仮差押とは本裁判前に債務者が財産を処分することを禁止するための民事保全手続きです。
仮差押は債務者の財産処分を禁止することで強制執行前に財産が散逸してしまうことを回避するために行われます。具体的にどのような効果が望めるのでしょうか。
今回の記事では、仮差押が債務者へ与える影響力、仮差押を利用する上での注意点、仮差押の申立方法について説明していきます。
仮差押えをご検討中の方へ
仮差押えの申し立ての際には、被保全権利(債権)の存在や保全の必要性(仮差押をする必要性)など、法的根拠に基づきを主張しなければなりません。
この手続きを法律の知識が乏しい方が、一人で行うのはとても大変なことでしょう。
仮差押えをご検討中の方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士に相談・依頼するメリットは下記の通りです。
- 自分にあった債権回収方法の提案
- 仮差押の手続き・書類作成
- 仮差押え後の債権回収・手続き
- 債務者との交渉 など
債務者が破産・再生手続きをおこなうと、回収できなくなる可能性があります。
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仮差押が債務者へ与える効力
早速ですが仮差押は債務者へどのような影響を与えるのかを説明していきます。
財産が処分できなくなる
訴訟による債権回収は、最終的には強制執行により債務者の財産を差し押さえしなければなりません。
しかし、訴訟手続から強制執行を終えるまでには、1年以上の期間を要するのが通常であるため、手続きを終えるまでに、預金口座の残高を抜かれる、不動産の名義を変えられるなど、債務者が財産を処分してしまう可能性があります。
この場合、債務者が隠した財産を特定できなければ、強制執行をしても債権回収はできません。
そこで、仮差押は、相手方が財産を処分することを禁止し、このような責任財産の散財を回避するのです。
仮差押は、スムーズにいけば一週間程度で済ませることができるので、相手方が財産を処分する余裕を与えません。
債務者にプレッシャーをかけられる
仮差押をすることで債務者が弁済に応じることがあります。
というのも、債務者は仮差押の処分を受けると、当該財産を処分できなくなり、色々と不都合が生じるためです。
例えば、預金口座を仮差押した場合、仮差押の範囲で預金取引ができなくなりますので、場合によっては預金全部が凍結されてしまう可能性があります。
そのため、仮差押を行えば、債務者との交渉が有利に運ぶことがあります。
仮差押を利用する上での注意点
仮差押がどのような効果があるのかがわかりましたが、申立をする上で注意するべき点があります。
申立の手続きは簡単ではない
まず、法律の専門性のない個人にとって、仮差押の手続きは簡単ではありません。
申立の際に、被保全権利(債権)の存在や、保全の必要性(仮差押をする必要性)など、法的根拠に基づき申立の正当性を主張しなければならないからです。
そのため、仮差押を検討している方は、弁護士に依頼することをオススメします。
保証金(供託金)を提供しなければならない
仮差押が完了すると、債権者は訴訟、少額訴訟、支払督促などを介して、債権者の主張が正しいことを本裁判で認めてもらわなければなりません。
この主張が裁判所から認めてもらえなかった場合、債務者は仮差押によって被った損害を債務者へ請求することができます。
そのため債権者は、仮差押をするにあたり、債務者へ発生するかもしれない損害に備えて、法務局へ供託金を提供しなければなりません。
債務者が倒産すると仮差押の効果は無くなる
仮差押が認められても、債務者が倒産手続(破産・会社更生・民事再生)に入ってしまえば、仮差押対象財産を含め、同手続内で処理されることになります。
仮差押をしていても、手続での優先弁済を主張することはできません。
仮差押をする方法とその流れ
続いて仮差押をする方法を順追って説明していきます。
申立
まず、仮差押を申し立てる前に、差し押さえしたい財産を特定しなければなりません。
そのため、債務者がどのような財産を所有しているのか調査する必要がありますが、動産(自動車・現金・骨董品など)に関しては、財産が特定できなくても申立自体は可能です。
必要書類と申立費用
申立には、以下の書類を揃える必要があります。
また、申立費用として、収入印紙代と郵券切手代がかかりますが、印紙は申立書に貼り付けてください。
- 収入印紙代(手数料):2,000円
- 郵券切手代:数千円分(債務者数や仮差押え物による)
参考:保全事件予納郵券等一覧表|裁判所
申立書類の書き方について詳しくは「民事保全|裁判所」を参考にしてください。
書面審理・債権者面接
申立が完了すると、書面審理または、裁判官との面接を介して、申立人の主張の正当性を確かめるための証拠調べをします。
書面審理は、申立書と疎明資料を元に行われます。仮差押の手続きは、債務者に内密で行われるため、債務者へ尋問は行われません。
担保決定
債権者への審理が完了すると、今度は担保金を供託するための手続きに進みます。
供託は、申立先の裁判所を管轄する法務局にて行いますが、担保金の相場は債務者へ請求する額の2割~3割を目安に考えてください。
供託が完了したら、供託が完了したことを裁判所に証明するために、以下の書類を提出しなければなりません。
- 供託書のコピー
- 当事者目録
- 請求債権目録
- 物件目録
- 登記権利者・義務者目録
- 登録免許税用の収入印紙
収入印紙の金額は、請求債権額の1,000分の4です(ただし、請求債権額の1,000円未満は切り捨てを行い、1,000分の4を乗じた額から,100円未満を切り捨てた額となります)。
※印紙額が1,000円未満の場合は1,000円。
保全決定発令
仮差押が無事完了すると、債務者へ仮差押決定が送られます。仮差押は、民事訴訟で債権者の請求内容について白黒つける前に行われますが、債務者は、裁判所に対し、本案(本裁判)の訴えを提起することを命じるよう申し立てることができます。
当該申立てがあれば、債権者は裁判所が指定する一定期間内に訴えを提起する必要があり、訴えを提起しない場合保全命令は取り消されます。
参考:「債権回収の民事訴訟を起こす上で抑えておきたい知識まとめ」
仮差押を弁護士に依頼するべき理由
最後に仮差押を弁護士に依頼するべき理由について説明していきます。
財産調査を行ってもらえる
仮差押は、差し押さえすることで債権額を満たすことができるであろう財産が特定できていなければ申し立てる意味がありません。
そのため債務者がどのような財産を所有しているのか調査する必要がありますが、差し押さえる価値がある財産かどうかを見極めるのは難しいでしょう。
適切な財産を調査するためにも弁護士に依頼するべきです。
手続きには専門性が問われる
先ほどお伝えした通り、申立書類の作成など仮差押の手続きは専門性を要する上に、手続きは早く済ませなければなりません。
法律の知識のない方にとって仮差押の手続きは負担が大きいと思いますが、弁護士に依頼することで手続きの全てを任せることができます。
まとめ
仮差押は、債権回収の確実性を高める上で効果的ですが、差し押さえをすることを前提に行われます。差し押さえをする方法について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【参考】
▶「強制執行で債権回収するために必要な知識のまとめ」
▶「強制執行で差し押さえするために必要な知識と方法のまとめ」
仮差押えをご検討中の方へ
仮差押えの申し立ての際には、被保全権利(債権)の存在や保全の必要性(仮差押をする必要性)など、法的根拠に基づきを主張しなければなりません。
この手続きを法律の知識が乏しい方が、一人で行うのはとても大変なことでしょう。
仮差押えをご検討中の方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士に相談・依頼するメリットは下記の通りです。
- 自分にあった債権回収方法の提案
- 仮差押の手続き・書類作成
- 仮差押え後の債権回収・手続き
- 債務者との交渉 など
債務者が破産・再生手続きをおこなうと、回収できなくなる可能性があります。
初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。