動物病院の診療費未払いでお悩みではありませんか?特に夜間診察では、かなり悪質なケースも多発しているようです。
診療費の未払いがかさめば、当然、経営状況の悪化を招くことになります。そのため、診療費の未回収割合が多いのであれば、何らかの対応を検討したほうがよいかもしれません。
この記事では、動物病院の診療費を回収するにあたっての留意点について解説します。
動物病院の診療費について
動物病院の場合、人間の病院と異なり健康保険などの皆保険制度がありません。そのため、診療報酬については依頼者本人から回収する以外に方法がないのが実情です。
したがって未払いを防ぐためには、診察時に都度精算することを徹底するしかありません。もしも未払いが生じてしまった場合には、以下のような方法で回収していくことを検討することになります。
動物病院の診療費に限らず、債権回収全般の基本的な流れや弁護士に依頼するメリットについては、以下で詳しく解説しています。
相手との協議
診療費の未払いがある相手がいる場合、まずは相手と支払額や支払方法について協議して、任意で支払ってもらうことを検討しましょう。この場合の連絡手段は、電話でも構いませんが、後々連絡した証拠を残す意味でEmailや書面で連絡する方が適切かもしれません。
なお書面については、内容証明郵便(送付日時・宛先・送り主・記載内容を公的に証明することができる郵便)でこれを行うことも検討には値しますが、最初の話合いの段階から内容証明郵便を送付する必要まではないでしょう。
相手が任意での支払いに合意した場合、合意内容を書面で明確化して、双方署名して合意文書としておくことが大切です。後々「そんな約束はしていない」と前言を翻されるのを防ぐためです。
民事調停
相手が任意協議に応じない場合や当事者だけでは解決に至らない場合、民事調停での解決を検討してもよいでしょう。
民事調停は、簡易裁判所を介して話合いでの問題解決を図る法的手続きです。裁判所の仲介を受けながら解決方法について合意できれば、約束内容は「調停調書」という形で書面化され、これには確定判決と同じ法的拘束力が生じます。
もっとも、民事調停はあくまで話合いによる解決を模索する手続きであるため、相手は参加する義務はありませんし、合意する義務もありません。民事調停で解決できない場合には、他の問題解決手段を検討することになります。
支払督促
相手との協議・交渉が難しいのであれば、支払督促手続きの申立も検討してみましょう。
支払督促は、簡易裁判所を通じて相手方に支払いを求める法的手続きです。申立にあたって請求を基礎づける主張をすれば足り、特に証拠等を集める必要がないので手続きとしては簡便です。支払督促を受けた相手が一定期間内に異議を述べなければ、請求通りの権利が確定し、強制執行等が可能となります。
しかし、支払督促は権利の有無を審理する手続きではないため、相手方は何ら理由もなく異議を申し入れることが可能です。異議申立てがあれば、相手の所在地を管轄する裁判所での通常訴訟に移行してしまいますので、最初から異議申立てが予想される場合には通常訴訟を提起することを検討した方が良いかもしれません。
通常訴訟
調停や支払督促について効果が乏しいような場合は、通常訴訟を検討するべきでしょう。
訴訟は、裁判所が証拠に基づいて事実を認定し、これに法律を適用して権利義務関係を確定させる法的手続きです。訴訟はこのように厳格な手続きであるため、主張を裏付ける証拠を揃える必要がありますし、審理期間も長くなります。
また、訴訟手続きは法律や手続きについて一定の知識・経験が必要となる場合も多いため、この段階で弁護士への依頼も検討するべきでしょう。
なお、請求額が60万円以下であれば「少額訴訟」という手続きを選択することも可能です。少額訴訟は、原則1回の審理で判決が出され、迅速に問題を解決することができるため、通常訴訟に比して簡易・迅速です。
強制執行
上記のような法的手続で債務名義(権利の存在を確定する書面)が取得できれば、これに基づいて相手方への強制執行が可能となります。しかしこの場合、相手の財産をある程度特定して行う必要があり、必ずしも全額回収ができるわけではないことに留意しましょう。
相手の財産を特定できず強制執行がうまく進まなかったり、内容証明・民事調停・支払督促・訴訟といった手続きを自分だけで進めるのが不安だったりする場合は、弁護士に相談することで解決の道筋が見えてくることがあります。初回相談無料やオンライン相談に対応している事務所もあるので、気軽に相談するのがおすすめです。
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動物病院の診療費の消滅時効
診療費には時効があり、請求にあたっては時効成立前に済ませる必要があります。ここでは診療費の時効期間や、時効の更新・完成猶予の方法などについて解説します。
時効期間
動物病院の診療費を請求する権利にも、一定期間の経過に伴い権利消滅を認める消滅時効制度があります。2020年4月1日施行の民法改正により、獣医師等の職業別短期消滅時効(改正前は2年)は廃止されており、現在は民法166条の原則どおり、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年のいずれか早い方の経過によって消滅時効が完成します。
したがって、当該診療費については支払期日(権利を行使できることを知った時)から原則5年の経過をもって権利消滅してしまうおそれがあります。
なお、2020年3月31日以前に発生した債権については改正前の民法が適用されるため、旧法上の2年の短期消滅時効が適用される場合がある点に注意が必要です。
時効の更新・完成猶予の方法
上記の消滅時効を止める方法として、時効の更新があります。具体的には、債務者による承認や、裁判上の請求など権利が確定する法的手続きをとれば、それまで進行していた時効期間はリセットされ、新たにゼロから進行を始めます。なお、裁判上の請求など権利が確定する手続きによって更新した場合、更新後の時効期間は10年となります。
なお、時効の更新と似たものとして「時効の完成猶予」というものもあります。具体的には、裁判外で催告(内容証明郵便等での請求)をすることで、時効の完成が6ヶ月間猶予されることを意味します。ただし、猶予期間中に裁判上の請求など更新事由となる手続きをとらなければ、6ヶ月経過後に時効が完成してしまう点に注意が必要です。
なお、動物病院の診療費以外にも、投資詐欺による被害金の回収など、法的手続きを用いたお金の回収方法を知っておくと役立つ場面があります。投資詐欺の手口や被害金の回収方法については、以下で詳しく解説しています。
まとめ
上記のとおり未払い診療費の回収は必ずしも容易ではなく、場合によっては法的手段を講じる必要もあります。もし金額が多額となるようなことがあれば、早めに債権回収について知識・経験のある弁護士に相談して具体的な対応を検討するべきでしょう。
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