
「養育費についてしっかり話し合ったのに、離婚してから全然支払ってくれない」というトラブルは多く起きているようです。
そのような場合、ただ何もせずに支払いを待っているだけでは、そのまま不払いが続いてしまう可能性が高いでしょう。約束通り支払ってもらうためにも、こちらから回収に向けて動く必要があります。
今回の記事では、養育費を払ってくれない相手から回収する方法や、請求できる期限などについて解説します。
養育費を払ってくれない相手に取るべき5つの対応
養育費を払ってくれない相手に対して取るべき対応としては、主に以下の5つがあります。ここでは、それぞれの対応内容について解説します。
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相手に直接連絡する
連絡手段はどういったものでも構いません。
電話やメール、ファックス、手紙といった方法のほか、LINEなどでも問題ありません。何よりも「養育費の支払いが滞っているので支払いをして欲しい」ということを明確かつ具体的に伝えることが大切です。
ただし、養育費の支払いをしない元配偶者には、着信拒否をしていたり、引っ越しをしていたりして連絡が取れなくなっている場合もあります。そのような場合は、探偵や弁護士の力を利用しましょう。
内容証明郵便で請求する
通常時に送る手紙の内容について郵便局は基本的に関与しません。しかし、内容証明郵便というサービスを利用した場合、郵便局が「どういった文言の手紙が送付されたのか」を公的に証明してくれます。
通常の手紙に字数制限などはありませんが、内容証明郵便の場合は、以下の通り字数や書き方などに一定の制限があります。
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調停・審判を申立てる
内容証明郵便を送っても養育費が支払われない場合は、養育費の支払いを求める家事調停申立を検討せざるを得ません。家事調停は、家庭裁判所の調停員が当事者間を仲介し、話合いによる解決を目指す法的手続きです。
調停により協議がまとまれば良いですが、まとまらない場合や相手が調停に応じない場合には、家庭裁判所の裁定を求める審判を申し立てることになります。なお、養育費の支払いについては、家事調停を申し立ててこれが不調となった場合には自動的に審判に移行するのが通常です。
なお、調停で合意された義務や審判で決定された義務を相手が履行しない場合、債権者は家庭裁判所の履行勧告や履行命令といった手続や、執行裁判所による強制執行などの手段を講じることが可能となります。
履行勧告・履行命令を行う
履行勧告とは、家庭裁判所が相手方(債務者)に対して、「調停などで決まった約束を守るように」と催促をする制度となっています。制度を利用する際は、所轄家庭裁判所の担当窓口に相談してください。基本的に費用はかからないはずです。
もっとも、履行勧告に応じるかどうかは完全に相手の任意であり、これを拒否したり無視しても特段のペナルティがあるわけではありません。
一方、履行命令の場合は一定の手数料が必要となりますが、命令に従わない場合には家庭裁判所の決定により10万円以内の過料が科せられる可能性があります。このように従わない場合や拒否した場合に一定のペナルティがあり得るという点で履行勧告と異なります。
もっとも、必ずしも当該ペナルティが科せられるわけではありませんので、やはり強制力は強くない手続きです。
強制執行(差押え)で回収する
調停や審判により具体的な養育費支払請求権が確定している場合は、強制執行という手段を講じることができます。強制執行とは、債務者から強制的に財産を回収するための法的手続きです。具体的には、相手方の資産を差押えたり、換価したりすることで、これを養育費に充足することができます。
必要書類
強制執行をするためには別途手続きが必要であり、その際は以下の書類を提出しなければなりません。
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なお、場合によっては他の書類が必要になるケースもあり、詳細については「裁判所HP」から確認できます。
債務名義
債務名義とは、債権の範囲や存在を公的に証明する書類であり、主な例としては以下があります。
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上記のとおり、調停で取り決められた内容は調停調書に明記されますので、相手がこの取り決めを守らない場合、調停調書を債務名義として強制執行手続きを行うことができます。
対象財産
強制執行をする際は、相手方のどの財産を差押えるのか調査を行い、目録として準備しなければなりません。これが特に時間のかかる作業となります。
なお、差押えの対象となる財産としては以下のようなものが考えられます。
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例えば、相手の給料債権を差押えたい場合は、相手方の給料の支払元を特定しなければなりませんので、相手の就労先を特定する必要があります。また、預金債権を差し押さえるにしても、相手の預貯金口座のある銀行支店名を特定する必要があります。この財産の特定は容易ではありません。
なお、2020年には「第三者からの情報取得手続き」という新制度が施行予定であり、ある程度は特定が容易になる見込みですが、実際どのように運用されることになるのかは未だ不透明です。
養育費を払ってくれない場合は相手の親に請求できる?
元配偶者の支払うべき養育費について、元配偶者の両親がこれを支払う義務はありません。したがって、このような請求は法的には困難です。以下のような特別な事情がなければ、あまりアテにはできないでしょう。
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養育費を払ってくれない相手に請求できる期限
養育費の請求権にも消滅時効があります。
当事者間で養育費を具体的に取り決めた場合
離婚する際に当事者間で養育費の支払金額や支払期日について具体的な取り決めをしていた場合、当該合意に基づく養育費請求権の時効期間は5年です。
例えば協議離婚合意書や離婚公正証書により養育費の支払金額や支払期日について明確に取り決めをしていた場合がこれに該当します。
調停や審判で養育費支払義務が確定した場合
調停や審判などの裁判所の手続きを経て養育費の権利が確定した場合、これに基づく養育費請求権の消滅時効は10年です。そのため、調停などで確定した養育費の支払いについては、10年が経過しなければ債務は消滅しません。
養育費を取り決めていない場合
そもそも養育費の支払いについて何ら取り決めがない場合、養育費請求権は具体的な権利として発生していないため、消滅時効はありません。
しかし、この場合、具体的な請求がそもそもできませんので、まずは相手と協議して具体的な養育費支払義務について合意するか、家庭裁判所に調停を申立てるなどして具体的権利を確定させる必要があります。
養育費を払ってくれない場合は弁護士への相談がおすすめ
養育費の未払い問題については、弁護士のサポートを得た方がスムーズな解決が望めます。ここでは、弁護士に相談するメリットについて解説します。
最適な解決方法を提案してもらえる
養育費の未払い問題を解決するための手段は複数あります。内容証明郵便を送るといった方法から調停や審判を経た方法、強制執行までと多種多様です。しかし、かえって選択肢が多すぎるために、どの方法を選択すれば良いのか判断に迷うことも考えられます。
弁護士に相談すれば、どの手段を用いることが最良なのかアドバイスがもらえますし、「そもそも未払いの養育費をいくら程度回収することができるのか」などの見込みを立てることもできます。
相手にプレッシャーを与えられる
弁護士に相談するメリットの中でも特筆すべき点が、「相手にプレッシャーをかけられる」という点です。
例えば、弁護士名義の内容証明郵便を送るだけでも、「こちらは裁判で争うことも視野に入れている」という無言の圧力を相手方に与えることができます。上手くプレッシャーを与えることができれば、スムーズな問題解決も見込めます。
手続きにかかる手間を省ける
養育費の未払い問題を解決する手段は多くあるということを先に述べましたが、具体的な手続きを進行していくには手間と労力が必要となります。場合によっては、裁判所へさまざまな書類を作成・準備しなければならないということもあります。
弁護士であれば、そうした書類作成も一手に担うことができますし、元配偶者との交渉も請け負うことができます。「手続きにかかる手間を省ける」という点も弁護士に相談することによる大きなメリットの一つです。
まとめ
養育費を払ってもらえないという状況は、子どもの生育にも大きな影響を与える恐れがあります。「迅速に問題を解決したい」と思う方も多いことでしょう。問題を解決する方法は、相手と法的手続内外で協議するほかありませんし、協議がまとまらなければ審判手続きを利用せざるを得ません。
なお、養育費の支払いを請求する権利にも消滅時効がありますので、なるべく早期に問題解決を図りたいところです。養育費の未払い問題でお悩みの際は、弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

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