1. 慰謝料の時効は何年?時効期間や起算点・時効の中断方法などを解説

慰謝料の時効は何年?時効期間や起算点・時効の中断方法などを解説

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弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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慰謝料には時効が定められており、一定期間を過ぎて時効成立したものについては原則回収できません。また、ケースによって時効期間や起算点などが異なるという点も注意が必要です。

 

しかし、この時効は所定の手続きを行うことで中断させることができます。また時効期間を過ぎていても回収できる場合もあります。理想通りの慰謝料回収を実現するためにも、この記事で時効に関する知識を付けましょう。

 

この記事では、慰謝料の時効期間や起算点、時効の中断方法や時効経過後の請求可否などを解説します。

 

慰謝料請求の時効の期間

慰謝料の時効期間は、「不法行為による慰謝料請求」と「債務不履行による慰謝料請求」のどちらに該当するかによって異なります。それぞれに該当するケースとしては以下の通りです。

 

不法行為による慰謝料請求に該当するケース

「既婚者と知っていながら不倫した」など、故意や過失などにより損害を被ったことを理由に慰謝料請求する場合。時効期間は3年(民法第724条)

 

債務不履行による慰謝料請求に該当するケース

「契約で取り決めた期日までに金銭が支払われない」など、契約義務が果たされないことにより損害を被ったことを理由に慰謝料請求する場合。時効期間は10年(民法第167条1項)

 

なお「不法行為による慰謝料請求」の時効については、「損害事実や加害者などを知った時点から数えて3年」と定められています。ただし、損害事実などに気付かないまま時間経過した場合権利侵害行為の時から20年が時効となります。

 

そのほか、ケースによって時効の起算点なども異なるため注意が必要です。ここでは、慰謝料の時効期間や起算点などについて、離婚問題・刑事事件・交通事故の3分野に分けた上で例示して解説します。

離婚問題に関する慰謝料

慰謝料請求が行われるケースとしては、不倫や婚約破棄などが挙げられます。それぞれの時効の数え方については以下の通りです。

 

  • 不倫・DV…不倫事実や不倫相手を知った時点から3年。または不倫が行われてから20年。
  • 婚約破棄…婚約が解消した時点から10年。不法行為として構成した場合は婚約破棄から3年。

 

たとえ離婚済みであっても、時効成立前であれば慰謝料を請求できます。慰謝料請求と同時に、離婚も考えている方は離婚問題の解決が得意な弁護士に相談することをおすすめします。離婚を検討中の方は、弁護士に相談することで、今後何をすればよいのかはっきりすることもあります。

 

 

刑事事件に関する慰謝料

例えば、刑事事件の被害者となった場合、被害者は加害者に対して犯罪行為により被った被害(精神損害を含む)について損害賠償請求が可能です。例として名誉毀損・暴行・傷害などを挙げます。

 

  • 名誉毀損…名誉毀損の事実や加害者を知った時点から3年。または名誉毀損が行われてから20年。
  • 暴行・傷害…暴行・傷害の加害者を知ったときから3年。または暴行・傷害から20年(後遺障害の補償については症状固定日(※)を起算日とします。)。

 

※症状固定日

医師によって「これ以上治療を行っても症状が良くならない」と判断された日。

交通事故に関する慰謝料

交通事故(人身事故)の被害者も、加害者に対して慰謝料請求が可能です。それぞれの時効の数え方については以下の通りです。なお、いずれの事故も加害者が判明しているケースを想定しています。

 

  • 人身事故(後遺障害がない場合)…事故日から3年。
  • 人身事故(後遺障害が残る場合)…怪我については事故から3年、後遺障害については症状固定日から3年。
  • 人身事故(死亡した場合)…死亡に係る損害については死亡時点から3年

 

裁判などで支払いが確定した債権は時効が10年になる

ここまで紹介してきた債権ですが、裁判や調停、公正証書・和解書を作成した協議などによって権利が確定した場合、確定した日の翌日から時効が10年になります。

 

慰謝料の時効を中断する方法

慰謝料の時効は、以下の方法によって中断することができます。ここでは、慰謝料の時効を中断する方法を解説します。

 

・請求

・差押え(仮差押え・仮処分)

・債務承認

 

なお、もともと裁判や調停などを行っており、手元に以下のような文書をお持ちの方は、差し押さえ(強制執行)を行うことで時効を中断させることができます。

請求

請求には「裁判上の請求」と「裁判外の請求」の2種類がありますが、時効中断効果があるのは裁判上の請求に限られます。裁判上の請求は以下のようなものです。

 

  • 民事調停…裁判官や調停委員による仲介のもと、債務者と協議を行う手段。債務名義は調停調書。
  • 支払督促…債務者に対して、簡易裁判所から督促を行ってもらう手段。債務名義は仮執行宣言付支払督促。
  • 訴訟…慰謝料の支払いについて裁判を起こす手段。債務名義は確定判決や仮執行宣言付判決など。

 

上記請求を行って、権利法律関係を確定する「債務名義」という書類を裁判所から取得することで、時効期間を10年間延ばすことができます。

 

他方、裁判外の請求には時効中断効果はありませんが、時効完成を6ヶ月間停止する効果があります。具体的には、相手に対して権利行使の意図を明確にする「催告書」を内容証明郵便で通知するのが一般的です。時効成立が間近に迫っているものの、裁判上の請求をしている余裕がないという場合に効果的です。

差押え(仮差押え・仮処分)

預金や不動産などの財産を強制回収する「差押え」や、差押え前に財産が散逸しないよう保全する「仮差押え・仮処分」などの手続きを行うことでも、時効は中断できます。なお差押えの実施にあたっては、事前に債務名義を取得している必要がありますが、仮差押え・仮処分の場合は必要ありません。

 

差押えや仮差押え・仮処分の申立て手続きを行い、裁判所より許可を得ることで、裁判所が指定する期間だけ時効を延ばすことができます。

債務承認

債務承認とは「債務者が債務の存在について認めること」を指し、主に以下の行為が該当します。

 

  • 同意…慰謝料の支払いに関する書類作成に応じること。
  • 一部弁済…慰謝料の一部を弁済すること。
  • 支払猶予願…返済延長や減額など、慰謝料の支払いに関する猶予を願い出ること。

 

債務承認が行われた場合、これまでの時効経過はリセットされ、はじめから数え直すことになります。なお、債務承認はすでに時効が完成している場合に行われたとしても、債務者による時効援用権の行使を封じて、債権回収の余地を残すことができます。

消滅時効の効力

債権の消滅時効が完成した場合でも、債権は当然に消滅するものではなく、債務者が時効を援用することで権利消滅の効果が生じます。したがって、上記のとおり、時効完成後、時効援用前に債務者が債務承認を行えば、消滅時効の効力が生じる前に時効中断効が生じますので、債権回収の余地があります。

 

他方、裁判上の請求については、時効完成後にこれを行っても、債務者は手続内で時効を援用することができますので、時効完成後に請求を行っても、債権回収の余地は乏しいです。したがって、裁判上の請求により時効を中断させたいのであれば、援用の有無・時期に拘わらず、必ず時効完成前にこれを行う必要があります。

慰謝料を回収するには弁護士への相談がおすすめ

慰謝料の回収にあたって取るべき対応はケースごとに異なります。理想通りの慰謝料回収を実現するためにも、弁護士によるアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。

 

弁護士に依頼することで、これまでの知識や経験などをもとに、慰謝料回収に向けて取るべき対応について効果的な助言が期待できます。さらに相手方との交渉代理必要書類の作成、訴訟発展時には出廷代理なども依頼でき、状況に応じた幅広いサポートが受けられます。

 

なお注意点として、「離婚問題に注力している弁護士」や「相続問題に注力している弁護士」など、弁護士によって注力分野や解決実績は異なります。したがって、スムーズに回収対応を進めるためには、依頼内容に応じて弁護士を選択する必要があります。

 

また、事務所によっては無料相談に対応しているところなどもあります。慰謝料回収に関する不安点や依頼費用に関する疑問点などについて、一度相談してみると良いでしょう。

まとめ

慰謝料の時効期間は発生原因によって異なり、不法行為に基づく場合であれば3年(加害者不明のときは不法行為時から20年)、債務不履行に基づく場合であれば10年と定められています。また時効成立が近づいている場合などは、請求・差押え(仮差押え・仮処分)・債務承認などの方法によって中断することもできます。

 

なお、慰謝料の回収にあたって取るべき対応はケースごとに異なるため、スムーズに回収対応を進めるためには弁護士のサポートを受けることをおすすめします。弁護士に依頼することで、今後の対応に関するアドバイスのほか回収対応に関するサポートも受けられ、自力で対応するよりも迅速な問題解決が望めます。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は債権回収弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債権回収弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。


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