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債権譲渡
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債権譲渡禁止特約とは?債権譲渡の効力が無効になるケースをご紹介

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 弁護士
監修記事
債権譲渡禁止特約とは?債権譲渡の効力が無効になるケースをご紹介

債権譲渡禁止特約とは、債権譲渡を禁止にするための契約です。債権譲渡における債権の譲渡人と債務者の間で交わされます。
債権譲渡は、企業間で行われるのが一般的ですが、取引先の会社(譲渡人)に対し未回収の債権(売掛金・貸与金)がある場合、その会社が倒産する前に、未回収の債権の代わりに、譲渡人が持っている債権を譲渡してもらいます。

当然、譲受人側からすると譲渡人から債権を無事、譲受したいと思うはずですが、譲渡人と譲受する債権の債務者との間で債権譲渡禁止特約が交わされている場合、債務者に対して債権の効力を発揮することができません。しかしながら、債権譲渡禁止特約が交わされている上で、債権を譲受できる場合もあり、近年では譲受人側を保護する傾向にあります。

今回の記事では、債権譲渡禁止特約に関する知識、特約が交わされている上で譲受できるための条件、その他、債権譲渡が無効となる条件について紹介していきます。

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債権譲渡禁止特約による生じる効果

冒頭でもお伝えいたしましたが、債権譲渡禁止特約が譲渡人と債務者の間で事前に交わされていた場合、債権譲渡の効力は生じません。

債権譲渡の効力が無効になる

債権譲渡禁止特約は、債務者の権利を保護するための契約であり、債務者は債権譲渡禁止特約に反対するとして、譲受人に対し譲渡の無効を主張することができます。そのため譲受人は、債権譲渡が行われる前に、譲渡人と債務者との間で禁止特約が交わされていないかを、事前に確認することが必要です。

しかしながら、債権を受け取れるはずであった譲受人(法人)からしたら債権譲渡が無効になることはあんまりな結果であり、譲受する債権を元に事業の計画を立てていたのであれば大きな損失だといえます。

事業を円滑に進める上で、資金繰りは大きな課題となりますが、そのためには企業間における債権・資産の流動化が占めるウエイトは重く、事実、債権譲渡禁止特約が大きな障壁になっていると非難の声が多数ありました。

債権譲渡禁止特約を無効にできる場合

そこで近年、譲受人を保護する目的で債権譲渡禁止特約に関する規制が緩和されてきています。多くの批判もあって、近年、債権譲渡における資金調達が重要視されるようになったためです。

債権譲渡禁止特約を無効にできる場合として2つのパターンが考えられますが、以下、紹介していきたいと思います。
  

譲受人が善意でかつ無過失の場合

まず、債権譲渡禁止特約が交わされていたにも関わらず、特約を無効にできる条件として、債権譲渡の際に譲受する側が善意で無過失であることがあげられます。「善意」であるということは、債権譲渡禁止特約が交わされていた事実を知らなかったということです。

また事実を知らなかった場合でも、注意義務を怠っていた場合、過失として判断されますが、大半の場合は、譲受人は善意者として保護されます。しかしながら、重過失であると判断されることもあり、詳しくは「債権譲渡の効力が無効になる場合」にて後述いたします。

債権譲渡に関する債務者の承諾

また債権譲渡禁止特約がある場合でも、債務者側から債権譲渡の同意が得られれば、債権を譲受することが可能です。この場合、譲受人と債務者との契約になりますが、善意かつ無過失である必要がありません。

債権譲渡の効力が無効になる場合

債権譲渡において、譲受人にとって債務者へ債権の権利の効力が発生しない、債権譲渡の効力が無効になる場合について紹介します。

債権譲渡禁止特約において譲受人が悪意と判断される場合

まず債権譲渡禁止特約に関して、譲受人を保護するために規制が緩くなったと説明をいたしましたが、特約に関わらず譲受人が債権の効力を債務者へ発揮するためには、善意で無過失であることが条件でした。

そのため、もちろん「善意かつ無過失」ではない、つまりは「悪意または重過失」である場合は、債権譲渡の効力は発生しません。では悪意で無過失である場合とはどんな時でしょうか。

預金債権など譲渡禁止が明確な債権

一つ目は、譲渡する対象の債権の譲渡禁止が明らかである場合です。預金債権など譲渡禁止されていることが明確である債権については、明らかに譲渡禁止特約が交わされていなかった事実を、知らないことはなくそのため悪意であったと判断されます。

しかしながら、譲渡禁止特約の効力は、債務者側が主張しなければなりません。そのため、債務者が、譲受人の悪意または重過失であることを立証して初めて譲渡禁止特約の効力を発揮することができます。
債権によっては、預金債権のように明確か不明確か断定しづらい債権もありますので、その場合は債務者が立証しなければなりません。

将来債権譲渡における債権譲渡禁止特約の問題点

また、将来債権譲渡というまだ発生していない(将来発生する)債権を譲渡する方法があります。将来債権譲渡に関しては、裁判などでよく取り上げられる問題なのですが、債権譲渡禁止特約が交わされていた場合、特約の効力を認める判例がほとんどなようです。

将来債権譲渡の例

ではこの将来債権譲渡とはどういったものなのでしょうか。例をとって簡潔に説明したいと思いますが、とあるA社がB社へ後払いで自社の製品Xの販売をした場合、自社はB社に対して未回収の債権(売掛金)が発生していることになります。

この際、A社が、B社から債権を回収できなかった場合に備えたいとき、これからB社が商品Xを販売する先(代理店などの顧客)から購買してもらうことで発生する代金(債権)を、B社が債権譲渡することが、将来債権譲渡にあたります。

もしB社が、顧客C社と債権譲渡禁止特約を交わした上で、商品Xの売買が後払いで成立した場合、売掛金が発生しますが、この売掛金を請求する権利はどこにあるのでしょうか。

A社は、B社から債権譲渡をしたとき、B社と顧客C社とのやり取りは発生していませんから、A社はB社とC社との債権譲渡禁止特約を知りません。

当然、善意(知らない)と捉えてもおかしくありませんが、この場合、債権譲渡禁止特約の効力は認められる判例が下されるのがほとんどなようです。

この将来債権譲渡に関しては、法的な整備がまだされていませんが、債権譲渡禁止特約が交わされた後に、債権譲渡が行われた場合にのみ、特約が交わされた事実を知らないことを善意とするため、将来債権譲渡のような特約が交わされるかどうかが不確かな状況においては認められないと判断されました。

債権譲渡の制限の対象に含まれた債権

債権の中には、債権譲渡の制限の対象となる債権があり、制限の対象となる債権における債権譲渡において効力は発揮されません。

債権の性質上による制限

債権譲渡の制限の対象外となる債権として、債権の性質上、制限されている債権があります。

慰謝料請求権、扶養請求権など行使できる債権者が特定されている債権や、使用借権・賃借権など権利の行使形態が特徴的な債権が、債権譲渡の対象に含むことができません。

法律の規定による制限

また法律の規定により制限されている債権もあります。給料・賞与・年金など給与に関わる債権、生活保護や老後の年金、相続における効力のある財産分与請求権・遺留分減殺請求権などが対象です。
 

債権譲渡の制限の対象に含まれた債権

債権の性質上による制限

慰謝料請求権

扶養請求権

使用借権・賃借権

法律の規定による制限

給与に関わる債権

生活保護や老後の年金

財産分与請求権

遺留分減殺請求権

債務者から相殺による債権譲渡の対抗 

とある取引先の会社に対して互いに債権を抱えている場合、その債権同士が相当額であれば互いの債権を、どちらか一方が消滅させたいと意思表示した場合、債権を消滅させることができ、この消滅行為を相殺と言います。また相殺し合う債権に関しては、同種の債権(金銭債権同士)など同じ土俵で価値を計りやすいことが条件です。

実は、債権譲渡において債務者側から、譲受人に対して相殺を主張することもでき、もし、譲受人が受け取る債権の債務者がそれ相当の債権を保有していた場合、債務者が譲受人に対して相殺を主張してきたら、債権同士が消滅し債権譲渡の効力がなくなってしまいます。

まとめ

譲受人側からしたら、債権譲渡禁止特約によって債権が譲受できなくなることは困ることですが、債務者と譲渡人との間の特約を知らなければ債権譲渡は無効にはなりません。

しかしながら、債権譲渡が無効となるためには、債務者側が譲受人の悪意性を立証した上で主張する必要があるため、債務者から訴えられ場合の処置として、弁護士へ相談されることをオススメします。

また、債権譲渡について有効な場合と無効な場合をそれぞれ紹介しましたが、今回の記事を元に参考にしていただけたら幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事はベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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