の処理方法や、未入金を未然に防ぐ予防策についても解説している...
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申立書とは裁判や調停を行う際に裁判所等に提出する書類を指します。今回の記事では、支払督促を行う上で、簡易裁判所に提出する際の申立書の書き方を中心に、申立に必要な...


