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弁護士保険で法律トラブルに備える
借金の返済が滞っており、困っている債権者の方も多いのではないでしょうか。
仮差し押さえをするべきかどうか悩んでおり、具体的にどのようなものか調べている方も少なくないでしょう。
仮差し押さえをする場合、裁判所に申し立てをしたり、書類を準備したりする必要があるなど、簡単に解決できないこともあります。
債権トラブルを確実に解決するためにも、できる限り早い段階で信頼できる弁護士に相談するのがおすすめです。
本記事では、裁判手続きを始める前に仮差し押さえをしておくメリットや仮差し押さえをするための要件のほか、仮差し押さえ手続きの流れや注意点について解説します。
仮差し押さえとは、債権者が債務者の財産の処分を一時的に禁止し、金銭債権を保全する手続きのことです。
債務者の財産をあらかじめ確保し保全することが仮差し押さえの目的です。
(仮差押命令の必要性)
第二十条 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
仮差し押さえが認められると、債務者は対象財産を処分することができなくなります。
不動産などについては、仮差し押さえ後に勝手に売却等の処分をされたとしても、債権者はその不動産の譲渡を無視して強制執行することができるようになります。
ただし、仮差し押さえはあくまで処分禁止・保全を目的とした手続きであるため、即座に強制執行できるわけではありません。
強制執行をして債権を回収するためには、別途本訴を提起して勝訴の確定判決を得る必要があります。
仮差し押さえと差し押さえの大きな違いは、判決前に債務者の財産を保全できるかどうかです。
仮差し押さえは訴訟前や訴訟中に債務者の財産を保全することを意味しますが、差し押さえは判決後に債務者の財産を保全することを指します。
債権を回収したくても、訴訟などの手続きをしているうちに、債務者が勝手に自分の財産を処分したり、財産隠匿をしたりする可能性があります。
債務者が財産を処分や隠匿をすると、債権者はその財産から債権を回収できなくなってしまいます。
そういった際、仮差し押さえをすることで、債務者の預金や不動産などの財産を、債務者が勝手に処分できなくなります。
一方、差し押さえは、債務者に対する裁判で勝訴し、強制執行手続きを進めることで、債務者の財産を売却してその代金から債権を回収するための手続きを指します。
債権者は差し押さえの手続きを通じて債権を確実に回収できるのです。
ここでは、裁判手続きを始める前に仮差し押さえをしておくメリットを解説します。
仮差し押さえは、可能な限り多くの債権を回収するために利用されます。
訴訟で勝訴するまでの間に債務者に財産を処分され、債権を回収できなくなるリスクを回避するために、債務者の財産を凍結してしまう方法が仮差し押さえです。
債権者が仮差し押さえをした場合でも、不動産に関しては第三者に売却される可能性があります。
しかし、債権者は勝訴判決を得た後、売却手続きを無視して、当該不動産に対して強制執行ができるため、結果的に債権を回収できます。
このように、債務者が判決前に不動産を処分するリスクに備えるため、仮差し押さえがされることがあります。
不動産や預金口座などの資産に対して仮差し押さえがなされた場合、債務者側から債権者との和解を提案することがあります。
仮差し押さえの状態が長く続くと信用が傷つくなど、債務者にとってマイナスの影響が大きくなるためです。
このような事情をふまえ、交渉などによる迅速な解決を目指すために、仮差し押さえがなされるケースがあります。
ここでは、仮差し押さえをするための要件3つをそれぞれ解説していきます。
仮差し押さえをおこなうためには、金銭債権があることを証明しなければなりません。
仮差し押さえは正式な訴訟ではないため、高度な証明は不要ですが、裁判所が仮差押命令を出せると判断できる程度の証拠は必要となります。
仮差し押さえが認められるためには、保全の必要性があると立証する必要があります。
保全の必要性とは、判決の内容を執行するため、債務者の財産を保全する必要があるのかどうかを指します。
たとえば、相手方の資産状況が悪化しており、判決を待っていると資産が散逸してしまうおそれがある場合です。
相手方に十分な支払い能力があるなど、仮差し押さえをしなくても判決の内容を執行できると判断された場合には、保全の必要性は認められません。
仮差押命令の対象は、債務者が所有する特定の財産です。
【仮差し押さえの対象となる主な財産】
仮差し押さえは債務者の具体的な資産に対しておこなわれますが、法律上、現金、貴金属、宝飾品などの動産については、特定することは求められていません。
もっとも、裁判所が保全の必要性を判断する際、仮差し押さえによって、債務者にどのような影響を与えるかが、判断要素の一つとなっているため、申立の際に動産を特定していない場合は、面接の際に釈明を求められることになります。
(仮差押命令の対象)
第二十一条 仮差押命令は、特定の物について発しなければならない。ただし、動産の仮差押命令は、目的物を特定しないで発することができる。
ここでは、仮差し押さえの手続きをする際の5つのステップについてそれぞれ解説していきます。
仮差し押さえの手続きには、以下のような書類を用意しなければなりません。
【仮差し押さえの申し立てに必要な書類の一覧】
また、申し立て費用として収入印紙や切手が必要になるため、事前に確認しておくようにしましょう。
仮差し押さえを申し立てる前に、債権者は裁判所に対して仮差押命令申立書を提出します。
この際、仮差し押さえの要件を満たさなければなりません。
要件には「保全の必要性」と「保全すべき権利」が含まれます。
債権者は差し押さえたい財産を特定するため、債務者の所有する財産を調査しなければなりません。
本訴の場合、公開の法廷で口頭弁論手続きがおこなわれ、原告と被告の両方が出廷して主張や立証、反論や反証を実施します。
ただ、仮差し押さえ手続きは本訴とは異なり、非公開の場で裁判官と債権者のみで面接形式でおこなわれます。
仮差し押さえは債権者の申し立てと証拠のみで裁判官が判断し、疑問点があれば債権者との面接がおこなわれます。
つまり、本訴では当事者双方の主張を聞くのに対し、仮差し押さえでは債権者側のみの主張と証拠で手続きが進められることになり、この点が大きな違いです。
仮差し押さえの担保金(供託金・保証金)は、債権者が仮差し押さえを申し立てた際に、債務者に不当な損害を与える可能性に備えて支払う担保です。
担保金は債務者に対する請求額の1割から3割程度が目安です。
この担保金は、将来の強制執行に備えて設定されます。
具体的な担保金の金額は、対象資産の価値や債務者が被る不利益の程度、債権の存在確度などを考慮して裁判官が決定します。
仮差し押さえがおこなわれた後、債務者には仮差押決定が送達されます。
その後、債務者は裁判所に対し、本案訴訟の提起を命じる申し立てができます。
この申し立てがあった場合、債権者は裁判所が指定する期間内に訴えを提起する必要があり、期間内に訴えが提起されないと仮差押命令は取り消されます。
つまり、仮差し押さえの段階では債権者の請求内容についての本案判断がされておらず、債務者に本案訴訟を求める機会が与えられているということです。
ここでは、仮差し押さえの手続きをする際の3つの注意点について解説していきます。
仮差し押さえは、債権回収において有効な手段となりえますが、実務的な知識と経験が必要になる複雑な手続きです。
判断を誤ると、かえって債権回収が困難になる可能性もあります。
独断で判断せず弁護士に相談すると、適切な判断と迅速な手続きのほか、メリット・デメリットの分析や、早期解決によるコスト削減などの効果が期待できます。
仮差し押さえをする際、債権者は慎重に対応しなければなりません。
仮差し押さえを債務者に知られると、財産を処分してしまう可能性があるためです。
債務者が財産を処分すれば、後に本訴をしても無駄になってしまいます。
そのため、債権者は債務者に気付かれないよう仮差し押さえの手続きを進め、細心の注意を払う必要があるでしょう。
仮差し押さえは、倒産手続きを妨げるものではありません。
倒産手続きにおいて確実に債権回収するためには、早期に債権を確定させ、弁済を主張することが重要です。
ここでは、仮差し押さえに関してよくある以下の質問について解説します。
仮差し押さえでは、主に以下のポイントを把握しておく必要があります。
【仮差し押さえを成功させるためのポイント】
仮差し押さえは債権回収をおこなうために有効な手段ですが、準備を正しく進めなければ期待どおりの効果を感じづらくなるため注意が必要です。
仮差し押さえの申し立てをするかどうかを検討する際は、状況やリスクを総合的に判断しなければなりません。
メリットとしては、債務者の資産を確保できる点が挙げられます。
一方で、手続きにコストがかかり、債務者との関係が悪化するリスクもあります。
仮差し押さえをすべきかどうかはケースバイケースになるため、弁護士に相談し、アドバイスを得ながら最適な対応を検討しましょう。
債務者が借金の全額を支払った場合は、すぐに仮差し押さえを取り下げましょう。
裁判所に担保金を預けている場合は、取り消し手続きをおこないます。
仮差し押さえをおこなっても債務者が借金を支払わないときは、訴訟の準備をしなければなりません。
債権トラブルを抱えている場合、早い段階で弁護士に相談しなければ思わぬ事態に発展する可能性があります。
債権トラブルが発生したら、仮差し押さえ手続きや必要書類などさまざまな準備をおこなわなければなりません。
ただ、債権トラブルに関する全ての手続きをご自身でおこなうのは難しいものです。
そのため、法的手続きの必要が出てきた段階で迅速に弁護士に相談する必要があるでしょう。
弁護士に依頼すると面倒な手続きを一任でき、当事者同士のトラブルにも迅速に対応してもらえます。
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