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支払督促とは、裁判所を介して債務者へ返済を促すための手続きであり、債権回収する方法の一つです。支払督促を介して債権回収を行うメリットとして、訴訟と比べ手続きが容易であり、申立の費用が安いことがあげられます。
今回の記事では、支払督促の手順を追いながら、申立てる上で必要な費用、また弁護士に依頼した際にかかる費用について説明していきます。
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より有効で、証拠性の高い督促状を作成したい人は、弁護士に作成・発送してもらいましょう。事務所から発送してもらえば、封筒に弁護士の名前が入り、相手も真面目な対応にしてくれる可能性が高まります。
また、弁護士に依頼することで、最大限の金額を回収できる可能性があります。債債務者が破産・再生手続きを行う前に、弁護士にご相談ください。。
支払督促の申立てにかかる費用について説明するためには、支払督促における大まかな流れを抑えなければなりません。
支払督促を行うためには、主に、「①支払督促の申立」と「②仮執行宣言の申立」の2つの申立を、債務者を管轄する裁判所へ行いますが、主な申立の流れは以下の図の通りになります。
申立が裁判所から認められると、申立の事実が債務者へ通知されます。
通知には申立に対する異議を申立てるための「督促異議申立書」が同封されていますが、もし支払督促、または仮執行宣言に関する通知の送達から2週間以内に、債務者から督促異議を申立てられた場合、一般の訴訟へ移行しなければなりません。
督促異議が申立てられた場合については、「督促異議申立されたら場合にかかる費用」にて後述いたします。
大まかな支払督促の流れを抑えた上で、支払督促における費用について記述していきますが、まず最初に支払督促の申立てを、債務者を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官へ行います。
その際に、支払督促申立書と共に、当事者目録、資格証明書、請求の趣旨や原因、郵便はがき、登記簿謄本(債務者が法人の場合)を提出しますが、申立の手数料と郵券切手代を納めなければなりません。
申立の手数料は、訴訟における手数料の半額となっておりますが、以下の表を参考にしてください。
請求の目的価格 |
支払督促における手数料 |
100万円以下 |
10万円につき500円 |
100万円超、500万円以下 |
20万円につき500円 |
500万円超、1000万円以下 |
50万円につき1000円 |
1000万円超、10億円以下 |
100万円につき1500円 |
10億円超、50億円以下 |
500万円につき5000円 |
50億円超 |
1000万円につき5000円 |
郵券切手代に関しては、督促を申立てる債務者の数に応じて高額になりますが、債務者の数がNの時、1000円×N+50円×N+80円になります。また資格証明書を発行するにあたり、450円の手数料、登記簿謄本に関しては1000円の手数料を法務省へ納めなければなりません。
とある会社Bへ支払督促する際、請求金額が800万円であった場合、手数料は500円×(100万円÷10万円)+500円×{(500万円-100万円}÷20万円}+1000円×{(800万円-500万円)÷50万円}=5000円+10000万円+6000円=21000円です。
また郵券切手代は、1000円+50円+80円=1130円、資格証明書の手数料の450円を合わせると、申立費用として総額で22580円がかかります。
申立が認められ、支払督促の通知に対して債務者から督促異議の申立がなければ、そのまま仮執行宣言申立を行いますが、支払督促の通知の送達から30日以内で行わなければ支払督促の申立は取り消しとなってしまいます。
申立には、仮執行宣言の申立書と共に、当事者目録と請求の趣旨及び原因、郵便はがき、請書が必要です。
申立費用としては、郵券切手代として、1050円×当事者の人数の費用がかかりますが、仮執行宣言の申立には手数料は発生しません。支払督促の申立と仮執行宣言の申立に必要な書類の作成方法について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
参照:「支払督促に必要な申立書の書き方と添付書類の作成方法まとめ」
もし手続きの最中で、督促異議申立をされた場合、訴訟に移行することになります。訴訟を取り下げることもできますが、そちらについては後ほど詳しく説明したいと思います。
もし、仮執行宣言の申立が認められた後の、仮執行宣言付支払督促の送達後に債務者から訴訟された場合は、取下げをせずに裁判を行いましょう。
仮執行宣言付支払督促とは、債務者の財産を差し押さえる強制執行をするために必要な証書であり、債務者が督促異議を申立てに対して、強制執行の手続きを進めることが可能なためです。
また訴訟へ移行する際の費用として、債務者が督促異議の申立てをした裁判所へ、郵券切手代として6000円、支払督促を申立てした際の同額の手数料を納めなければなりません。
実際に、支払督促は訴訟と比べると簡易的な手続きですが、それでも申立に必要な書類の作成から書類を揃えるだけでも、それなりの時間がかかるため、弁護士に依頼する方も少なくないでしょう。
また、申立書類に関して裁判所は厳しくチェックが入るため、申立書類に誤字脱字や、書類の不備などがあった場合、申立は受理して貰えません。
さらに支払督促には支払督促の申立と仮執行宣言の二つの申立がありますが、支払督促の送達後、30日以内に仮執行宣言の申立を行わなければいけないため、限られた時間で書類を用意する必要があります。
その点、申立手続きに慣れている弁護士に依頼すれば迅速に対応してもらえるため、弁護士に依頼することで手続きの負担を大きく減らすことが可能です。
支払督促をする中で、債務者から督促異議の申立をされた場合、訴訟へ移行することになりますが、弁護士に依頼することで裁判の際、代理人として弁護士に出廷したもらうことが可能です。
また、すでに仮執行宣言付支払督促が発付されていた場合、強制執行の手続きも並行して行うと思いますが、弁護士に依頼することで訴訟と強制執行の二つの手続きを任せることができます。
また債権の内容や、債務者の状況によって、どの債権回収を選ぶべきか変わってきます。よって支払督促がベストな方法だとは限りません。弁護士は色々な債権回収の事案を見てきているため、シチュエーションごとに合った債権回収の方法を提案することができます。
自分にとって何が最善の債権回収なのかを知るためにも弁護士に依頼するメリットは大きいです。
支払督促における申立て費用は、訴訟と比べると低額ですが、その分、弁護士へ債権回収の依頼をする余裕がでてくるのではないでしょうか。ここでは、支払督促を弁護士に依頼した際に発生する弁護士費用の相場について紹介していきます。
支払督促を弁護士に依頼する前に、依頼主が抱えている問題について弁護士へ相談をするのが一般的です。相談の際に費用が発生しますが、1時間につき1万円を相談料の相場だと考えてください。また、弁護士事務所によって相談料の取り決めは大きく変わります。
相談から、正式に支払督促の案件を弁護士が受任することが決まった段階で、弁護士へ着手金を納めます。着手金は、支払督促の手続きが成功したかどうかに関わらず、支払わなければならない費用です。
また着手金の費用は、債務者への請求金額に応じて高額になりますが、着手金の相場として以下の表を参考にしてください。
請求金額 |
着手金 |
100未満 |
15万円 |
100万円~300万円未満 |
24万円 |
300万円~500万円未満 |
30万円 |
500万円~1000万円未満 |
50万円 |
1000万円~5000万円未満 |
80万円 |
5000万円~1億円未満 |
100万円 |
1億円~ |
150万円 |
実際に、支払督促の案件が完了した後に、発生する費用が成功報酬金になりますが、仮執行宣言付支払督促に記載された債務者の弁済金額に応じて算出されるのが一般的です。
支払督促における成功報酬金の相場として、仮執行宣言付支払督促の取り決めによる弁済額の15%~20%を目安にしてください。弁護士費用について各種、紹介しましたが、弁護士事務所によって料金表は異なるため事前に事務所へ確認するようにしましょう。
支払督促をする方の中には、事業の資金繰りに苦労しているため、早く債権回収したいため支払督促を選択されている方も多いでしょう。そこで、弁護士費用を安く抑えるためのコツについて紹介していきます。
安く抑えるためのコツとして、まずは無料相談を設置している弁護士事務所の無料相談を活用することです。事前に初回限定で無料相談を行っている事務所をいくつかピックアップした上で、弁護士事務所を何件か回ってみましょう。
通常にかかる相談料を安く抑えることができる上に、弁護士を見る目が肥えてくるためどの弁護士に依頼するべきかより明確になります。
また、仲の良い同業者や取引先から弁護士を紹介してもらうことも費用を安く抑える上で効果的です。
同業者や取引先の方で、債権回収を弁護士に依頼した経験がある方がいれば、どのように債権回収を進めていくべきか、どの弁護士へ依頼するべきか教えてもらうことで時間と費用を抑えることができます。
さらに回収をする債権に関して、取引先や同業者が関わっているのであれば、弁護士費用の折半してもらうことを提案してみてはどうでしょうか。
支払督促は、順調に進めば弁護士に支払う費用は変動しないでしょうか、訴訟へ発展した場合、支払督促は成功したけど弁済に応じないため強制執行の手続きを進める場合など、正確な費用を事前に出すことは難しいです。
そのため、相談の段階で、大まかで良いので状況別に費用の見積もりを出してくれる弁護士を選びましょう。費用の見積もりを出してくれる弁護士であれば、こちら側の費用の面も気にかけてくれるため、後で高額な費用が請求されるリスクは少ないと思います。
事前にどれくらいの費用がかかるのか知っておくことは、結果的に費用を抑える上で大切です。
債権回収をする上で、弁護士に依頼しなくても裁判所へ申立費用を納めなければなりません。元々、契約違反をしたのは債務者であるのに、申立費用も負担しなければならないことに対して、不満を覚える方も多いかと思われます。
しかしながら、申立費用に関しては事前に裁判所へ納めなければなりませんが、支払督促の手続きを介して、債務者へ申立費用を請求することは可能です。
申立費用を債務者へ請求したいのであれば、支払督促を申立てる際に支払督促申立書に、請求に関する記述を加えてください。
支払督促は手続きが容易であることから利用しやすいことをお伝えしてきましたが、支払督促にも少なからずデメリットがあることを理解した上で支払督促を利用するか否か考えていただきたいものです。
支払督促を検討している方のためにもデメリットを正直にお伝えしたいと思います。
先ほども少しお伝えしましたが、支払督促を受け取った債務者は裁判所に対し「異議」を申し立てることですぐに支払督促は無効になります。
債務者が異議を申し立てるのは非常に容易なため、支払督促自体が時間稼ぎにしかならない場合が考えられます。
容易な手続きかと思っていた支払督促も、異議を出されたことで無効になる上に自働的に通常の裁判が始まってしまいます。
裁判に移行すると追加で費用を払い、必要書類などを集める作業を行わなければいけません。場合によっては二度手間になってしまうことがあるのです。
はじめから裁判を起こす場合と支払督促から裁判に移行した場合とでは、移行した裁判のほうが解決までの時間を要することでしょう。
ちょっとした差に思えますが、早期解決を目指しているのであればこうした少しの差が時間のロスを生むのです。
通常の裁判ですと訴えをおこす側の所在地に近い裁判所で行われますが、支払督促を出したあとの裁判は債務者の所在地に近い裁判所で行います。
つまり債権者がわざわざ債務者の所在地まで行くことになるのです。
自働的に移行してしまった裁判は、取り下げることができます。取り下げは、債務者が督促異議申立をした裁判所へ、印鑑を持参した上、支払督促申立て取下書を提出しましょう。
また取下げの申立の費用として、裁判所によっては郵券切手代が必要な場合がありますが、取下げを申立てるのに手数料はかかりません。また支払督促申立て取下書の雛形として、「支払督促申立て取下書|裁判所」を参考にしてください。
取り下げをした時点で、支払督促での債権回収の見込みはなくなりますのでその点もお考えいただければと思います。
上記では支払督促のデメリットをお伝えしました。簡単にまとめると、相手が異議を出してきそうな場合は(すでに債務者ともめているなど)支払督促ではなくはじめから裁判を行ったほうが時間も費用も労力もかからない可能性があります。
支払督促を出したことで解決するのであれば支払督促はとても便利性の高いものといえるでしょう。
しかし、支払督促で解決しなかった場合のことを考えた上で支払督促を出すか、またははじめから裁判で債権回収を行うのかよく考えることが大切といえるでしょう。
支払督促は訴訟と比べると費用が安く着手しやすい手続きですが、訴訟や強制執行に備えるためには弁護士に依頼するのが効果的だと思います。支払督促の費用面に関して当記事がお役に立てたら幸いです。
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