養育費の未払いに対して強制執行をすることで、相手方の財産(給料や預貯金など)を差し押え、未払いの養育費を回収することができます。
しかし、強制執行は裁判所での手続きが必要なため、具体的な手順や流れがわからない方も多いでしょう。
また、子どもの親権者になると離婚後の出費が増えて生活が圧迫されるため、収入が少ないひとり親にとって養育費の有無は大きな問題になります。
相手方の一方的な都合による未払いを許容することで、子どもの成長に支障をきたす可能性があることも考えなくてはいけません。
この記事では、養育費を差押えるための事前準備や強制執行で回収する手順などについて解説します。
養育費の未払いでお困りの方は、この記事を参考に強制執行を検討しましょう。
「養育費を回収したい」人必見!!
給料を差し押さえる場合、債務名義や公正証書の内容が重要になります。状況によっては、差し押え(強制執行)を申し立てる前に訴訟をする必要があります。少しでも検討する場合は、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。弁護士に相談するメリットは以下の通りです。
元配偶者との交渉
養育費を回収できるか判断
給料差押えの手続き
裁判の手続き・その後の対応
弁護士に依頼することで、最大限の金額を回収できる可能性があります。養育費は相手から減額を求められる可能性があります。未払いが続いた場合、弁護士にご相談ください。
養育費の未払いは強制執行での回収が効果的
これまでは、養育費の支払い金額を取り決めた書類(公正証書、調停調書、審判書、和解調書など)を作成していても、未払いが起きた際に相手の財産を特定できないことから差押えが困難になるケースがありました。
しかし、現在は2020年に施行された民事執行法改正により、第三者(金融機関、法務局など)から債務者の預貯金口座や所有不動産、勤務先に関する情報の調査・取得ができるようになりました。
債務者の財産を把握できれば強制執行にて対象財産の差押えが可能なので、効果的に養育費の回収ができるでしょう。
強制執行以外の回収方法について詳しく知りたい方は、こちらで詳しく解説しています。
養育費の強制執行をする際の3つの事前準備
養育費の強制執行を申し立てるには、事前準備をした上で裁判所に認めてもらう必要があります。
ここでは、事前準備の項目を3つ紹介します。
債務名義・送達証明書を取得しておく
まずは、「債務名義」と「送達証明書」の用意をしましょう。
債務名義とは、債権者が債務者に対し、債権を有することを証明する公的な文書を指します。
債務名義となり得るのは、例えば一定の要件を備えた公正証書の他、以下のようなものが考えられます。
- 調停調書:離婚調停で作成される
- 審判書:離婚審判で作成される
- 判決書:離婚裁判で作成される
送達証明書は、養育費の支払義務者に公正証書などの謄本を送付していることを証明する書類を指します。
送達証明書の取得方法は債務名義の種類によって異なりますので、詳しくは弁護士にご相談ください。
なお、2026年4月1日施行の民法等改正により、養育費の取り決めがない場合でも「法定養育費」として子1人あたり月額2万円を請求できる制度が新設されました。法定養育費には先取特権が認められているため、債務名義がなくても、子1人あたり月額8万円を上限に相手の給与などを差し押さえる「ワンストップ執行手続」を利用できます。ただし、養育費の取り決めがすでにある場合は、従来どおり債務名義の取得が必要です。
相手の現住所を把握しておく
強制執行で財産の差押えを行うためには、相手の現住所、もしくは実際に住んでいる所を把握する必要があります。
相手の住所地が不明の場合は、住民票や戸籍の附票(※)などから調査することも可能です。
(※戸籍の附票とは、戸籍と一緒に管理されているもので、その戸籍に入籍してから除籍されるまでの住所が記録されています。)
相手の財産を把握しておく
強制執行で財産を差し押さえるには、相手の財産情報も把握しておかなければなりません。
相手にどのような差押え可能財産があるか、可能な限り事前に把握しておきましょう。
養育費の強制執行で差押えが可能な財産
強制執行で差押え可能な財産として考えられるのは、以下の通りです。
| 動産 | 高級時計、絵画、宝石類など、売却することで金銭に変更できるものです。ただし、衣類や家具などの生活必需品は差押えできません。 |
|---|---|
| 不動産 | 相手名義の土地や建物などです。 |
| 債権 | 相手が第三者に対して持っている債権です。代表的なものとしては、勤務先からの給与や預貯金です。 |
差押えする財産は給料・預貯金がおすすめ
強制執行で養育費の回収をする際に、成功する可能性が高い財産が給料・預貯金です。
給料を差押えると、相手に給料が支払われる前に直接勤務先から養育費を回収できます。
ただし、給料の全額差し押さえはできませんのでご注意ください。
養育費の回収を目的とした場合、給料から税金や保険料を差し引いた手取り金額の2分の1まで差し押さえが可能です。
また、将来分の養育費に対しても差し押さえが可能なので、未払い分の回収と併せて申し立てをしておきましょう。
預金口座の差し押さえは給料と異なり、回収できる金額の範囲に制限がありません。
そのため、差し押えした時点でまとまった未払い分の養育費を回収できる可能性があるでしょう。
預金口座を差し押さえる際の注意点は、口座にお金がなかったら養育費を回収できず、強制執行の費用負担だけが発生することです。
預金口座を差し押さえる場合は、預金残高が多くなるタイミング(給料・ボーナス日など)を狙いましょう。
【強制執行】財産を差押えて養育費を回収するまでの手順
ここでは強制執行で養育費を回収するまでの手順を解説します。
申立てに必要な書類を取得する
以下では、債権差押えを行うことを前提として、必要となる主要な書類を紹介します。
ご自身のケースで具体的にどのような書類が必要になるか、詳細を確認されたい場合には、弁護士にご相談ください。
| 債務名義の正本 | 公正証書(強制執行認諾文言付き)、調停調書、審判書、判決書など |
|---|---|
| 送達証明書 | 債務名義の正本又は謄本が送達されていることを証明する書類 |
| 資格証明書 | (第三債務者(相手を雇用している者)が法人の場合)相手方の勤務先の登記事項証明書又は代表者事項証明書 |
| 請求債権目録 | 請求する債権の内容を記載した書類 |
| 差押債権目録 | 差押えする債権の内容を記載した書類 |
| 当事者目録 | ご自身(債権者)と相手(債務者)の住所などを記載した書類 |
| その他 | 当事者の現住所が債務名義と異なる場合に住民票が必要になるなど、事案により上記以外にも必要となる書類がある |
強制執行申立書を作成し提出する
必要書類を揃えたら申立書を作成し、地方裁判所へ提出しましょう。
申立先は、基本的には相手方の住所地にある裁判所になります。
強制執行の申立には以下の手数料が発生するので用意しましょう。
- 収入印紙代:4,000円
- 郵便切手代:3,000円前後(裁判所によって異なります。)
裁判所から債権差押命令が出される
強制執行の申立てをし、審査が完了すると、裁判所から相手方(債務者)と第三債務者(相手の勤務先)に「債権差押命令」が送達されます。
その後、申立人のところに裁判所から送達通知書が届きます。
差押え相手へ取り立てする
債権差押命令が送達されて1週間が経過したら、債権者は取立てをして良いことになります。
勤務先などの第三債務者に連絡をいれます。
なお、順調に手順を踏めれば、債権差押えにかかる期間の目安は、申立てから2週間程度でしょう。
裁判所へ取立届を提出する
未払いの養育費を全額回収できたら、裁判所に取立届を提出します。
養育費の強制執行が失敗するケース
強制執行の申し立てをしても養育費を確実に回収できるわけではありません。
以下のようなケースでは養育費の回収が困難になります。
相手の口座に預貯金がなかった場合
強制執行で口座を差し押さえても残高がなかった場合、養育費の回収ができないまま手続きは終了します。
手続き終了後に口座への入金があったとしても、再度強制執行の申し立てをしないといけません。
口座の差し押さえをする際は、給料・ボーナス日のタイミングを狙うことをおすすめします。
また、相手方はメイン口座を変えている可能性があるので、財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きなども活用しましょう。
相手の給料を差押えたが退職した場合
給料を差し押さえても相手が退職すると、以降は空振りに終わってしまいます。
そのような場合は、相手の新しい勤務先を第三債務者にして、再度強制執行を申し立てましょう。
相手が新しい勤務先の情報を教えてくれない場合は、財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きなども活用しましょう。
強制執行を申し立てても、相手の口座に残高がなかったり退職して勤務先が変わっていたりすると、時間と労力をかけたのに回収が空振りに終わってしまうことがあります。初回相談無料やオンライン相談に対応している事務所もあるので、気軽に相談するのがおすすめです。
→今すぐ養育費・慰謝料の回収に強い弁護士に相談する
【養育費の強制執行】弁護士のサポートも効果的
強制執行の申し立てから養育費の回収までをご自身で行うことは可能です。
ただし、必要書類の準備や相手が所有する財産の調査などに大変な時間と労力がかかるでしょう。
調査が足りなかったことで、養育費を回収できないリスクもあります。
手続きのミスを失くし養育費を回収したい場合は、弁護士への依頼をおすすめします。
弁護士に依頼をすることで、すべての手続きを一任できて安心できますし、時間と労力も削減できるでしょう。
弁護士に依頼する際の費用感については、こちらで詳しく解説しています。
まとめ
強制執行は養育費の回収をするために有効な手段です。
ただし、必要書類や財産の調査などを確実に行いつつ財産を差し押さえるタイミングを考えないと、労力に見合うだけの回収はできないかもしれません。
養育費は子どもを健全に育てるための大切なお金です。
ご自身での回収に不安があるようでしたら弁護士にサポートしてもらい、確実に養育費を取り戻せるようにしましょう。
【休日対応可】【初回面談無料】貸金や売掛金の回収など、実績多数!100万円以上の返済がされずにお困りの方も、一度ご相談ください。証拠集めからサポートし、粘り強く交渉します。
事務所詳細を見る
貸したお金が返ってこない—友人・知人から交際・結婚をめぐる男女間トラブルまで、個人間の債権回収を解決へ。弁護士検索サイトのランキング全国1位の実績・800万円回収など解決事例多数!借用書なし・連絡が取れない相手も対応◆弁護士直通・最短即日着手◆
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士・有料登録司法書士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡
債権回収でお困りなら弁護士へ無料相談がおすすめ
債権回収では、相手の出方や債権額によってはあまり効果が期待できない場合もあり、自分だけで債権回収を行なおうとしても適切な方法を選択することは難しいでしょう。
そもそも、今の状況でどのような方法を取ればいいのかを提案してくれる弁護士は、相談だけでも力強い味方となってくれます。
「ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)」では、債権回収を得意とする弁護士に直接ご相談ができ、相談料無料、初回の面談相談無料、全国対応で相談を受け付けいる事務所も多くいますので、法人・個人問わず、お金のことで悩み続けているなら、一度債権回収が得意な弁護士にご相談ください。
養育費・慰謝料に関する新着コラム
-
養育費を差し押さえるための条件から手続き、差し押さえ前に必ず知っておいてもらいたい注意点などをまとめました。
-
養育費未払いを内容証明で請求する方法を解説。催告書に記載すべき事項、テンプレート・書き方、送付費用、配達証明を付ける理由、内容証明を送っても支払われない場合の次...
-
養育費未払いを差し押さえるには、債務名義と相手の財産の特定が必要です。給与・預貯金を対象にした強制執行の流れ、給与は将来分まで回収できる仕組み、差押命令後の取立...
-
未払い養育費を回収する方法を解説。直接請求・内容証明・調停・差し押さえの流れ、請求期限に加え、法定養育費や先取特権、勤務先の調査から給与差し押さえまで進められる...
-
慰謝料には時効が定められており、一定期間を過ぎて時効成立したものは原則回収できません。なお、ケースごとに時効期間や起算点などは異なりますが、規定の手続きを行うこ...
-
裁判所を通して慰謝料の支払いが決定したにも関わらず支払われない場合、さまざまな方法での債権回収が考えられます。この記事では、裁判所を通して慰謝料の支払いが決定し...
-
「調停で決まった養育費が支払われない」と悩む方のための手段として、「履行勧告」があります。今回の記事では、履行勧告を行う条件・方法・メリット・注意点などについて...
-
調停で合意した養育費の未払い問題は、早期に解決へ向けた対処をしていかなければなりません。相手に催告しても支払わないのであれば、強制執行による回収まで視野に入れる...
-
養育費未払いについては放置せず早めに対応することが肝要です。今回の記事では、養育費が支払われない場合の請求方法や請求期限、弁護士に依頼するメリットなどについて解...
-
養育費未払いは、相談先によって受けられる支援や解決できる範囲が異なります。弁護士・法テラス・養育費相談支援センターの3つの無料相談窓口、各窓口が向くケース、弁護...
養育費・慰謝料に関する人気コラム
-
養育費を差し押さえるための条件から手続き、差し押さえ前に必ず知っておいてもらいたい注意点などをまとめました。
-
強制執行による債権回収の方法を解説。給与・預金・売掛金などを差し押さえる手続きの流れ、申立て前に必要な債務名義、費用の目安、財産がなく回収できないケース、強制執...
-
裁判所を通して慰謝料の支払いが決定したにも関わらず支払われない場合、さまざまな方法での債権回収が考えられます。この記事では、裁判所を通して慰謝料の支払いが決定し...
-
養育費未払いに悩んでいる方にとって弁護士は心強い味方になりますが、弁護士費用が気になって依頼しようかどうか悩んでいる方も多いでしょう。この記事では、養育費未払い...
-
養育費未払いを差し押さえるには、債務名義と相手の財産の特定が必要です。給与・預貯金を対象にした強制執行の流れ、給与は将来分まで回収できる仕組み、差押命令後の取立...
-
「調停で決まった養育費が支払われない」と悩む方のための手段として、「履行勧告」があります。今回の記事では、履行勧告を行う条件・方法・メリット・注意点などについて...
-
慰謝料には時効が定められており、一定期間を過ぎて時効成立したものは原則回収できません。なお、ケースごとに時効期間や起算点などは異なりますが、規定の手続きを行うこ...
-
相手が養育費を払ってくれない場合、ただ待っているだけではいつまで経っても回収できない可能性があります。こちらから回収に向けて動きましょう。そこで今回は、未払い養...
-
養育費を強制執行で回収するための準備と手順を解説。給与・預貯金など差し押さえ可能な財産、必要書類、失敗するケースに加え、2026年施行の法定養育費・先取特権・ワ...
-
養育費未払いは、相談先によって受けられる支援や解決できる範囲が異なります。弁護士・法テラス・養育費相談支援センターの3つの無料相談窓口、各窓口が向くケース、弁護...
養育費・慰謝料の関連コラム
-
養育費未払いについては放置せず早めに対応することが肝要です。今回の記事では、養育費が支払われない場合の請求方法や請求期限、弁護士に依頼するメリットなどについて解...
-
養育費未払いは、相談先によって受けられる支援や解決できる範囲が異なります。弁護士・法テラス・養育費相談支援センターの3つの無料相談窓口、各窓口が向くケース、弁護...
-
「調停で決まった養育費が支払われない」と悩む方のための手段として、「履行勧告」があります。今回の記事では、履行勧告を行う条件・方法・メリット・注意点などについて...
-
裁判所を通して慰謝料の支払いが決定したにも関わらず支払われない場合、さまざまな方法での債権回収が考えられます。この記事では、裁判所を通して慰謝料の支払いが決定し...
-
養育費未払いを内容証明で請求する方法を解説。催告書に記載すべき事項、テンプレート・書き方、送付費用、配達証明を付ける理由、内容証明を送っても支払われない場合の次...
-
養育費を強制執行で回収するための準備と手順を解説。給与・預貯金など差し押さえ可能な財産、必要書類、失敗するケースに加え、2026年施行の法定養育費・先取特権・ワ...
-
未払い養育費を回収する方法を解説。直接請求・内容証明・調停・差し押さえの流れ、請求期限に加え、法定養育費や先取特権、勤務先の調査から給与差し押さえまで進められる...
-
養育費を差し押さえるための条件から手続き、差し押さえ前に必ず知っておいてもらいたい注意点などをまとめました。
-
強制執行による債権回収の方法を解説。給与・預金・売掛金などを差し押さえる手続きの流れ、申立て前に必要な債務名義、費用の目安、財産がなく回収できないケース、強制執...
-
未払い養育費の時効は何年か、いつまで請求できるかを解説。時効が進む起算点、時効を更新する方法、取り決めがない場合の請求、回収を急ぐべきケースをわかりやすく紹介し...
-
養育費未払いに悩んでいる方にとって弁護士は心強い味方になりますが、弁護士費用が気になって依頼しようかどうか悩んでいる方も多いでしょう。この記事では、養育費未払い...
-
相手が養育費を払ってくれない場合、ただ待っているだけではいつまで経っても回収できない可能性があります。こちらから回収に向けて動きましょう。そこで今回は、未払い養...

