売掛金を訴訟で回収する際の流れとは。注意点や他の回収方法も解説|ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)
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売掛金・未収金
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売掛金を訴訟で回収する際の流れとは。注意点や他の回収方法も解説

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草木 良文 弁護士
監修記事
売掛金を訴訟で回収する際の流れとは。注意点や他の回収方法も解説

売掛金が回収できずに悩んでいる方のなかには、訴訟を考えている方もいるでしょう。

売掛金の未回収は経営に大きな影響を与える深刻な問題です。

会社のキャッシュフロー悪化によって、最悪の場合は黒字倒産などもありまえます。

しかし、売掛金の回収について訴訟以外にもできることはたくさんあります。

本記事では、売掛金の回収をおこなうためにできるさまざまな手段を紹介します。

また、実際に訴訟をする場合、どのように進めればよいのかや注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

売掛金が支払われない!訴訟の前にまずすべきことは

取引先から売掛金が支払わない状態が続いている場合、訴訟をしなければならないのかと悩んでいる担当者も多いと思います。

しかし、訴訟の前にできることは法的措置を含めたくさんあります。

ここでは、売掛金の回収について、訴訟以外でできることを紹介します。

請求書を確認し、電話などで催促する

売掛金が滞納されていて支払いがない場合は、電話などで催促しなければなりません。

その前にまず請求書を確認し、請求内容に間違いがないかを確かめてください。

請求書をメールで送った場合は、請求書を添付したメールがきちんと送信されているかを確認しましょう。

取引先に連絡するときに、メール送信日時や件名がわかっているとやりとりがスムーズになります。

きちんと送信できていたら、請求先の社名や担当者名・金額・振込期日・納品した商品やサービス名・自社の振込先口座などに間違いがないかを確認します。

また、数日の未払いであれば請求書のみの確認で連絡をしてもよいですが、1ヵ月以上支払われていないなど長期間滞納がある場合は、契約書を確認することも大切です。

契約書に、売買代金の額について取引先が押印しているかどうか確かめましょう。

もしも請求書しか作成しておらず、売買代金の額について取引先が押印している書面がない場合は、代金の支払いについて取引先と合意したことを示すための証拠を改めて準備しなければならない可能性があります。

法的措置を見据えるのであれば、この先の支払い依頼の交渉のなかで押印してもらうことを意識しておきましょう。

出荷やサービスを停止する

支払いがなされていない旨を電話などで伝えたところ、取引先に支払う意思が見られない、あるいは支払いたくても資金繰りが悪化していて支払いできないと発覚した場合、商品やサービスの提供を停止することを検討しましょう。

すでに未入金が発生している状況で、さらに売掛金を増やすと自社が受ける損害を大きくしてしまいます。

取引先には、未入金の売掛金が支払われるまで商品の出荷やサービスの提供を停止すると伝え、基本的には同意を得ることが望ましいです。

同意が得られない場合、いくら相手が未入金を続けているからといって強行でストップするのは避けるほうがよいでしょう。

契約内容によってはサービスの提供をストップしたことにより、こちらが法的責任を負うこともあります。

判断に迷ったときは弁護士に相談しましょう。

相殺に使える未払金を探す

自社に取引先に対しての債務がある場合は、相殺する方法も有効です。

相殺とは、お互いが持っている債権を打ち消し合って帳消しにすることをいいます。

たとえば、取引先が自社への売掛金200万円の未払いを続けているとします。

一方で、自社も取引先から何らかの商品を購入しており、100万円を支払う予定だとしましょう。

この場合、100万円を支払わずに、売掛金200万円のうちの100万円に充当させるのです。

今回の例では、売掛金のうち100万円を相殺できても、残り100万円を取引先から自社へ支払ってもらう権利を有しています。

相殺をするのに、事前に契約書などで取り決めをする必要ありません。

自社からの意思表示のみによって相殺できます。

お互いの債権を相殺する意思表示として、相殺通知書を送付します。

ただし、債権回収において相殺するには条件があり、次の3つに留意が必要です。

  • 同じ当事者のあいだに債権の対立があること
  • 両方の債権が同じ種類の目的を有していること
  • 両方の債権の弁済期が到来したこと

債権の対立とは、お互いが相手から支払いを受けるための債権および相手に支払う債務を持ち合っているということです。

同じ種類の目的とは、売掛金であれば金銭債権同士であることが条件として必要で、たとえば、売掛金と不動産などを相殺することはできません。

弁済期とは、支払い期日と同意です。

そのため、上記の例において取引先が自社へ支払うべき売掛金200万円の入金期日が過ぎていたとしても、自社から取引先へ入金する100万円の支払期日がまだ来てない場合は相殺することができません。

なお、契約書に「相殺禁止特約」が設けられている場合は3つの条件を満たしても利用できないため、契約書を確認しましょう。

以下では、相殺をおこなう際に送付する相殺通知書の文章例を紹介します。

相殺通知書の文章例

相殺通知書

株式会社○○○○

代表取締役○○○○殿

当社は、貴社に対して2024年3月1日に貴社から購入した商品○○の売買代金債権100万円の債務を有しております。

また、貴社が2024年1月10日に当社へ発注いただき、同年2月28日に当社より貴社へ引き渡した商品○○の請負代金債権200万円も有しております。

しかし、貴社に対する上記債権につきまして、支払期日を過ぎてもお支払いをいただけておりません。そのため、本書面をもって上記債権債務を対当額で相殺する旨を通知いたします。

なお、今回の相殺を持ちましても当社より貴社へ引き渡した商品○○の請負代金債権100万円が残る状態でございます。残金を速やかにお支払いくださいますよう、お願い申し上げます。

2024年5月1日

株式会社○○○○

代表取締役○○○○ 印

弁護士名義で内容証明郵便を送る

連絡を重ねても売掛金が支払われる様子がない場合は、弁護士名義で内容証明郵便による催促状や督促状の送付を検討しましょう。

とくに、相手方が支払う意思も見せず、意図的に支払いを拒んでいるときは、未入金が続く場合に法的手段を取るという警告をおこなう必要があります。

そのためには、弁護士名義での送付が有効です。

内容証明郵便では、日本郵便がいつ・どんな内容を・誰から・誰へ送ったのかを証明してくれます。

催促状や督促状を内容証明郵便で送ったとしても、それ自体に法的な拘束力はありません。

しかし、記録に残るため法的措置を講じる際に催促をおこなった証拠として提出可能です。

訴訟の前に相手が財産を処分できないよう仮差押えを検討する

催促や督促をおこなっても取引先が売掛金を支払わなければ、法的手段を取るほかありません。

訴訟などをする前に、まずは仮差押えを検討しましょう。

支払いを免れるために取引先が財産をあえて減らしたり、他社が取引先の財産を差し押さえたりする前に、裁判所で手続きをすることが大切です。

仮差押えでは、以下の3つを差し押さえます。

  • 取引先の銀行預金口座
  • 取引先が有する不動産
  • 取引先が有する他社などへの債権

仮差押えをおこなっておくことで、せっかく訴訟で勝訴し、裁判所から取引先に対して支払いを命じたとしても、支払う資金がないからといって支払いが実行されなくなることを防げるでしょう。

事前に仮差押えの手続きをしておくことで、確実に支払いをしてもらう準備をしましょう。

訴訟をはじめとした売掛金を回収するための法的手段4つ

次に、売掛金回収を正当な方法でおこなえる法的手段を4つ紹介します。

支払督促

支払督促とは、簡易裁判所の書記官から取引先に対して自社の売掛金債権についての督促をしてもらう制度です。

自社から催促しても一向に未払い金が支払われない場合であっても、裁判所からの支払督促が届けば入金に応じる会社は少なくありません。

支払督促から2週間以内に取引先が異議申し立てをしてこなければ、次は仮執行宣言の申し立てをします。

仮執行宣言付支払督促が相手に送達されて2週間以内に異議が出ず確定すれば、裁判の判決と同じ効力を有します。

そのため、異議申し立てがなければ強制執行が可能になるのです。

ただし、異議申し立てがあった場合、通常訴訟に移行することになります。

取引先が異議申し立てをしてくる可能性が高いと予見できる場合は、はじめから訴訟を選ぶほうが時間もコストも抑えられるでしょう。

民事調停

未払い金を回収するには、民事調停という方法もあります。

民事調停を申し立てると、裁判所において調停委員会のもとで当事者同士が話し合いをすることになります。

調停委員会とは、裁判官1名と弁護士など民間の有識者2名以上です。

つまり、当事者同士の話し合いを調停員が仲裁してくれる制度が民事調停なのです。

調停が成立すれば、その内容は調停調書として交付され、調停調書も裁判の判決と同じ効力を有します。

そのため、強制執行が可能になるのです。

ただし、調停が不成立に終わると強制執行はできないので、債権回収を進めるためには、訴訟を提起することが必要となります。

訴訟(少額訴訟)

支払督促に意義がある場合や調停も不成立に終わった場合、訴訟に移行します。

あるいは最初から訴訟を提起することも可能です。

訴訟で確定判決を得れば、判決に基づいて強制執行ができるようになります。

なお、請求する売掛金の金額が60万円以下であれば、少額訴訟という方法もあります。

少額訴訟は、原則として証拠調べと口頭弁論を1日でおこなう手続きです。

そのため、迅速に判決が出る点がメリットです。

ただし、少額訴訟の判決に控訴をすることはできません。

納得できない判決が出たとしても、それに従わなければいけなくなる点に注意しましょう。

強制執行

支払督促・民事調停・訴訟のいずれかによって、強制執行ができる状態になったら、強制執行の申し立てをしましょう。

判決が出たからといって、自動的に強制執行がおこなわれるわけではありません。

仮差押えをしていたとしても、裁判所に改めて申し立てる必要があります。

強制執行の方法には、次の4つがあります。

取引先の現金や動産に対して強制執行をする

取引先の金庫やレジに保管されている現金、取引先が有している機械などの動産を差し押さえます。

もっとも、業務に不可欠なものは差押えることはできません。

現金であれば、そのまま受け取ることが可能です。

ただし、現金は66万円までは差押えができないので、差押えられるのは66万円を超える範囲に限られます。

なお、機械などの動産は競売にかけて売れた代金から未払い金を回収できます。

取引先の預金に対して強制執行をする

取引先の銀行口座にある預金を差し押さえることも可能です。

銀行から直接自社へ振り込ませることで売掛金を回収します。

取引先の預金に対する強制執行を見据える場合は、契約書や取引先から届いた過去の請求書などによって取引先の銀行口座を確認しておきましょう。

取引先の不動産に対して強制執行をする

オフィスビルや工場など、取引先が不動産を有しているなら差し押さえて競売し、売れた代金から売掛金を回収することができます。

また、なかには売掛金について代表取締役が連帯保証人になっているケースがあります。

代表取締役が連帯保証人になっていれば、取引先の会社自体が不動産を所有していない場合でも、代表取締役が個人所有している自宅やマンションなどを競売にかけて売掛金を回収できます。

取引先の債権に対して強制執行をする

取引先の持っている取引上の債権を差し押さえることも可能です。

つまり、取引先が別の会社から支払いを受ける予定の代金を、自社に直接支払わせることで、売掛金回収ができるのです。

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相手が破産や民事再生を試みている場面

取引先の資金繰りがうまくいかず、破産や民事再生を試みていることがわかったらどうすればよいのでしょうか。

ここからは、相手が破産や民事再生を検討していることがわかった時点でやるべきことを紹介します。

実行される前に回収を終えるのが重要

取引先が債務整理を検討しているとわかったら、迅速な対応が重要です。

このような状況では、任意の債権回収をしようとはせず、支払督促などの法的手続きに早急に切り替え、債権回収を進めるほうがよいでしょう。

破産や民事再生を開始すると、取引先は自分たちの財産であっても自由に処分することができなくなります。

そのため、任意の債権回収を試みても無駄に終わってしまう可能性が高いです。

また、債務整理が開始されると自社が回収できる売掛金の額が少なくなってしまう可能性があります。

破産や民事再生を試みている気配があれば、仮差し押さえや強制執行ができる法的手続きを進め、なるべく早急に回収しましょう。

売掛金が商品の売買代金だった場合

売掛金が商品売買契約に基づく代金であり、自社が納品した商品がまだ取引先の手元にある場合には、動産売買先取特権という法定担保物権が認められ、商品を換価して回収を図ることができます。

もし商品がすでに第三者に転売されているケースでも、物上代位という方法によって転売された代金債権を差し押さえて回収することも可能です。

ただし、この場合は買い取った第三者から支払いがなされる前におこなう必要があります。

相手に支払い意志がある場合の回収方法

ここからは、未払いの売掛金について、相手に支払いの意思がある場合、どのように回収するべきかについて解説します。

未払金残高確認書を作成する

まずは、未払金残高確認書の作成を取引先に依頼しましょう。

未払金残高確認書とは、取引先が現在の未払い金を明記したうえで「必ず支払います」という約束の文言を記載した書面です。

この書面は、いずれ仮差し押さえや訴訟などの強制的な債権回収をおこなうことになった場合に重要な証拠となります。

未払金残高確認書があれば、あとの法的手続きをスムーズに進められるでしょう。

決算書を提出してもらう

売掛金の支払が遅れているときは、取引先に対して決算書の提出を求めましょう。

決算書によって、取引先の経済状況や保有している資産を把握でき、法的措置をいつごろ実施すべきかの検討材料になります。

また、将来的に差し押さえなどの法的手段を講じる際、差し押さえられる取引先の資産を把握することにも役立ちます。

許可を得て商品を引き揚げる

もし商品が取引先の手元に残っている場合は、商品の引き揚げを検討しましょう。

売買契約を解除することによって、商品を回収し、当該取引先からの未回収売掛金を少しでも減らせます。

また、商品が回収できれば別の取引先に納品できるため損を減らすことにもつながるでしょう。

ただし、次の場合には引き揚げができないため、注意が必要です。

  • 取引先が商品の引き揚げに同意しない
  • 引き揚げた商品がオーダーメイドであり、転売することができない
  • 商品がすでにほかの企業に転売されている

とくに、取引先が引き揚げを拒否しているにもかかわらず勝手に引き揚げてしまえば、違法行為となります。

承諾が得られないときは、裁判所での手続きによって強制的に商品を引き揚げるのが賢明です。

商品を引き揚げたいけれど拒否されているという場合は、弁護士に相談しましょう。

債権譲渡担保を利用するなどして、先方の売上を回収する

取引先に支払いの意思があるなら、債権譲渡担保契約を結び、代金が未払いに終わってしまうかもしれないリスクに備えて、取引先が持っている債権を担保に取りましょう。

債権譲渡担保を設定するための契約書を作成し、相手の承諾を得ることができれば、いざ支払われなかったときに担保となる債権から回収することができます。

契約書には、具体的な債権の内容や、未払いが続いたらどのような手続きで回収するかなどを条項にして記載します。

契約書は双方の合意に基づく法的拘束力を持つものです。

そのため、裁判所などの手続きを経ることなく取引先の債権から回収できます。

連帯保証を要求する

支払いの意思があるなら、相手方に連帯保証を求めれば応じる可能性があります。

たとえば、取引先の会社自体には資産がなくても、取締役が十分な個人資産を保有している場合、取締役に連帯保証人となってもらうのです。

連帯保証人を立てることで、取引先から未払いが続けば、連帯保証人である取締役に支払いを求められます。

また、法的手続きを取締役に対しておこなえる点もメリットでしょう。

売掛金の訴訟における注意点

債権回収にはさまざまな方法がありますが、どの手段を取るにしても注意点があります。

ここでは、売掛金を回収する際の注意点を4つ紹介します。

勝訴しても債権を回収しきれない場合がある

あらゆる方法を使っても売掛金の未回収が解決せず、訴訟に至ったとします。

しかし、裁判で勝訴し、相手に対して支払いを命じる判決が裁判所から下された場合、確実に売掛金回収が進むわけではありません。

なぜなら、判決が下されても、取引先がそのとおりに支払ってくれないケースがあるからです。

強制執行が可能な場合はまだしも、取引先に少しも資産が残っていないということもありえます。

そのため、訴訟を起こす前に取引先の支払い能力を確認しておくことが重要です。

訴訟費用や時間がかかったのに回収しきれないのであれば、訴訟を起こさずに諦めたほうがよいケースもありえるでしょう。

相手の資産状況をチェックしておく

債権回収をおこなう際には、相手の資産状況をチェックしておきましょう。

裁判で勝訴しても相手に資産がなければ売掛金は支払われないおそれがあります。

また、相手方の資産状況をチェックすることは、取引先が破産などを申し立てるタイミングを予測するのにも役立ちます。

仮差押えなどをするにしても相手の資産を特定しなければなりません。

それに先駆けて法的措置を取らなければ回収できる金額が減ってしまうかもしれません。

また相手の資産状況の確認は債権回収において欠かせないステップです。

時効対策のため、一部でも返済してもらう

売掛金には、消滅時効があります。

そのため全額支払いができなかったとしても一部返済をしてもらいましょう。

少額でも支払いがされると時効が更新されます。

そのため、少額でも支払われるよう促すことが重要です。

法的手段によらない場合でも、合意は文書にしておく

法的手段をしない段階であっても、合意した内容は必ず文書にしておくべきです。

また、公正証書として作成しておけば、いざ法的措置を取る段階になったとき、強制執行力を持たせることができます。

公正証書とは、公証人が作成する公文書です。

通常は取引先が支払いをしない場合は強制執行をおこなっても異議を申し出ない旨などを記載します。

これによって、より強制執行を確実にすることができるのです。

売掛金の回収や訴訟の対応を弁護士に依頼するメリット

売掛金回収や訴訟を自社に不利にならないようにおこなうには、弁護士へ依頼するのがおすすめです。

ここでは、売掛金の回収対応を弁護士に依頼するメリットについて紹介します。

交渉を有利にすすめられる

弁護士に依頼する大きなメリットは、交渉を有利に進められることです。

たとえば、内容証明郵便を弁護士名義で送付するだけでも、支払いがなされるケースも少なくありません。

弁護士が代理人となるだけで取引先が入金に応じることは珍しくないのです。

また、弁護士は交渉のプロフェッショナルです。

たとえ内容証明郵便による督促などで支払いがなされないとしても、さまざまな交渉方法や法的手段を知っています。

万が一訴訟などに発展した場合でも、自社が独自に対応するより有利に交渉を進められるでしょう。

繁雑で手間のかかる対応を任せられる

繁雑で手間のかかる対応を任せられるのも、弁護士に売掛金の回収を依頼する大きなメリットでしょう。

電話やメールをしても無視する取引先や、支払いの意思を見せながらもいつまでたっても入金がなされない状況は、誰にとってもストレスがかかるものです。

当事者であればなおさら苦痛を感じるでしょう。

また、支払督促をはじめとした法的手続きを取る場合は、専門的な知識が必要になります。

売掛金回収をおこなうのは、当然自社の社員です。

売掛金の回収だけをすればよいわけではなく通常業務もこなさなければなりません。

弁護士に回収を依頼し、相手との連絡や交渉などの手間のかかる対応を任せることで、社内の担当者は本業に専念できるでしょう。

スムーズに法的手続きを進められるようになる

取引先が自発的に支払いをおこなわなければ、支払督促・少額訴訟・民事調停などを検討せざるを得ません。

しかし、法的知識や経験が十分でなければ、どの手続きが適切かやどのタイミングでおこなうべきか、具体的にどう進めるべきかについて、不安や疑問が尽きないでしょう。

債権回収にはさまざまな方法があり、全てのケースで同じように適用できる画一的な方法があるわけではありません。

弁護士に依頼すれば、これまでの知識と経験に基づいて、各ケースに応じた適切な手続きを検討し、実施できます。

法的手続きもスムーズに進められるでしょう。

相手が経済的に破綻しそうな状況でも、できる限りの対応を期待できる

取引先の経営状況は常に変わっていきます。

売掛金の支払いが滞っている取引先が、いつ経済的に破綻するかは、外部からは予測できません。

取引先が破綻すると、回収が困難になるのが通常です。

弁護士に依頼することで、破綻寸前の取引先から回収できる可能性についてアドバイスをもらえます。

弁護士であっても破綻寸前となると必ずしも全額回収できるとはいえませんが、早期の相談によって、破綻が進行する前にできる限り回収を試みてくれるでしょう。

売掛金回収を任せる場合にかかる弁護士費用の目安は?

売掛金回収を弁護士に依頼すると、どれくらいの費用が必要なのでしょうか。

弁護士費用は、各法律事務所または弁護士ごとに自由に決めることができます。

そのため、実際に依頼する際は弁護士に見積りを依頼してください。

ここでは、目安として一般的な費用を紹介します。

まずは弁護士への相談料が発生します。

相談料の相場は30分5,000円~10,000円です。

初回の相談料については無料にしている法律事務所も少なくありません。

相談を終え、実際に実務を依頼するとなると、着手金がかかります。

着手金の相場は10万円~30万円です。

さらに、弁護士への依頼によって無事に債権回収ができた場合、成功報酬が発生します。

回収できた金額の10%~20%を成功報酬として設定している法律事務所が多いです。

また、弁護士への依頼料以外にも実費がかかります。

実費とは、たとえば内容証明郵便を送るのであればその郵送費などです。

加えて、訴訟や強制執行においては、以下のような裁判所に納付する費用も発生します。

訴訟にかかる実費
  • 印紙代…訴額によって異なる
  • 予納郵券…6,000円程度
  • 資格証明書…1社480~600円
強制執行にかかる実費(銀行口座の差し押さえなどの場合)
  • 印紙代…4,000円
  • 予納郵券…5,000円程度
  • 資格証明書…1社480~600円

なお、予納郵券は裁判所によって金額が異なります。

資格証明書の料金は、当事者が法人の場合にのみ発生します。

具体的にかかる金額は、案件や法律事務所や弁護士によって異なるため、依頼したい弁護士に見積もりを依頼しましょう。

訴訟などの法的手段でも売掛金を回収できない場合の対処方法

ここからは、訴訟などの法的手段を講じても売掛金を回収できなかった場合の手段について紹介します。

売掛金の放棄・損金処理をする

取引先からの売掛金回収が困難な場合、売掛金の放棄と損金処理が考えられます。

売掛金は回収できなくても売上として計上しなければならず、そのままでは課税対象となります。

しかし、回収が不可能であれば、売掛金を放棄することで損金として計上可能です。

それによって課税されずに済みます。

損金処理をおこなう際には、取引先に対して債権放棄の意思を明確にしておくことが重要です。

意思を明確に示すため、一般的には債権放棄通知書という書面で通知します。

公的融資の活用を検討する

日本政策金融公庫が提供する融資制度「取引企業倒産対応資金」を利用するのもよいでしょう。

取引企業倒産対応資金は、セーフティネット貸付とも呼ばれます。

取引企業倒産対応資金では、一定の要件を満たす企業に対して、最大1億5,000万円までの融資をおこなっています。

一定の要件とは、たとえば、倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権を持っているなどです。

融資であるため返済義務がありますが、返済期間は8年以内であり、十分に資金繰りの猶予が確保できる可能性があります。

詳しくは、日本政策金融公庫のホームページで確認してください。

さいごに

売掛金回収のためには、まずは請求書の確認や催促をおこない、取引先の支払い意思を確認しましょう。

相手に支払う意思があるのであれば、こちらがおこなえる措置も増えます。

支払いの意思がないのなら、法的手段も検討しましょう。

なお、いざ訴訟をおこなう際には弁護士のサポートが不可欠です。

なるべく確実な売掛金回収を実現するために、債権回収を得意とする弁護士に相談しましょう。

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この記事の監修者
小野瀬有法律事務所
草木 良文 (東京弁護士会)
弁護士 草木は、これまで数多くの債権回収案件に対応しており、中には1,000万円を超える債権を回収した実績もございます。債権回収でお悩みの方は、まずは一度ご相談ください。

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編集部

本記事はベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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