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これから支払督促を検討されている方にとって、どのような手順を踏んでいけばいいのかわかりづらいかと思われます。訴訟と比べ手続きが簡易的だと言われていますが、裁判所を介した手続きであるため申立書類を準備するだけでも大変な作業です。
また、支払督促が完了した後、債務者が弁済に応じなかった、または支払督促に対して債務者が異議を申し立てた場合など、色々なシチュエーションが考えられます。
今回の記事では、一般的な支払督促の申立の手順の手続きの流れから、支払督促後の強制執行の手順、債務者から異議を申し立てられた場合の対象方法などについて紹介していきます。
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支払督促の申立を行う前にまずは債権者に督促状を送りましょう。書き方に決まりはなく自由に作成することができます。ポイントはお金を振り込む期日を設けることと、返金方法を記載することです。
また、どのような相手だとしても全体的に文章は丁寧に書くことを心がけましょう。今回は個人を相手にお金を貸したと仮定して督促状を作成しましたので以下を参考にしてください。
平成○○年○○月○○日 様 〒123-4567 ◯◯県◯◯市◯◯町◯-◯-◯ 督促状 平成○○年○○月○○日にお貸しした合計○○円の返金を求めます。 つきましては、○○月○○日までに、下記の口座までお振り込みくださいますようお願い申し上げます。 もし、○○月○○日までに振込みが完了できなかった場合には不本意ながら法的手段も検討せざるをえませんので、この点をご了承いただきたくお願い申し上げます。 敬具 記 振込先 銀 行: ○○銀行○○支店 普通口座: ○○○○○ 口座名義: ○○○○○ 支払期日 平成○○年○○月○○日 以上 |
支払督促をするためには、「支払督促の申立」、「仮執行宣言の申立」の二つの申立を行うことが必要ですが、順番としては支払督促の申立後、裁判所から申立が認められたら、仮執行宣言の申立を行う流れです。では、申立の方法について順追って説明して行きたいと思います。
まず最初に支払督促を申立てる前に、申立に必要な書類を集めましょう。申立の際には、必要な書類として以下の書類があげられます。
・支払督促申立書
・当事者目録
・請求の趣旨や原因
・郵便はがき
・資格証明書
・登記簿謄本(債務者が法人の場合)
・委任状(弁護士に依頼する場合)
【支払督促申立書】【当事者目録】【請求の趣旨や原因】の記入例は以下のとおりです。
引用:記入例|裁判所
引用:記入例|裁判所
引用:記入例|裁判所
以上の【支払督促申立書】【当事者目録】【請求の趣旨や原因】の雛形はこちらからダウンロードできます。
また、書式の例として「支払督促申立書の雛形|書き方の例」も参考にしてください。
また支払督促を申立てる際、裁判所へ納める費用から、資格証明書、登記簿謄本を取り寄せる上で費用がかかります。
裁判所へ納める手数料は、訴訟の際に納める手数料の半額となっていますが、債務者へ請求する額に比例して高額な手数料を納めなければなりません。
請求する金額 |
手数料 |
|
100万円以下 |
500円~5000円 |
10万円につき500円 |
100万円越え、500万円以下 |
5000円~15000円 |
20万円につき500円 |
500万円越え、1000万円以下 |
15000円~25000円 |
50万円につき1000円 |
1000万円越え、10億円以下 |
25000円~74500円 |
100万円につき1500円 |
10億円越え、50億円以下 |
74500円~4074500円 |
500万円につき5000円 |
50億円越え |
4074500円~ |
1000万円につき5000円 |
また債務者へ支払督促の申立てが認められた後、支払督促の正本を送達しなければいけませんが、その際にかかる郵券切手代を裁判所へ納めますが、郵券切手代は、債務者の数×1082円です。
また法人として支払督促を申立てる際、裁判所へ資格証明書を提出しなければなりませんが、資格証明書は法務所にて取り寄せますが、手数料として450円を法務所へ納めます。
さらに請求先が法人である場合、相手先の登記簿謄本を裁判所へ提出する必要がありますが、資格証明書と同様、法務所にて取り寄せを行いますが、その際に手数料として600円を納めなければなりません。
参照:「会社・法人登記関係の手数料について|法務省」
支払督促の申立てにはある程度の費用がかかりますが、申立書に申立費用の記述をすることで債務者へ請求することも可能です(参照:「支払督促の申立費用を債務者へ請求」)。また、申立をする際、申立書の作成から裁判所への手続きまである程度の時間的コストがかかっています。
そういったところを加味して、申請作成費用、申請書提出費用として、一律で800円を請求することが可能です。なお、仮執行宣言申立の際には、申請作成費用、申請書提出費用を請求することはできません。
支払督促申立てを行う際に証拠となるものを提出する必要はありませんが、後に裁判に発展する可能性をふまえて証拠となるものをとっておくことは良いことだと思います。
実際に提出資料の準備が完了したら、支払督促の申立てを行いましょう。
申立先は、相手の住所を管轄(法人の場合は会社の所在地)する簡易裁判所になります。また、記入漏れやミスがあった場合に備えて提出の際は、印鑑を持参しましょう。
裁判所が支払督促の申立を認可した場合、裁判所から債務者へ支払督促に関する内容の通知が行われます。
この通知には、債務者が督促に対して異議申立をするための督促異議申立書が同封されていますが、もし支払督促の送達から2週間以内に、債務者から督促異議を申し立てられた場合、訴訟へ移行しなければなりません。(詳しくは「督促異議申立をされた場合の手順」にて後述)
2週間経過して債務者から督促異議の申立がなければ即座に、仮執行宣言の申立を行ってください。支払督促の送達から30日以内に仮執行宣言の申立を行わなければ、支払督促の手続きが無効になってしまうからです。
申立をする際、仮執行宣言の申立書以外に、当時目録、請求の趣旨及び原因、郵便はがき、そして請書が必要になります。また申し立ての際には、郵券切手代として、1050円×当事者の人数分の費用を納めなければなりません。
申立書の作成方法などについては、「仮執行宣言申立書の申請方法」を参考にしてください。
裁判所から申立が認められたら、仮執行宣言付支払督促を取得することができます。
仮執行宣言付支払督促とは強制執行するために必要な債務名義(公的に債権の存在を証明する文書)の一種であり、債務者が強制執行の停止の申立を行っても強制執行の手続きを止めることができない強力な債務名義です。
※強制執行:法的執行機関により強制的に財産を差押えするための手続き
また、仮執行宣言付支払督促に関する書類が債務者へ送達されますが、支払督促の送達の時と同様に、債務者は2週間以内であれば督促異議申立をすることができます。
もし債務者が2週間以内に督促異議申立をした場合、訴訟へ移行することになりますが、同時に仮執行宣言付支払督促を取得しているため、訴訟の手続きを進めつつ強制執行の手続きを行うことが可能です。
またもし2週間以内に督促異議の申立が行われなければ、督促異議の申立は完了します。
もし支払督促完了後にも関わらず、債務者から全く弁済に応じる気配がなければ強制執行に踏み込みましょう。強制執行の申立を行う前に、執行文付与の申立、債務名義の送達証明申請の二つのステップが必要ですが、今回のケースでは必要ありません。
執行文付与申立とは、債務名義に強制執行における執行力を持たせるための手続きであり、支払督促で取得した債務名義である仮執行宣言付支払督促にはすでに執行力が含まれているためです。
そのため、まずは強制執行を申立てるにあたり債務名義の送達証明申請から行いましょう。債務名義の送達証明をするためには、債務者へ債務名義の謄本、正本を郵送する必要がありますが、同時に送達した事実を証明しなければなりません。
そのため仮執行宣言付支払督促が発行された裁判所へ送達、送達証明書の発行の申請を行う必要がありますが、その際に収入印紙代として150円を納めます。また、送達証明申請書の作成方法に関しては、「債務名義の送達証明申請」を参考にしてください。
強制執行は、債務者の財産を差押えするための手続きになりますが、「債権執行」、「不動産執行」、「動産執行」の3つに分けることができます。しかしながら企業間における差し押さえでは、売掛金債権、貸付金債権がメインになるため、債権執行を選択される場合が多いでしょう。
強制執行するための手続きの方法について確認していきましょう。
まず最初に、差し押さえに対象とする財産・債権が、債務者に対する債権の額に見合っているかどうか確認するためにも、差し押さえの対象とする債権や財産の調査をする必要があります。
例えばですが、債権を差し押さえの対象とするのであれば、その債権の債務者(第三債務者)の弁済能力について調査すべきであり、もし債権の額が高額であっても第三債務者に弁済能力がなければ、その債権にはあまり価値がないからです。
請求先の協力が必要になりますが、差し押さえる債権に関する第三債務者との帳簿などを確認することをオススメします。
差押えする対象が決まり次第、差押命令申立を行いますが、各強制執行における申立に必要な書類や費用は以下の通りです。
申立書類 |
申立費用 |
|
債権執行 |
申立書 |
手数料:4000円 |
不動産執行 |
申立書 |
手数料:4000円 |
動産執行 |
申立書 |
手数料:4000円 |
申立の流れから、申立書類の書式に関しては以下の記事を参考にしてください。
【参照】
▶「強制執行の一連の流れと差押えまでの手順の解説」
▶「強制執行で差し押さえするために必要な知識と方法のまとめ」
先ほどの話しに戻りますが、もし支払督促の手続きが完了していない段階で、債務者から督促異議の申立をされた場合、どうすればいいのでしょうか。
まず一つだけ確実に言えることは、督促異議の申立ては支払督促の送達後と仮執行宣言支払督促の送達後の計2回、債務者へ機会が与えられますが、どのタイミングで督促異議の申立を行われるかによって異なります。
仮執行宣言付支払督促の送達後であれば、先ほどもお伝えした通り、すでに仮執行宣言付支払督促を取得しているため、強制執行の手続きを進めることができ、債務者は手続きを止める手立てがありません。そのため訴訟の手続きと並行して、強制執行の手続きを行った方が良いでしょう。
また、もし支払督促の送達後に督促異議の申立てをされた場合は、通常の訴訟へ移行するだけなので支払督促の申立てた意味がなくなってしまいます。訴訟へ移行するかどうかは、本人の意向次第ですが訴訟の取下げを行うことも可能です。
支払督促と比べ、訴訟の手続きは時間と費用がかかるため、訴訟の取下げを行うのも一つの選択肢だと思います。
もし訴訟の手続きへ移行するのであれば、裁判所からの命令により債権者は、督促異議の申立てが行われた裁判所へ、訴状へ代わる書類を提出しなければなりません。
既に支払督促で書類を提出しているため、支払督促から訴訟へ移行する際は裁判所から指定された書類を提出しましょう。民事訴訟に関する訴状の形式として「訴えを提起する際に必要な書類について|裁判所」を参考にしてください。
また、訴訟手続きの費用として収入印紙代(手数料)として、支払督促で納めた手数料と同額の印紙代、郵券切手代として6000円を裁判所へ納めます。
もし、訴訟の取下げの申立てをするのであれば、債務者(被告)の同意を抜きに、支払督促の申立を行った裁判所で申立を行うことが可能です。
また、その際に訴訟の取下げ申立書のみを裁判所へ提出すれば訴訟の取下げは完了します。
支払督促は、法的手段による債権回収の中でも簡易的な手続きと言われていますが、それでも弁護士に依頼することへのメリットは大きいでしょう。
簡易的な手続きといいつつも、提出した書類に対する裁判所の確認は厳格なものです。書類の不備や記入漏れや記入ミスがあると受理してもらえないため、書類作成に慣れている弁護士に任せることで提出書類の作成に対する負担は大きく減らすことができます。
また、仮執行宣言の申立ては時間が限られていますが、時間に余裕がない場合など弁護士に書類作成を依頼するメリットは大きいです。
また、支払督促から訴訟へ移行するのであれば、弁護士の役割は大きいでしょう。書類の準備から、裁判における代理人も全てまかなってもらえるため、依頼主の負担を大きく減らすことが可能です。
さらに債務者との交渉を行う上でも弁護士を通した方が効果的です。
債権執行する際など、対象の債権が有効な債権かどうか知る上で、その債権に付随する第三債務者を調査するために、債権に関する帳簿(売掛金帳簿など)があると確かめやすいですが、債務者の協力が必要になります。
債務者が協力的な姿勢を見せるかどうか定かではありませんが、弁護士が後ろ盾についていることで、債務者の対応が変わる確率は高いです。
そして弁護士に依頼するメリットとして、依頼主の状況に合わせた解決策を提案してくれることがあげられます。
もしかしたら支払督促以外にも、依頼主に合った債権回収の方法があるかもしれませんが、債権回収の経験が豊富な弁護士であれば依頼主の債権、債務者の状況から、どの債権回収の方法が最適か判断することができます。
支払督促にもデメリットがありますのでそちらを踏まえた上で支払督促が最善策であるか考えましょう。デメリットして考えられることは
などです。詳しくは【支払督促に必要な申立費用と弁護士費用の相場のまとめ】で説明していますのでご覧ください。
もし、ご自身で判断がつかない場合は弁護士の無料相談を使って支払督促が1番望ましい方法であるか確認することをおすすめします。
支払督促を行う上で、支払督促の手続きの手順や流れを抑えることも大切ですが、督促異議の申立てをされた場合、強制執行に踏むこむ際の手順も兼ねて、流れを抑えることが必要だと思います。当記事が支払督促を検討されている方のお役に立てたら幸いです。
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