差押えは裁判所を介して債務者から強制的に債権回収する方法です。差押えを申し立てる方は、対象の財産を選ばなければなりませんが、債務者の預金口座を対象に選ぶ債権者は少なくないでしょう。財産の種類によって手続きの方法は異なりますが、債務者の口座を差し押さえるためにはどうすればいいのでしょうか。
今回の記事では、債務者の口座を差し押さえる方法、差押えをする上での注意点について紹介していきます。
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- 差し押えの手続き・書類作成
- 差し押え後の債権回収・手続き
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債務者の口座を差し押さえる方法と手順
預金口座を差し押さえるためには、債権差押の申立てをしなければなりません。債権差押とは、債務者が所有する債権を差し押さえる手続きであり、対象の債権の債務者(第三債務者)から弁済を受けることになります。
預金口座の残高がある方は、銀行などの金融機関からお金を受け取る権利(債権)がありますが、お金の引き落としという点では銀行は債務者です。つまりは預金口座を差し押さえる場合、債権者は債務者の口座を管理している金融機関から弁済を受けることになります。
参照:「債権差押命令手続の流れ - 裁判所」
債権差押の申立
では、債権差押の手続きの流れを確認していきますが、手続きを始めるにあたって、まずは債権差押の申立をします。
- 差押命令申立書
- 当事者目緑
- 請求債権目録
- 差押え債権目録
- 債務名義(執行力のある判決の正本等)
- 送達証明書
申立には、上記の書類が必要になりますが、必要書類の記載方法については「強制執行申立から差し押さえまでの流れ」を確認してください。また、申立費用として収入印紙代の4,000円、郵券切手代の約3,000円を納めなければなりません。
【参照】
▶「債権差押命令申立てをされる方(債権者の方)へ|裁判所」
▶「申立手数料,予納郵便切手及び目録必要部数一覧表|裁判所」
差押命令
申立が受理されると、差押命令正本が債務者と口座を管理している金融機関へ郵送されますが、申立をした債権者には送達通知書が送付されます。この差押命令が送られた時点での口座の預金残高が、差し押さえの対象額です。
この時、債務者の口座は凍結されることはないため、口座へ引き続き入金される可能性はありますが、差押命令後に振り込まれたお金は差し押さえの対象には含まれません。
陳述書の返送
差押命令が送達されると金融機関は陳述書を提出します。陳述書とは、差し押さえの対象の債権(預金口座残高)から差し押さえ可能な金額を記入するための書類です。
債権の差押え
差し押さえ可能な額が判明したら、金融機関は請求額を債務者の口座から引き落として別口座(差押口)へ移管します。弁済方法については、金融機関側との話し合いによって決まります。
裁判所に取立完了届の提出
金融機関から弁済を受けたら、裁判所へ取立完了届を提出してください。
預金口座から十分な金額が差し押さえできなかった場合の対処方法
預金口座の差し押さえによって回収できる金額は、口座にある預金残高が上限です。そのため、預金残高の額が債務者への債権額に満たない場合、残りの債権額を回収するために、別の方法で回収しなければなりません。
再び預金口座の差し押さえをする
先ほどお伝えした通り、債務者の口座を差し押さえしても、口座が凍結されることがないため、第三者が債務者の口座へ入金することは可能です。もし、預金残高の額が債権額に満たなかった場合は、再び債務者の口座を差し押さえることも検討してください。
他の資産の差し押さえも検討する
しかし、預金口座から十分な額が回収できるとは限りません。
給料債権
そのため他の財産の差し押さえも検討するべきですが、債務者の給料を差し押さえするのも一般的です。給料の差し押さえは、預金口座の差し押さえと同じ手続きであり、給料を支払う雇用主から弁済を受けることになります。
また、差し押さえできる金額の上限は、債務者の給料の1/4までですが、債権額を満たすまで弁済を受け続けることが可能です。
不動産
債務者が不動産を所有しているのであれば、不動産の差し押さえを検討してみてもいいでしょう。不動産は高額な資産ですが、申立金額が高額である上に他の債権者も差し押さえを申し立てることもあるため、十分な額が回収できないことがあります。
不動産の差し押さえ方法については、「不動産を差し押さえる方法と確実に債権回収するために必要なこと」を参考にしてください。
自動車などの動産
自動車などの換金価値のある財産を差し押さえするのも一つの手段です。不動産でも債権でもない財産を差し押さえるためには、動産執行を申立てなければなりません。動産執行をする方法は、「動産執行の場合」を参考にしてください。
預金口座を差し押さえる上での注意点
続いて預金口座の差押えをする上で気を付けるべき点について紹介していきます。
差し押さえ前に口座から引き落としされることがある
まず、差し押さえ財産の中でも、預金口座は最も財産隠しが容易な財産です。差押命令が送達される前に、口座からお金が引き落とされた場合、引き落とされたお金を債権差押によって差し押さえることはできません。
銀行名と支店名を特定する必要がある
また、預金口座を差し押さえるためには、銀行名と支店名を特定する必要があります。債務者の預金口座の特定ができても、あまり利用されていない口座であることも考えられるので、もし回収の見込みのある口座の情報が不明確な場合は給料の差し押さえを検討した方がいいでしょう。
差押えの確実性を上げるためには?
差押えは対象の財産の情報がきちんと把握できた状態で行わないと、申立にかかった費用と時間が無駄になることがあります。
財産開示手続をする
差押えを確実に行うためには、債務者の財産をしっかり調査するべきですが、専門家に依頼しない限り調査をするのは難しいでしょう。もし個人で債務者が所有する財産を確認する場合は、裁判所を介して財産開示手続きをするのが有効です。
財産開示手続きの方法は、「財産開示手続きを介して確実に債権回収するために必要な知識」を参考にしてください。
仮差押えの申立を行う
差押えするのに、目ぼしい財産を特定できた場合は、仮差押えの申立をしましょう。差押えは手続きに時間がかかるため、その間に債務者によって財産を処分されることがあります。仮差し押えは、債務者が財産を処分することを防ぐことができるため、確実に差押えをするために有効です。
仮差押えの方法については、「差し押さえの費用倒れを防ぐための3つのチェックポイント」を参考にしてください。
弁護士への依頼
債務者の財産を確認する方法として、財産開示手続きが使用されることがありますが、債務者に財産の存在を隠ぺいされる可能性は否定できません。より確実に債務者の財産の調査を行うのであれば、弁護士に依頼するのがいいでしょう。
弁護士に依頼することで、裁判所の手続きがスムーズになる上に、依頼者の状況に適した回収方法を提案してくれるため、債権回収の確実性が上がります。
【参考】
▶「差し押さえを弁護士に依頼すべき理由と弁護士費用まとめ」
▶「強制執行の費用と弁護士費用の相場|強制執行を行う手順まとめ」
まとめ
債務者から債権回収する上で、債務者の預金口座を差し押さえするのは有力な方法ですが、預金口座以外の財産の差し押さえも検討しましょう。差し押さえをする上で以下の記事も参考にしていただけたらと思います。
参考:差し押さえの全知識|差し押さえの手続きと費用の解説
口座差押えをご検討中の人へ
口座差し押さえが成功すれば、まとまったお金を回収することが可能です。
その分、タイミングなどが重要になります。
口座差し押さえなどの強制執行をご検討中の方はできるだけ早く弁護士にご相談ください。
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- 差し押さえのタイミングの検討
- 差し押えの手続き・書類作成
- 差し押え後の債権回収・手続き
- 債務者との交渉 など
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