「ようやく離婚が成立し、これからは子どもと一緒に新たな生活がスタートできる…!」と思っているところに降りかかってくるトラブルの一つとして、養育費の未払い問題があります。
日本では、夫婦が離婚届に必要事項を記入して、役所へ届け出ることで離婚が成立する「協議離婚」を選択するのが一般的です。しかし離婚時は、養育費の支払い方法などについて明確にしないまま進むことも多く、「離婚後に養育費が支払われず困窮する」というケースもあります。
また厚生労働省の「全国母子世帯調査」によると、日本のシングルマザーのうち約8割が養育費をキチンと受け取れていないという状態にあるようです。それでは、養育費が支払われなくなった時はどのような対応をとれば良いのでしょうか。ここでは、問題解決のための相談先について解説します。
養育費未払いについて相談したいとお考えの方へ
養育費未払いに関する相談窓口としては、ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)・法テラス・養育費相談支援センターなどがあります。
なかでも、ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)には以下の特徴があり、養育費トラブルに巻き込まれている方には特におすすめです。
- 養育費請求に注力している弁護士に相談できる
- 土日祝・24時間相談可能な事務所も掲載されている
- 相談した弁護士に請求対応を依頼できる
長年滞納されてきた養育費の回収も可能で、給料差し押さえなど柔軟に対応できます。
初回相談無料の事務所も多く掲載されており、とりあえず話だけ聞きたいという方もご利用ください。
状況別|養育費未払いを相談できる無料窓口
ここでは、養育費の未払い問題を解決するための無料相談窓口を紹介します。
具体的な問題解決をしたいなら「ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)」
名称
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ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)
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相談内容
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養育費に関する法律相談
養育費支払いの催促、内容証明の送付
強制執行手続き業務全般(給料差押え・預貯金口座の差押さえ)など
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相談時間
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平日・土日祝基本:09:00〜18:00(19:00時以降、24時間対応可能有り)
メール相談なら全事務所24時間
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電話番号
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個別の事務所による
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公式HP
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https://saiken-pro.com/
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収入がほとんどないので無料相談したいなら「法テラス」
法テラスとは、借金や離婚など、様々な法的トラブルを解決するためのサポート提供を行う公的機関で、養育費の未払い問題についても対応してもらえます。
サポート内容として、「収入が一定額以下」などの利用条件を満たしている方を対象に、無料法律相談や弁護士費用の立替えなどを行っています。特に、収入が少なく弁護士に相談する費用がない場合は、法テラスをおすすめします。
ただし相談時は、30分以内・3回まで(同一問題を相談する場合)と制限が設けられている上、弁護士を選ぶことができません。さらに立替分の費用については、原則3年以内に返済しなければならないためご注意ください。
とにかく話を聞いて欲しいなら「養育費相談支援センター」
「弁護士に相談するのは、なんだか不安…」「子供のことについても相談したい」という場合は、養育費相談支援センターに相談するのが良いでしょう。
養育費相談支援センターは、公益社団法人家庭問題情報センターが実施している厚労省の委託事業の一環です。全国の自治体に相談員が設置されており、養育費の未払い問題や、母子家庭の就業問題、離婚手続などの悩み相談を受け付けています。
窓口での相談のほか、メールや電話による相談も受け付けているため、気楽に相談できます。まだトラブルが発生していなくても、元配偶者の言動に不安を感じるような場合は問い合わせてみましょう。
名称
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養育費相談支援センター
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相談内容
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養育費の未払い問題(具体的な法律相談はできません)
母子家庭の就業問題
離婚手続
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相談時間
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平日(水曜日を除く):10:00~20:00
水曜日:12:00~22:00
土曜日・祝日:10:00~18:00
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電話番号
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03-3980-4108
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公式HP
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http://www.youikuhi-soudan.jp/
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養育費の未払いを弁護士に相談する4つのメリット
養育費の未払いについて弁護士に相談することで、「ほかの相談窓口よりも短期間で問題を解決できる」というメリットがありますが、ほかにも以下のメリットがあります。
最適な回収方法を提案してもらえる
弁護士に相談することで最適な問題解決方法を提案してもらえるという点は大きなメリットと言えます。特に未払い養育費については、ケースごとに適切な回収方法が異なるため、どの回収方法を選択するかという点がポイントとなります。
例として、もし元配偶者が話し合いに応じる姿勢である場合は、具体的な養育費の金額や支払方法などについて協議した上で、契約書を作成するべきでしょう。なお、この時「養育費を支払わない場合は強制執行(差押え)に服する」などと記載した『強制執行認諾文言付き公正証書』を作成することで、もし支払いが滞った場合も強制執行へスムーズに移行できます。
また他にも、支払督促や訴訟など法的手段による回収方法もあります。弁護士であれば法律知識・経験に長けているため、相談時は心強い存在となるでしょう。
配偶者と直接交渉しなくて済む
弁護士は、依頼人に代わって回収対応を行うことができます。特に「なるべく元配偶者とは顔を合わせたくない」と考える方にとっては、精神的不安や負担を大きく減らすことができるでしょう。
プレッシャーを与えられる
元配偶者が養育費の支払いを滞る理由の一つとして、「支払いを滞っても大した問題にはならないだろう」という認識不足によるものが考えられます。このような場合は、弁護士名義で内容証明郵便にて催告書を送ることで、心理的なプレッシャーをかけることができます。
「今後も未払いが続けば、裁判などの法的手段を取られるかもしれない…」というプレッシャーをかけることで、相手によっては支払いや話し合いなどに応じてくれる可能性もあります。
また相手が支払いに応じない場合でも、内容証明で催告書を送っていれば、「支払い請求をした」という記録が残るため、のちのち訴訟に発展した場合は証拠として活用できます。
催告書の作成から裁判手続きまで依頼できる
法律の専門家である弁護士は、依頼人に代わってあらゆる法律事務を処理することができます。内容証明郵便などの書類を作成して、元配偶者に支払いの督促をしたり、訴訟に備えて文書を作成したりなど、煩雑で専門的な手続きの一切を弁護士に任せることができるのも大きなメリットです。
特に、離婚後、子供を育てながら働いていたり、貯金を切り崩しながら育児をしていたりする方などは、「訴訟準備などにかける時間すら惜しい」と感じるのではないでしょうか。そのような方は、弁護士に依頼することで、自分の負担を減らし手間をかけずに回収することができます。
養育費の未払いに関するよくある相談
養育費の未払いが発生した場合、「具体的に何をすればよいのかわからない」など、さまざまな疑問が生じるかと思います。ここでは、養育費の未払いに関するよくある相談をご紹介します。
Q1:養育費を滞納された場合、まず何をすべきですか?
A.まずは、電話やメールで支払いの催促をしましょう。上記手段でも問題が解決しない場合は、未払い分を支払うよう記載した文書(催告書)を送付しましょう(この際に内容証明郵便で送ることも検討に値します。)。
これでも応じない場合は、養育費の金額を定める調停を申し立てることを検討しましょう。既に調停等で確定した養育費が支払われない場合は強制執行手続を検討することになります。
Q2:元配偶者に連絡しても音信不通の場合、どうしたらよいのでしょうか?
A.相手方がどこにいるのかわからない状況では、書面の送付ができませんし、調停を申し立てることもできません。したがって、まずは相手方の住所を特定する必要があります。
ただし、自力で相手方の住所を特定するのは現実的にも困難であることが予想されますので、探偵などに依頼することをおすすめします。
Q3:弁護士に依頼すると費用はいくらかかりますか?
A.相談する弁護士事務所によって異なります。
弁護士に依頼する際は、相談料・着手金・成功報酬・実費の4つの費用がかかります。特に「着手金」や「成功報酬」については、依頼内容によって大きく金額が異なります。
ここでは一例として、「内容証明郵便の送達を依頼した場合」と「強制執行を依頼した場合」の2パターンの費用相場をご紹介します。ただし前述の通り、事務所によって費用は異なるため、具体的な費用については各事務所へご連絡ください。
内容証明で催告書の送達を依頼した場合
内容証明郵便の送達を依頼する場合、1~5万円程度の着手金が必要になります。さらに手続きにあたっては、郵便代が1通あたり1,470円かかります。
もし、内容証明郵便を送達しても養育費が支払われない場合は、支払督促など他の手段を講じることになります。なお、このように複数の手段を講じる場合、別途着手金がかかる可能性があるため注意しましょう。
調停等を依頼した場合
調停の代理を依頼する場合には20万円~30万円程度の着手金が必要になります。調停や審判で養育費の支払義務が確定すれば、それに応じて成功報酬が発生するのが通常です。
Q4:養育費に関して公正証書などで取り決めてないのですが、請求できますか?
A.請求できます。
この場合は、当事者間で協議して決まれば良いですが、そうでない場合は調停を申し立てて養育費の具体的金額や支払い方法を確定することになります。調停が不調となった場合、裁判所が審判により適切な養育費を裁定します。
Q5:数年前の養育費も請求できますか? 時効でしょうか?
A.請求できます。
ただし、養育費には時効があります。合意により金額が確定している場合は支払時期から5年ですが、民事調停や審判により確定したものであれば10年です。
Q6:自分で請求すべきですか?弁護士に相談すべきですか?
A.自分で請求することもできますが、不安がある場合は弁護士に相談すべきです。
先に述べた通り、弁護士に相談することで的確なアドバイスが期待できますし、そのまま依頼すれば、必要となる書類作成を自分で行う必要がなくなる上、元配偶者と顔を合わせずに済み、精神的な負担も軽く済みます。
ただし弁護士に依頼する場合は、着手金や成功報酬などの費用がかかります。依頼にあたっては、費用倒れのリスクについてあらかじめ理解しておき、相談時は「費用がいくらかかるのか」必ず確認しましょう。
まとめ|法改正で今後は請求しやすくなる?
「養育費が未払いのままになっている」という状況は生活の困窮にもつながるため、迅速な対応が求められます。弁護士などの専門家は、そのような問題解決のために日々尽力しています。
また、ここ最近は法律改正という面でも吉報が入ってきており、2019年5月には「民事執行法に関する改正法案」が成立しています。この改正法案は2020年4月あたりから運用開始となる見込みで、第三者からの情報取得手続という制度が新しく設けられています。
この制度では、差押え時に必要な口座情報について、裁判所を通じて特定作業が行えるという旨が規定されています。これまでは「自力で口座情報を特定できず、強制執行ができない」という問題が発生していましたが、改正法案が運用されることで一定程度の問題解消が期待できます。
ただし、元配偶者の対応姿勢や金銭状況など、ケースによって最適な回収方法は異なるため、回収にあたっては債権回収の得意な弁護士のサポートを得ることをおすすめします。なかには無料相談に対応している事務所もあるため、まずは相談してみましょう。