1. 給料を差し押さえる方法と手順|差押えを成功させるための秘訣

給料を差し押さえる方法と手順|差押えを成功させるための秘訣

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弁済に応じない相手から債権回収をするために、給料を差押えするのは効果的な方法だと言えるでしょう。回収したい相手がアルバイトでも雇用されていれば、差押え後に継続的に給料の一部から弁済してもらうことができるからです。

 

今回の記事では、給料を差し押さえるにあたり、知っておきたい基本事項や差押えをする方法と手順について説明していきます。

 

 【目次】
給料の差押えをする上で知っておきたい事前知識
給料差押えとは?
雇用主が第三債務者になる
給料差押えの上限金額
給料差押えの方法と手順
債権差押えの申立て
差押命令
債権の差押
手続きの完了|取立完了届の提出
給料の差押え額が債権額に満たなかった場合はどうすればいいのか
取下書の提出
他の財産も差押さえする
弁護士に依頼するべきかどうか
弁護士に依頼するメリット
弁護士費用の相場
まとめ

 

給料の差押えをする上で知っておきたい事前知識

まず、給料の差押えをする前に、差押えとはそもそもどういったものなのかについて理解するべきでしょう。

 

給料差押えとは?

差押えとは、裁判所を通じて、相手側が所有する特定の権利を強制的に、申し立てた人へ移すための手続きです。

 

債務名義の一覧

差押えをするためには、裁判所で強制執行手続きを行わなければなりませんが、強制執行の申立ては、債務名義を取得していることが前提です。債務名義とは、公的に債権者の債権の存在を示すための文書になります。

 

民事訴訟によって取得できる確定判決をイメージされるとわかりやすいと思いますが、確定判決以外も、公正証書、仮執行宣言付支払督促などがあげられます。各種、債務名義の取得方法は以下の表を参考にしてください。

 

債務名義

取得方法

裁判所

公正証書

債務者との話合い

×

仮執行宣言付支払督促

支払督促

少額訴訟判決

少額訴訟

和解調書

訴訟

仮執行宣言付判決

確定判決

 

雇用主が第三債務者になる

給料の差押えを行うことによって、相手側が所有する給料債権の一部は差し押さえられてしまいます。差押えの対象となる相手側は、給料債権という面では法的に債権者であり、この相手側の雇用主は債務者にあたります。

 

雇用主は、差押えを申し立てられたことによって、差押えを申し立てた人の債務者として、申立人へ弁済をしなければなりません。つまりは、差押えをすることで、申立人は雇用主から給料分を弁済してもらうということです。

 

給料差押えの上限金額

差し押さえることができる給料には上限金額が設定されています。これは差押えられた相手の最低限度の生活を保障するためです。手取り額が44万円以下の場合と、44万円を超える場合で上限金額は異なりますが、差押え可能な給料の上限金額は以下の通りになります。

 

  • 手取り額が月額44万円以下の場合:手取り額の内の1/4
  • 手取り額が月額44万円を超える場合:手取り額から33万円控除した金額

※手取り額:所得税・お表現住民税、社会保険料、通勤手当を控除した手取り額が対象

 

養育費など扶養義務債権の場合

また、養育費などを理由に差押えをする場合は、差押え可能な給料の額は高額になります。手取り額が月額66万円以下の場合と、66万円を超える場合で異なりますが、上限金額は以下の通りです。

 

  • 手取り額が月額66万円以下の場合:手取り額の内の1/2
  • 手取り額が月額66万円を超える場合:手取り額から33万円控除した金額

 

参考:「養育費を差し押さえるための条件と手順|事前に知っておくべき注意点まとめ

 

役員報酬は全額差押え可能

差し押さえる相手が、取締役、監査役などの地位についている場合は、全額分の給料(役員報酬)を差し押さえることができます。取締役、監査役の方は、会社から雇用されているわけではありません。会社とは雇用契約ではなく、委任契約を結んでいることになるため、全額分の差押えが可能です。

 

給料差押えの方法と手順

給料の差押えは、債権差押えとして行います。そのため、債権差押えの手続きの方法を順を追って確認していきましょう。

参照:「債権差押命令手続の流れ - 裁判所

 

債権差押えの申立て

まず、債権差押えの申立てをしますが、申立てには以下の書類が必要です。

  • 差押命令申立書
  • 当事者目緑
  • 請求債権目録
  • 差押え債権目録
  • 執行力のある判決の正本(債務名義)
  • 送達証明書

 

必要書類の記載方法については「債権執行」を確認してください。また、申立時には手数料として約4,000円、郵券切手代として約3,000円を納めなければなりません。

 

【参照】

▶「債権差押命令申立てをされる方(債権者の方)へ|裁判所

▶「申立手数料,予納郵便切手及び目録必要部数一覧表|裁判所

 

差押命令

債権差押えの申立てが受理されると、差押命令正本が債務者(相手方)と第三債務者(雇用主)、正本が郵送された事実を伝える送達通知書が債権者(申立人)へ郵送されます。

 

陳述書の返送

第三債務者(雇用主)は、差押命令が送られた後に、裁判所へ陳述書を返送しなければなりません。

 

債権の差押

他に債権者がいた場合、または第三債務者(雇用主)が供託をした場合によって、金銭の受け取り方法が異なります。

 

※供託とは:金銭、有価証券など所有する資産を供託所に預けるための手続。各債権者は、供託所に預けられた債権、資産を配当という形で、債権額に応じて配当金を受け取ることになる。

 

裁判所にて配当手続き(債権者が他に存在した場合)

給料債権を差し押さえている債権者が他にいた場合、第三債務者(雇用主)は第三債務者供託の手続きをしなければなりません。各債権者には、第三債務者(雇用主)が供託した資産の中から、配当が割り当てられます。配当を受け取るために裁判所の指示に従って手続きを行ってください。

 

裁判所にて弁済金交付手続き(第三債務者が供託した場合)

他に債権者はいないが、第三債務者(雇用主)が供託をした場合、弁済金交付手続きを行うことによって、弁済してもらうことになります。裁判所から手続きの方法に関する連絡が届くので、裁判所の指示通りに手続きを行いましょう。

 

取り立て

上の二つの項目に該当しないのであれば、差押命令の送達後の一週間後に、第三債務者(雇用主)へそのまま取り立てることが可能です。どのように弁済してもらうかは、第三債務者(雇用主)と話し合った上で決めましょう。

 

手続きの完了|取立完了届の提出

給料の差押えは、債権額と申立費用の合計額に達するまで行うことができます。請求金額の全額に達したら、裁判所へ取立完了届を提出してください。

 

給料の差押え額が債権額に満たなかった場合はどうすればいいのか

給料の差押えをしたが、回収途中で相手側が仕事を辞めてしまったため雇用主から取り立てをすることができなくなった場合、どうすればいいのでしょうか。

 

取下書の提出

まず、途中で回収不能になった場合は、差押命令を取下げるための取下書と、債務名義を手元に戻すための債務名義還付申請書を裁判所へ提出しましょう。取下書の提出は、弁済が完了した時点でも必要です。

 

他の財産も差押さえする

次に、差押えをしたい相手側に、他に差し押さえることができる財産がないか検討しましょう。

 

預金債権

もし、相手側が貯蓄している預け先の金融機関が分かっているのであれば、預金を差し押さえることも効果的です。預金債権の差押えは、給料の差押えと同様の方法で行います。

 

不動産

相手側が不動産を所有している場合は、不動産の差押えも検討しましょう。不動産は高額な資産であるため、十分な回収が見込めるからです。しかし、申立費用が高い上に、十分な回収ができないこともあるので注意してください。

 

不動産を差し押さえる方法について以下の記事を参考にしていただけたらと思います。

 

参照:「不動産を差し押さえる方法と確実に債権回収するために必要なこと

 

換金価値のある資産

車や有価証券など換金価値のある資産を差し押さえることも一つの手段です。動産執行を通じて差し押さえることになりますが、手続きの方法は「動産執行」を参考にしてください。

 

弁護士に依頼するべきかどうか

では最後に給料の差押えを弁護士に依頼するべきかどうかを検討していきます。

 

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するべきかどうかは依頼する人の状況によって異なりますが、まずは依頼することでどのようなメリットがあるのかを知っておきましょう。

 

回収の確実性が上がる

弁護士に依頼するメリットは、個人で回収するより、確実に債権の回収が行えることです。どの資産を差し押さえることが一番効果的であるのかを調査した上で、差押え手続きに踏み込むことができるので、差押え申立てをしたのに回収できないなどのリスクを減らすことができます。

 

手続きの負担が減る

また、裁判所の手続きに不慣れな方にとって、差押えは負担が大きいでしょう。弁護士に依頼することで、申立書類の収集から作成まで代わりに行ってもらえます。

 

弁護士費用の相場

差押えによって回収した金額と比べて、弁護士費用が高くついてしまったら意味がありません。そのため、事前に弁護士費用がどれくらいかかるのかを押さえておくべきです。

 

弁護士費用は、受任時に発生する着手金、案件が完了時に発生する報酬金に分けることができますが、費用の相場は以下の通りになります。

 

<着手金>

  • 請求金額300万円以下:4%~8%
  • 請求金額300万円超、3000万円以下:2.5%~5%
  • 請求金額3000万円超、3億円以下:1.5%~3%
  • 請求金額3億円超:1%~2%

 

<報酬金>

  • 回収金額300万円以下:4%~16%
  • 回収金額300万円超、3000万円以下:2.5%~10%
  • 回収金額3000万円超、3億円以下:1.5%~6%
  • 回収金額3億円超:1%~4%

 

どれくらいの回収金額が期待できるのか、弁護士費用はどれくらいかかるのかについては、詳しくは、弁護士事務所に相談してください。

 

まとめ

給料の差押えは債権回収の一つの手段ですが、他の資産も差し押さえることができるのか事前に検討しておくべきでしょう。一般的な差押え方法として、以下の記事も参考にしてください。

 

参考差し押さえの全知識|差し押さえの手続きと費用の解説

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編集部

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