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病院経営をおこなううえで、患者による医療費(薬代などを含む)の未払いは大きな問題の1つです。
病院側としては、債権未回収に終わらないためにも、債務者である患者に対して適切に回収対応をおこなう必要があるでしょう。
ただし、医療費には時効が設定されています。
対応に時間をかけてしまうと時効が成立し、回収できなくなる可能性もあるため、迅速な対応力なども必要といえます。
トラブルなくスムーズな回収対応を実現するためにも、医療費にかかる時効について要点を押さえておきましょう。
本記事では、医療費の未払いに関する時効期間や中断方法などを解説します。
医療費の時効は、2020年4月1日より前に発生したものであれば3年、同日以降に発生したものであれば5年と定められています。
時効の起算点(時効が開始される日)は、支払期限の翌日です。
たとえば、2019年の5月1日を支払い期限とした場合、原則的な起算点は2019年の5月2日となります。
医療費の時効については、以下いずれかの対応をおこなうことで中断することができます。
ここでは、時効の中断方法について解説します。
請求には「裁判上の請求」と「裁判外の請求」2つの方法があります。
裁判上の請求方法としては、主に以下があります。
上記いずれかの方法をおこない、請求が認められて裁判所より債務名義が獲得できれば、時効期間を10年間延長できます。
また債務名義を獲得することで、財産などを強制的に回収する強制執行(差押え)手続きの申立てをおこなうこともできます。
裁判外の請求方法として、債務者に対して債務の支払いを要求する催告書の作成・通知があります。
なお通知にあたっては、内容証明郵便を利用するのが一般的です。
催告書による通知をおこなうことで、時効完成を6ヵ月間延長できます。
「裁判上の請求」とは異なり、あくまでも一時的な延命手段ではありますが、時効成立が近い場合などは有効といえるでしょう。
催告書の作成形式としては以下のとおりです。
債務者の財産などを強制的に回収する「差押え」や、差押えの前段階にあたる「仮差押え・仮処分」などをおこなうことでも、時効を中断することができます。
また、差押えをおこなうには債務名義が必要ですが、仮差押え・仮処分については不要です。
裁判所にて、「差押え」または「仮差押え・仮処分」の申立て手続きをおこなって許可された場合、裁判所の指定する期間だけ時効を中断することができます。
ただし債務者が異議申立てをおこない、裁判所にて申立てが認められた場合は中断できません。
債務承認とは債務の存在を認める行為のことで、債務者によって以下の行為がおこなわれることでも、時効を中断することができます。
上記いずれかの行為がおこなわれた場合、時効経過は振り出しに戻り、一から時効を数え直します。
また、これは時効経過にかかわらず適用されます。
よって、時効期間を過ぎている場合でも、債務者が「債務の一部弁済」をおこなった場合などは、時効経過は振り出しに戻ります。
医療費の時効期間を過ぎていたとしても、必ずしも回収不可能となるわけではありません。
時効は、時効成立や支払放棄などを主張する時効の援用が、債務者によっておこなわれることで成立します。
そして、時効期間を過ぎていたとしても、時効の援用前に債務承認が行われれば時効は成立せず、回収対応をおこなうことができます。
なお、時効の援用方法について厳密な規定はなく、援用する意思が明確にされていれば、書面やメールなどでも認められます。
なお、援用前に有効な中断行為は債務承認だけです。
援用される前に請求(訴訟提起)したとしても、訴訟手続きにて援用の主張がされれば時効は完成して、請求は棄却されます。
未払い分の医療費の対応にあたっては、時効が成立する前に手続きを済ませる必要があるため、できるだけ迅速な対応力が求められます。
しかし場合によっては、対応時に思わぬ手間・時間がかかることもあります。
特に「裁判上の請求」によって時効中断をおこなう場合などは、最低限の法律知識を携えたうえで、書類準備や出廷などの裁判手続きを不備なくおこなう必要があります。
自力でスムーズに対応できるか不安がある場合は、債権回収について実績のある弁護士に相談すると良いでしょう。
弁護士であれば、医療費の時効について「どのような中断方法が適しているか」など、ケースごとに適したアドバイスが見込めます。
さらに法律知識も豊富であるため、書類準備や出廷などの裁判手続きの代理も依頼でき、スムーズな対応の進行が望めます。
医療費の時効は原則5年(2020年4月1日より前に発生したものであれば3年)と定められており、治療費だけでなく薬代なども時効の対象となります。
また時効については、「請求」「差押え(仮差押え・仮処分)」「債務者による債務承認」などをおこなうことで、中断することができます。
なお時効が成立するには、債務者による「時効の援用」がおこなわれる必要があります。
たとえ時効期間を過ぎている場合でも、債務者が「時効の援用」をおこなう前に債務承認を得ることで、回収対応をおこなうことができます。
ただし、未払い分の医療費の対応にあたっては、迅速な対応力が求められます。
少しでも疑問や不安がある場合は、債権回収について実績のある弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、今後の対応に関するアドバイスや対応時のサポートが望め、スムーズな問題解決が期待できます。
債権回収に注力している弁護士であれば、回収対応についてのアドバイスや各手続きについてのサポートなどが受けられるため、スムーズな回収が望めます。
特に、自力で回収対応を進める自信がない場合などは依頼することをおすすめします。
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