抵当権(ていとうけん)とは、銀行などからお金を借りる場合に不動産(建物や土地)に設定する担保物権(※)の1つです。
※ 担保物権とは
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債権者が確実に債権回収をできるよう、万が一債務者からの弁済がないときに、ほかの債権者よりも優先的に弁済を受けることができる権利。
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債務者の不動産に抵当権を設定しておくことで、なんらかの事情で債務者の返済が滞ったときでも、不動産を競売にかけることで得た代金で弁済(受けるはずだったローンの返済)を受けることができます。
この記事では、抵当権の効力、設定方法、主張する要件などを紹介します。
なお、本文では金融機関など抵当権を持つ債権者のことを抵当権者、抵当権を設定した債務者のことを抵当権設定者と呼びます。
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抵当権の基礎知識 | 効力・設定する方法・権利の主張要件
抵当権にどのような効力があるのか、どうやって権利を成立させるのか、そして第三者に権利を主張する場合に必要な要件について紹介します。
抵当権が持つ効力
相手にお金を貸した場合、『○月○日までに返済する』といった弁済期日をあらかじめ決めておくのが通常ですが、万が一弁済期(債務者が借金を返済して完済すべき時期)が到来しても、債務者から債務の弁済を受けられない場合は、抵当権のついた不動産を競売にかけることで、その売却代金から他の債権者よりも優先的に弁済を受けることができます。
例
金融機関A社から住宅ローンによる5,000万円の融資を受けたBさんは、あるときから返済費用を確保できず滞納するようになりました。Bさんは何度も届く催告書や、より厳しい対応である警告書の指示にも従わず、滞納をしはじめてから数ヶ月、そして半年が経ちました。
一向にBさんからの弁済を受けられない状態が続いたため、A社は債権回収の手段として競売を行うことを決めます。A社は抵当権が設定されているBさんの土地と建物を差し押さえて競売にかけることで、売却代金から住宅ローンの弁済を受けることができるのです。
このように、弁済期が到来しているにもかかわらず被担保債権(住宅ローン債権など)が弁済されない場合に、不動産など担保を売却して得た金銭で他の債権者よりも優先的に弁済を受けられる効力を、優先弁済的効力(ゆうせんべんさいてきこうりょく)といいます。
抵当権を設定する方法
抵当権の設定をするには抵当権設定契約書を作り、債務者との間で締結することで抵当権は成立します。
参考:抵当権設定契約証書 - 大阪府市町村職員共済組合
抵当権を第三者に主張するために必要なこと
抵当権の設定は口約束でも成立する場合がありますが、通常は抵当権設定登記を行うことになっています。登記とは法務局の登記簿に権利関係を登録することで、抵当権設定登記の場合はその不動産を管轄する法務局に抵当権設定登記申請書を提出することになります。
なぜ登記を行うのか
第三者に抵当権の存在を主張するためです。証拠がなければ水掛け論になってしまいますが、登記をしておけばそのリスクを回避できます。
抵当権付きの不動産でも第三者に売却することは可能ですが、その不動産に抵当権設定登記をしていないと第三者である購入者に抵当権の存在を主張できないため、住宅ローンなどの支払いが滞った場合など万が一のときに抵当権者が抵当権を実行することができません。つまり抵当権者は貸したお金の回収ができなくなるおそれがあるのです。
抵当権設定登記をしっかりしておくことで、第三者にも抵当権の主張ができ、もし住宅ローンなどの支払いの滞納があっても抵当権を実行できるのです。
抵当権設定登記にかかる費用
- 登録免許税:借入額×0.4%程度
- 司法書士費用:5万円~7万円程度
参考:国税庁|登録免許税の税額表
担保物権の種類
抵当権のように当事者の合意によって成立する担保物権のことを約定担保物権(やくじょうたんぽぶっけん)といい、合意や契約などはせずに、当然発生する担保物権のことを法定担保物権(ほうていたんぽぶっけん)といいます。
なお、担保物権には4つの種類が存在し、以下のように法定担保物権と約定担保物権に分類されます。
担保物権 |
法定担保物権 |
約定担保物権 |
当事者の合意とは無関係 |
当事者の合意によって成立する |
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抵当権の効力がおよぶ範囲と範囲外のもの
抵当権は建物や土地といった不動産を担保にするものですが、その効力の範囲は不動産だけに留まりません。
抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。
引用:民法
抵当権は建物以外のモノに効力を発揮する
簡単にいえば、抵当権を設定している不動産と一体となっている『建物以外のモノ』にも抵当権の効力が及ぶ、ということです。
ただし、土地と建物はそれぞれ独立の不動産とみなされますので、土地に設定された抵当権が建物に及ぶことや、建物に設定された抵当権が土地に及ぶことはありません。
では、建物以外のどういったモノに抵当権が及ぶのでしょうか?
付加物・従物・果実がそれに当たります。
付加物・従物・果実とは
不動産と一体化している物を一般に付加一体物と呼びますが、付加一体物には以下の物が挙げられます。
付合物
不動産の構成物の一部として認められ、不動産から取り外しが困難な石垣や立木、雨戸が該当します。事実上不動産から分離することができない物が付合物である、というのがポイントです。
従物
付合物と同様に不動産の構成物の一部ですが、こちらは不動産の所有権に属さずに独立した物が当てはまります。例えばエアコンや畳が従物として認められます。
抵当権の効力が及ぶかどうかは、抵当権の設定がされたときに存在していたかどうかで、抵当権の設定がされたときすでにその物があったのであれば従物として効力が及ぶ可能性があります。
果実
果実とはフルーツのことではなく、不動産用語で物から生じる利益のことで、『天然果実』と『法定果実』の2種類に分けられます。
天然果実…抵当権のついた不動産で自然に産出される果物や野菜など
法定果実…抵当権のついた不動産から生じる家賃や地代などの利益
通常、果実は抵当権の効力が及ばないとされていますが、債務不履行が起きた場合は果実にも抵当権の効力が及ぶ可能性があります。
抵当権の一種、根抵当権(ねていとうけん)とは
抵当権の一種として、根抵当権(ねていとうけん)と呼ばれる担保物権が存在します。これまで説明してきた抵当権は普通抵当権と呼びますが、普通抵当権と根抵当権の違いについて簡単に紹介します。
根抵当権は不特定多数の債権を担保にする
普通抵当権がある特定の債権を対象に設定する一方で、根抵当権は上限額の範囲内で債権を特定せずに設定します。
例えばA銀行とB社で金融取引をする場合、普通抵当権ならば1つの債権を対象に担保設定ができます。一方、根抵当権では債権を特定しないため、あらかじめ決めた額の範囲の中で複数の債権の担保に設定することができるのです。
引用元:不動産TIMES|抵当権と根抵当権の違いは?
被担保債権が消滅しても根抵当権は消滅しない
通常の抵当権は、被担保債権が消滅すれば抵当権も消滅します。例えば債権が借金ならば、債務者が債権者に対象の借金を弁済すれば抵当権が抹消されるということです。
しかし根抵当権の場合は、被担保債権が消滅しても抵当権は消滅せずに残ります。
このように一度の債権回収によって抵当権が消滅することはないので、同じ会社と取引を行うときにその都度、抵当権を設定する必要がないという点で効率的です。
(根抵当権)
第三百九十八条の二 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
引用元:民法
まとめ
いかがでしたでしょうか。
不動産担保ローンや住宅ローンによる融資をする場合、この抵当権はかかせません。また第三者に権利の存在を主張するために、必ず抵当権の設定登記を行いましょう。
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