債権回収の流れ|全額返金してもらうためのポイント

キーワードからコラムを探す
2020.10.29
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%83%e3%83%816

債務者からお金を取り立てる行為を債権回収といいます。

この記事では、スムーズな債権回収のために債権者側で知っておきたいポイントや注意点などを解説します。

基本的な債権回収の流れ

債権回収の基本的な流れですが、まずは債務者に連絡して任意での返済を求めることから始めるのが通常です。そして、債務者が任意に支払わない場合、法的な手続での債権回収を検討することになります。

債務者からの任意での回収

以下、債務者に任意の返済を求める方法を簡単に紹介します。

債務者にメールや電話で連絡する

債務者との間で連絡可能な状態であれば、まずは電話やメールを通じて債務者に支払いをして欲しい旨伝えることが第一歩でしょう。

債務者が自発的に返済をしないからといって、債務者に返済の意思がないと即断することはできません。債務者としては忙しくて単に忘れているだけかもしれませんし、返済までにまだ猶予があるものと考えていることもあります。

まずは債務者に対して、債権者として返済を求める意思があることを明確に伝えることが大切です。これを伝えたうえで、債務者側の返済意思の有無や返済のタイミングについて相談してください。

書面での督促

債務者に電話やメールで連絡してもスムーズに支払ってもらえない場合や債務者と連絡が取りづらい場合は、書面で督促すること(催告書を送付すること)を検討することとなります。

催告書には、債務の原因と内容、債務について支払いを求めること、この場合の返済期限などを記載するのが通常ですが、書き方に特段のルールはありません。受け取った側が何についてどのような対応を求められているのかが明確にわかればどのような内容でもよいです。

債務者が催告書を受領したことで話合いに応じてくれれば、後は上記と同じです。支払いの方法や時期について債務者とよく相談してください。可能であれば、債務者と合意できた内容は書面化して、双方署名するなどの措置を取ることも検討しましょう。

なお、このような書面について、内容証明郵便で送付することを推奨しているWEBサイト等もありますが、債権が時効消滅間近という場合でなければ、必ずしも内容証明郵便で送らなければならないということはありません。ただ、書面を送っても相手に無視されたり、とぼけたりされることが危惧されるのであれば、配達の記録が残る特定記録郵便やレターパックで送付することも検討しましょう。

債務者からの法的手続での回収

上記のような債務者に任意の支払いを求める方法で支払がされない場合には、債権者として裁判などの法的手段で債権を回収することを検討せざるを得ません。以下、法的手続での回収について簡単に解説します。

裁判所を介した債権回収の方法と流れ

裁判所を介した債権回収の方法は主に3つあります。

  • 支払督促
  • 少額訴訟
  • 民事訴訟

上記3つの方法の中では支払督促が最も手続きが簡便ですが、実効性は低いです。

下に行くほど準備や手続きが重たくなりますが、その分実効性も高まる傾向にあります。

支払督促

支払督促とは、裁判所を通じて債務者に所定の督促書面を送付する方法です。

支払督促は裁判所の正式な手続書面として先方に送付されるので、受け取った側には相当な心理的圧迫となります。結果、相手が支払いに応じることもあります。

なお、支払督促を債務者が受け取って2週間以内に異議の申立てがなければ、支払督促書面について仮執行宣言を付すよう申請が可能であり、この申請から更に2週間以内に異議の申立てがなければ、督促内容に従って強制執行が可能です。そのため、支払督促は債権者が債務名義を取得する簡易的な方法としても使われています。

支払督促を申し立てるには、簡易裁判所に所定の申請書を提出する必要があります。

訴訟のように証拠などを準備する必要はなく、裁判所が内容をチェックして問題がなければ手続が進みます。なお、支払督促に対して相手が異議を申し立てた場合には、通常訴訟に移行することとなり、通常訴訟の中で権利義務関係が審議されることになります。

少額訴訟

少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求めるケースに限り使える特殊な訴訟手続です。少額の債権回収事案について、簡易迅速な処理を可能とするものであり、通常訴訟とは異なるルールで行われます。

例えば、少額訴訟を提起するためには、相手の同意が必要です。相手が少額訴訟に同意しない場合には自動的に通常訴訟に移行します。

また、少額訴訟は原則として1回目の期日で即日結審・判決となります。なお、少額訴訟の判決も債務名義として強制執行手続に利用できます。

民事訴訟

民事訴訟は、原告・被告が双方の主張と証拠を出しあい、事実を認定し、法律を適用して、当事者間の権利義務関係を裁判官が裁定する手続です。通常訴訟の手続は重厚であり、審理のための期日が複数回積み重ねられるのが通常です。判決に至るまで早くても半年以上はかかると見たほうがよいでしょう。通常訴訟で下された判決も債務名義として強制執行手続で利用できます。

裁判を行っても任意で支払いがない場合は強制執行で回収する

裁判の判決が出ても、裁判所が自動的に債権を回収してくれるわけではありません。

債務者が判決に従って任意で支払ってくれれば良いですが、そうでない場合は債権者が別途強制執行手続を申し立て、債務者から強制的な回収をしなければいけないのです。

強制執行とは

強制執行とは、債務者の財産を強制的に差し押さえて債権を回収する法的手続です。債務者の意思を制圧して強制回収を図る強力な手続であるため、実行するには法律上の要件が充足されなければなりません。

例えば、強制執行手続を取るためには、権利の存在を公的に証明する債務名義が必要ですし、この債務名義は執行力のある者である必要があります。また、強制執行を行うためには、執行対象となる財産)(不動産、自動車、預金債権、給与債権など)を特定して行う必要があります。そのため、強制執行の前提として、相手の財産状況をある程度把握しておく必要があります。

強制執行手続の流れ

強制執行を開始するためには裁判所に申し立てをする必要があります。

この段階で、何を差し押さえるのかを特定する必要があります。特定された財産に執行をかけ、執行可能であれば差押処理がされるというのが基本の流れです。

なお、強制執行を申し立てる場合には執行力のある債務名義が必要です。これがない場合には、強制執行を申し立てることがそもそもできません。

債務名義としては、例えば確定した支払督促・判決、和解調書、執行認諾文言の記載された公正証書などが挙げられます。そのため、強制執行手続を企図するのであれば、

まずは少額訴訟や通常訴訟など、債務名義を取得できる手続から開始しなければなりません。

債権回収する際の3つの注意点

債権回収のとき注意したいポイントが3つあります。

時効」「証拠」「違法行為」です。

①時効

第一に注意したいポイントは、債権の時効です。

2020年4月1日以前の金銭債権は、商事債権であれば5年、一般債権であれば10年が消滅時効でした(一部の債権については1~3年の短期消滅時効が定められていました。)。

2020年4月1日以後の債権については、債権は一律「権利行使できることを知ってから5年または債権行使が可能な時点から10年」が消滅時効となりました(商事時効制度も短期消滅時効制度も廃止されています。)。

時効の中断方法

消滅時効には中断(更新)といって、時効期間がリスタートする制度があります。

具体的には、訴訟手続等を通じて債務者に請求する行為や債務者が権利の全部または一部を承認する行為(一部弁済や支払猶予の申入れも承認行為に当たります。)があると、消滅時効期間はリスタートすることとなります。

なお、時効期間を中断するものではありませんが、債務者に対して催告を行った場合、催告から6ヶ月間は時効完成が停止することとされています。この6カ月の停止期間内に訴訟などの正式な中断(更新)措置を講ずれば、時効期間がリスタートすることになります。

②債権の証拠が必要になる

債務者に対して訴訟などの法的手続を通じて債権を請求するためには、権利の存在を裏付ける証拠が必要になります。

債権回収のために訴訟を申し立てても、証拠がなければ裁判官に債務の存在や金額を認めてもらうことは難しいです。

裁判官は全くの第三者であり、当事者間のやり取りを関知する立場にありません。そのような第三者の目から見ても債権の存在や内容がわかる程度の証拠がなければ、最終的に裁判所に権利の存在を認めてもらうことは難しいでしょう。

③違法な督促をしない

債務者が金を返さないからという理由で、債権者が何をしても良いということはありません。そのため、債権回収名目で債務者の物品を無断で持ち去ったり、債務者に執拗につきまとうなどした場合、違法な行為があったとして債権者側が不利となることもあります。

相手が非常識な対応をしているから、こちらも非常識な対応をして良いという道理はありません。債権者としてはあくまで常識的な対応を心がけましょう。

まとめ

債権回収の基本について解説しました。本記事が債権回収で悩む債権者の方々の役に立てばと思います。なお、独力での回収が難しいと感じるようであれば、できる限り早く債権回収に注力している弁護士に相談してください。相談のタイミングが遅くなればなるほど、回収可能性は低下します。迅速な決断が求められるところです。

あらゆる法的トラブルに備える弁護士費用保険

数十万~数百万の費用がかかる弁護士への依頼。

弁護士費用保険メルシーは月額2,500円で弁護士費用の補償が受けられ、様々な法的トラブルに対応できます。

Cta_merci
  • 離婚
  • 相続
  • 交通事故(自転車事故)
  • 近隣トラブル
  • ネットの誹謗中傷

など、幅広い法的トラブルで弁護士に依頼したときに発生する費用を補償してくれます。

ご自身だけでなく、追加保険料0円で配偶者や子供・両親まで補償対象になります。

まずはWEBから資料請求してみましょう。

弁護士費用保険メルシーに無料で資料請求する

KL2020・OD・037

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

債権回収でお困りなら弁護士へ無料相談がおすすめ


債権回収では、相手の出方や債権額によってはあまり効果が期待できない場合もあり、自分だけで債権回収を行なおうとしても適切な方法を選択することは難しいでしょう。

そもそも、今の状況でどのような方法を取ればいいのかを提案してくれる弁護士は、相談だけでも力強い味方となってくれます。

「債権回収弁護士ナビ」では、債権回収を得意とする弁護士に直接ご相談ができ、相談料無料、初回の面談相談無料、全国対応で相談を受け付けいる事務所も多くいますので、法人・個人問わず、お金のことで悩み続けているなら、一度債権回収が得意な弁護士にご相談ください。

編集部

本記事は債権回収弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債権回収弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。


債権回収コラム一覧へ戻る