
弁護士へ依頼すると数十万~数百万の費用がかかる場合があります。
弁護士費用保険メルシーは弁護士依頼で発生する着手金・報酬金を補償する保険で、月額2,500円で幅広い法的トラブルで利用できます。
- 離婚
- 相続
- 交通事故(自転車事故)
- 近隣トラブル
- ネットの誹謗中傷 など
KL2021・OD・166
2021.02.25
民法上の時効には取得時効と消滅時効があります。消滅時効が成立するということは、借主にとっては借金返済義務から解放されるということである一方、お金を貸している貸主側にとっては損失以外の何ものでもありません。
消滅時効とは、債権者の持つ債権の時効期間が経過してしまった結果、債務者側に消滅時効の援用(抗弁)を許すことになってしまうのです |
換言すれば、消滅時効の援用がないまま債務者による支払がなされるならば、消滅時効は成立しません。
会社や債権者が損をしないためには、売掛金債権について、消滅時効の援用(抗弁)を許さず全額回収することが重要です。この記事では売掛金の時効や中断方法、回収するためのノウハウを紹介いたします。
売掛金・未収金の回収が得意な弁護士を探す 土日・19時以降も相談できる等 あなたに最適な事務所が見つかる! |
|
時効には「消滅時効」と「取得時効」との2種類がありますが、売掛金が時効により消滅してしまうケースは消滅時効にあたります。以下で解説します。
消滅時効とは、「一定の期間、権利が行使されなかった場合に、その権利を消滅させる制度」です。
これは「請求できるのに何もしないで放置するのであれば権利を認めない」という法律上の制度で、よく借金の返済に困った人が夜逃げをして姿をくらますなどの行為に出てしまうのは、消滅時効を成立させるためという理由もあると思われます。
売掛金が発生してから一定期間経過していると、消滅時効期間が経過した結果、回収すべき債権について、消滅時効の援用を許してしまう可能性があります。
改正債権法が施行された2020年4月1日以前に生じた債権に関しては、売掛金の内容に応じて消滅時効の期間は異なり、下記の通りです。
《売掛金の返済義務消滅までの期間》
時効期間 |
時効債務 |
1年で消滅 |
・宿泊料 飲食店や居酒屋などの「ツケ」もこれに該当する |
2年で消滅 |
・月謝/教材費 |
3年で消滅 |
・診療費 |
5年で消滅 |
・上記以外の売掛金 |
なお、2020年4月1日以降に生じた売掛金債権に関しては、
は、債権は原則として時効によって消滅するものと改正されました(新民法第166条1項)。
先ほど売掛金の消滅時効は「債権者が権利を行使できることを知ったとき(主観的起算点)から5年間権利行使しないとき」と紹介しました。
支払期限があるケースと支払い期限について特段決めていないケースでは起算点が異なります。それぞれについて確認しましょう。
例えば、2020年5月1日に契約し、2020年6月1日に支払うとの合意がされた場合、支払い日である2020年6月1日が起算点となり、2025年6月1日が消滅時効になります。
支払期限が契約日とずれるため、双方が同じ認識を持っているかが重要です。また、支払い期限についても口頭のみの取り決めである場合、トラブルになった場合不利になる可能性があります。
支払期限について特段の定めがない場合、契約日が時効の起算点となります。
ただし、請負代金に関して、納期はあるものの支払期限を定めていない場合、納品したときから時効が発生します。
例えば、2020年5月1日に契約し、納期が2020年6月1日で実際に2020年5月30日に提出したものの修正が必要になり、2020年6月3日に納品が完了した場合、起算点は2020年6月3日が起算点となり、消滅時効は2025年6月3日です。
時効が迫っている場合、以下の手続きをとることで債権者側は時効を中断することが可能です。
詳しく紹介します。
債権者側から債務者へ、以下のような4つの請求により時効を中断させることが可能です。
裁判所へ訴訟を提起することにより、時効を中断する方法です。裁判所に訴状が提出されたその時点で、時効中断の効力が生じます。
債権者が簡易裁判所に申し立て、裁判官ではなく書記官の判断で進行する簡易な法的手続です。これを行うことで、裁判所から「お金を返すように」と催促してくれます。
支払の強制力はありませんが、債務者から異議が出なければ、訴訟より早く債務名義(=強制執行できる原因書面)を取得することも可能です。
調停委員会(裁判官1名+一般市民から選ばれる調停委員2名=合計3名による委員会)が双方当事者の言い分を丁寧に聞き取り、必要があれば事実を調べ、法律及び一般常識に基づいて当事者双方に建設的な歩み寄りを促し、双方が譲り合った当事者の合意によって実情に沿った柔軟な解決を図る手続です。
ただし、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、1ヶ月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じないこととされています。
裁判になる前に、「お金を返してほしい」という内容の催告書類を債権者から債務者に向けて送ることにより一時的に時効を中断させることが可能です。
この場合、配達証明付内容証明郵便(宛先・送り主・記載されている内容等を郵便局に記録できる郵便方法)を用いることが、実務上は多いと思われます。
しかし催告書類が相手に届いた日から6ヶ月の間に訴訟を提起するなどの手段を講じなかった場合は、時効中断の効力を生じないこととされています。
訴訟や支払督促などの債務名義に基づき裁判所が債権者に強制執行決定を発令すると、債権者が債務者の財産を差し押さえることができ、時効を中断することができます。
また、債務名義を得る前であっても、裁判所から仮差押ないし仮処分命令の発令を受けることにより、時効の中断が可能です。
ただし、仮差押や仮処分の場合は、まだ債権者が債務名義を得たわけではなく、債務者に不当な損害が生じてしまう危険性が否定できませんので、債権者は一定額の保証金を供託する必要があります。
債務の承認とはその名の通り、債務者が債務の存在を認めることです。時効期間内に債務者が1円でも借金を返済したり、または支払を約束する書面へサインをしたりした場合、債務が承認されたとして、時効が中断されます。
支払を約束するため文書には、最低限以下5つのことを記載します。
この、文書は同じ内容で2通制作し(コピー可能)、双方が署名押印して1通ずつ保管します。
時効間近まで売掛金を支払ってもらえない場合、電話や手紙などの催促をしてもあまり意味がないかもしれません。時効間近なのに売掛金の支払がない場合、まず弁護士に相談しましょう。
弁護士から連絡してもらっただけで、今まで箸にも棒にも掛からない態度だった相手が、急に支払う姿勢を見せることも珍しくありません。相手方も裁判沙汰にはしたくないからです。
もし弁護士による連絡ら交渉でも支払わない態度を崩さない場合、裁判手続きになりますが、弁護士に依頼していれば打ち合わせのみで、書類を作成したり、何度も裁判所へ行く手間が省けたりします。
無料相談の事務所もありますので、最寄りの事務所を選びご相談ください。
債権額:約600万円
解決までに要した期間:約4か月で全額回収
依頼者の悩み:依頼者Xは衣料小物の輸入販売業者でした。長年付き合いのある業者Yが苦境にあえいでいたため、親切心からYと取引してきたが、とうとうYから売掛金を支払ってもらえなくなってしまいました。
しかし、その一方でYの社長はメルセデスベンツを乗り回すなどしていたことから、温厚なXも堪忍袋の緒が切れた。 そのため、
①ベンツの仮差押
②訴訟提起による債務名義取得
③②の後にYの大口取引先に対する販売代行手数料債権の本差押、
を行い、無事に売掛金全額(+遅延損害金)を回収に成功しました。
このように、相手が滞納していても様々な方法で回収できる可能性があります。
売掛金・未収金の回収が得意な弁護士を探す 土日・19時以降も相談できる等 あなたに最適な事務所が見つかる! |
|
売掛金の支払いを渋る理由が経営難だった場合、回収をより急がなければなりません。
取引先が法的手続きに入ったら回収が困難になるからです。ここでは、経営難で取引先の売掛金を支払ってもらえなかった場合の対処法について紹介します。
取引先の経営難で売掛金の支払が困難と言われた場合、回収方法としては以下のような方法があります。
2では、自社にも取引先への債務がある場合のみ有効です。同額の債務を相殺することによって、金銭的に債権回収ができた状況と同じ効果を得られます。ただし、相手の同意が必要になります。
また、担保を確保しているのであれば担保権の使用も有効的です。持っていない場合、これ以上売掛金の支払を延長させるのであれば担保を差しいれてもらえないか交渉するのもよいでしょう。
ただし、交渉によっては恐喝になる可能性があるため、十分にご注意ください。話し合う前に、一度弁護士へ相談しアドバイスをもらっておくと安心です。
取引先が倒産しそうな場合、常に正しい情報をキャッチできるように気を配る必要があります。万が一倒産に至った場合でも、再建手続きなのか清算手続きなのかで回収の可否が変わってくるからです。
また、滞納期間が長い場合は、相手の「もうすぐ支払う」などの言葉をあまり信用せず、できるだけ早い段階で弁護士に相談したり、法的手続きで回収するようにしましょう。
弁護士費用は「相談料」「着手金」「成功報酬」「実費」を含み、事務所や債権回収金額、トラブルの複雑さによって大きく変わります。
なお、裁判を起こすこと自体の費用は、実はそれほどでもありません。
裁判を起こす際は収入印紙を手数料として納める必要がありますが、その金額は相当低額となっており、およそ100万円を請求する裁判で1万円の手数料、500万円の請求で3万円、1,000万円の請求でも5万円の手数料がかかるだけです。
そのほか切手代も必要ですが、一般的には1万円以下で収まります。
ただし、裁判のサポートを弁護士に依頼した場合は当然ですが、弁護士費用が発生します。
事務所の方針や回収見込みの高さによっては、相談料や着手金を無料にしていることもあるようです。そのため、依頼前には必ず弁護士へ直接相談しましょう。
消滅時効を援用されてしまい、売掛金を回収できないことは、会社の損でしかありません。
また、一度でも売掛金の踏み倒しをされてしまうと、今後もその会社や別の会社から「費用を支払わなくても何とかなる」と思われてしまい、同じようなことが起きる可能性もあります。
昨今は新型コロナウイルスの影響で、会社の倒産も相次いでいます。取引先の経営難に巻き込まれてしまった場合、連鎖倒産するリスクも考えなければなりません。
弁護士に代理交渉してもらうだけで、今まで一切対応しなかった会社が手のひらを返したように対応してくれるケースもあります。
時効間近で売掛金をどう回収したらいいのかわからない場合は、まず最寄りの弁護士へ相談してみましょう。
売掛金・未収金の回収が得意な弁護士を探す 土日・19時以降も相談できる等 あなたに最適な事務所が見つかる! |
|
弁護士へ依頼すると数十万~数百万の費用がかかる場合があります。
弁護士費用保険メルシーは弁護士依頼で発生する着手金・報酬金を補償する保険で、月額2,500円で幅広い法的トラブルで利用できます。
KL2021・OD・166
債権回収でお困りなら弁護士へ無料相談がおすすめ
債権回収では、相手の出方や債権額によってはあまり効果が期待できない場合もあり、自分だけで債権回収を行なおうとしても適切な方法を選択することは難しいでしょう。
そもそも、今の状況でどのような方法を取ればいいのかを提案してくれる弁護士は、相談だけでも力強い味方となってくれます。
「債権回収弁護士ナビ」では、債権回収を得意とする弁護士に直接ご相談ができ、相談料無料、初回の面談相談無料、全国対応で相談を受け付けいる事務所も多くいますので、法人・個人問わず、お金のことで悩み続けているなら、一度債権回収が得意な弁護士にご相談ください。