未収金は、会社にとって大きな損害でしょう
放置してしまうと、あなたの会社が【黒字倒産】に追い込まれかねません。
未収金には時効もありますので、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、債権回収することをおすすめします。
弁護士を通して内容証明や督促状を送ることで、裁判等を行わなくても回収できる可能性があります。
債務者が破産・再生手続きを行う前に債権回収をしましょう。
未収金(みしゅうきん)とは、自社の商品以外の物を売って代金を後で受け取ることにした場合に生じる債権のことです。
商品以外の物とは主に建物・備品・ 土地などです。
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この未収金が回収できないままだと、個人や企業としては損をするのと同義ですから、払ってくれない相手や取引先に対し「何としてでも回収したい」という気持ちが生まれて当然です。
今回はこの未収金を回収する方法や、回収できない時にとるべき措置についてお伝えいたします。
未収金は、会社にとって大きな損害でしょう
放置してしまうと、あなたの会社が【黒字倒産】に追い込まれかねません。
未収金には時効もありますので、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、債権回収することをおすすめします。
弁護士を通して内容証明や督促状を送ることで、裁判等を行わなくても回収できる可能性があります。
債務者が破産・再生手続きを行う前に債権回収をしましょう。
未収金が発生してしまったら、真っ先に何をしなければならないのでしょうか?
くれぐれも、いきなり法的な手続きを取らないように、然るべき手順を見ていきましょう。
債権者が未収金の回収を図るためには、まず債務者に支払意思を持ってもらうことが大切です。
支払い能力があるのに支払ってくれないという場合には、債権者側に滞納される原因があるかもしれないということを頭に入れておきましょう。
もしこのように滞納の根本の原因が債権者側にあるようなら、その原因を解消することができれば、債権者にはもともと支払意思がないわけではありませんから、債権回収は容易に解決できる場合があります。
未収金と売掛金の考え方はまったく同じです。
したがって、回収する方法や回収に至るまでの流れも同じといってよいでしょう。
早く円満に回収するコツとしては、いきなり法的措置は取らず、以下の段階を踏むことです。
電話は一番手軽で、一番コストパフォーマンスのよい請求方法と言えます。
電話口に相手が出たら、「こちらは急いでいる」という旨を丁寧に伝えるとともに、期日を24時間以内で設定しましょう。
これは、支払いを問わず24時間後に再度圧をかける為です。
相手が電話口に出なければ、同様の内容で伝言を残しておくようにします。
その際、「何を伝えたか」をきちんとメモや音声に記録に残しておくことがポイントです。
これにより、後になって「言った、言わない」で揉めるリスクを軽減出来ます。
電話番号が不明な場合、または料金未納で通じなくなってしまったなどで請求したくても請求できないときには請求書を書きましょう。電報も効果的でといえます。
今の時代には滅多に電報が届くなどということはありません。
請求書にせよ電報にせよ、そういった催促が目に見える形で届けられると、相当な圧になります。
尚、電報を送る際は「115」に発信して下さい。
内容証明郵便(いつ、いかなる内容のものを誰から誰へ宛てて差し出したかということを日本郵便が証明する制度)の送付は、未収金の回収方法としてはオーソドックスなものであるといえます。
内容証明郵便のメリットとして、消滅時効を一時的に中断させることができる点があります。(この時効の詳細は次項で解説していきます。)
また、相手に対して心理的プレッシャーを与えることができます。
内容証明郵便が弁護士の名義であればなおさらその効果は大きいでしょう。
しかし、この内容証明郵便に法的な拘束力はなく、一通出すのに1,300円くらいかかるので、コストパフォーマンスがよいとはいえません。
内容証明郵便についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事をご覧ください。
内容証明は、文字数が決まっています。
下記の文字数に納める必要があります。
用紙の種類や大きさは自由ですが、送る相手が1人の場合は同じものが3通必要です。(相手、郵便局の保管用、自分用)
実印でなくても認められますが、文章が2枚以上になるときはその綴目に契印をしなければなりません。
通知書 東京都北区赤羽1-2-3 平成●年●月●日 貴社益々のご清栄のこととお喜び申し上げます。 以上 |
相手が訪問できる圏内に住んでいる、または取引先の会社が訪問圏内であれば、実際に訪問するのもよい手段です。
労力はかかりますが、対面で目を見ながら心へ訴えかけることが出来るので、人の心を動かすうえでかなりのメリットがあります。
アポなしでの突撃訪問や、あまりにも頻繁すぎる訪問は避けたほうがベターです。
営業妨害や不退去罪で110番通報されるリスクが高まり、そうなると法的に立場が逆転するケースもあるからです。
以下の法的措置に出て回収することも可能ですが、脅しとしての効果は十分でも、即効性があるわけではないため最後の手段として認識しておきましょう。
支払督促は、正式な裁判手続をしなくても、判決などと同じように裁判所から債務者に対して金銭などの支払を命じる督促状(支払督促)を送ってもらえる制度です。
債務者への送達後2週間以内に異議がなければ、30日以内に債務者の申立によって仮執行宣言が付されます。
ただし、異議の申立があれば訴訟に移行します。
▶「支払督促とは|申立方法と手順や弁護士選びに必要な知識まとめ」
民事調停は、簡易裁判所で当事者同士が話し合いによって解決する方法です。
合意に至れば調停調書が作られ、その調停調書は判決と同じ効力を持ちます。
ただ、あくまでも任意での話し合いですので、調停が不成立に終わってしまう可能性もあります。
訴訟は、判決で白黒の決着をつける制度です。
賃金や売掛金の回収では債務の存在は多くの場合確定しているにも関わらずなぜ訴訟をするかというと、訴訟による判決がなければ強制執行をすることができないからです。
簡易裁判所において、60万円以下の金銭を請求する場合に、1回の期日で審理を終えて判決することを原則とする特別な裁判手続きです。
少額訴訟の判決に対しては、控訴をすることができないため、この方法を選ぶかどうかは慎重に判断する必要があります。
▶「少額訴訟と通常訴訟の違い|通常訴訟への移行を回避する術」
強制執行は、訴訟における確定判決などを債務名義(債務があることを証する書面)として、地方裁判所で執行文の付与をしてもらい、強制執行の申立をして行います。
文字通り“相手の意に反して強制的に行う手続き”になり法律上厳格な規定がありますので、一人で行うことは不可能ではないにしても、それでトラブルになってしまっては元も子もありません。
したがって、もし執行に至るのであれば、弁護士への依頼を検討することを推奨します。
▶「強制執行で債権回収するために必要な知識のまとめ」
▶「差し押さえの全知識|差し押さえの手続きと費用の解説」
円滑な未収金の回収のために、以下のポイントは抑えておきましょう。
未収金に限らず、全ての債権に関して言えることですが、支払いが遅れている時は、すぐに支払いの催促を行いましょう。
滞納している側も、はじめは「早く払わなければ」という焦りが生まれるかもしれませんが、時間の経過とともにその気持ちも薄れ、支払いに応じることが億劫だと感じてしまうのが人間の心理というものだからです。
長引かせてよいことは何一つとしてありません。
未収金の支払い遅延の原因別にまとめました。
「期限を忘れていた」「払ったつもりでいた」などの単純なミスならば、電話一本で解決できます。
くれぐれも、すぐに裁判沙汰にするのは避けましょう。
今たまたま支払える余裕がないからであるのか、それともずっと支払える余裕がないのかをまずは把握しましょう。
物理的に回収が見込めない場合、以下の「最初から悪意があった場合」と同じ手段が必要になるでしょう。
相手に悪意があり、ただ待ち続けているだけでは回収が難しい場合は、上記の未収金を回収する流れの①から順に回収を試みましょう。
何のアクションも見られなければ、最終的には法的措置に出るしかありません。
未収金を回収せずにいつまでもそのままにしておくことは、得策とはいえません。
何故なら、未収金は一定期間(原則として、権利行使可能であることを知った日から5年)で時効となるからです。
時効が成立すると未収金は消滅してしまいます。
しかし時効が迫っている場合でも、以下の手続きをとることで時効を中断することが可能です。
債権者側から債務者へは、以下のように様々な請求を行うことが出来ます。
債権者が簡易裁判所に申し立てることによって、裁判所から債務者に対し、「支払督促」という書面を送付してもらうことができます。
債務者から異議が出なければ、仮執行宣言を付すことによって、強制執行をすることができます。
ただし、債務者から異議が申し立てられれば、通常の訴訟へ移行します。
調停(裁判所)で行う話し合いのこと。
裁判所の調停委員が間に入って話合いが行われます。
当事者同士では感情的になってしまい、話合いが難しいような場合でも、調停であれば冷静に話し合いができることがあります。
訴訟係属を前提としない裁判上の和解のこと。
指定した最初の期日で和解が成立することが多いため、実務上、「即決和解」とも呼ばれています。
通常の裁判上の和解は訴訟を提起した後に行われますが、即決和解は訴えを提起せずに、指定された期日に当事者双方が裁判所に出頭して作成します。
訴訟を行う場合に比べて余計な費用がかかりません。
和解がうまくいかなかった場合でも、その日から6ヵ月間は時効の完成が猶予されます。
裁判になる前に、「お金を返してほしい」という内容の書類を債権者から債務者に向けて内容証明郵便で送ること。
これにより、催告が相手に届いた日から6ヵ月間は時効の完成が猶予されますが、その間に、裁判上の請求など、時効の更新事由がなければ時効が完成してしまいます。
判決や仮執行宣言付支払催促などの債務名義がある場合は、これに基づき、債権者が裁判所に申し立てることによって、財産の差押え等の強制執行ができます。
これにより時効は更新されます(ただし、申立ての取下げや取り消しによる終了の場合は、時効は更新されず、6ヵ月間の完成猶予が認められるのみです)。
また、一定の要件を満たす場合には、仮差押えや仮処分といった民事保全手続が可能ですが、仮差押えや仮処分がなされると、その終了の時から6ヵ月間、時効の完成が猶予されます。
いくら差し押さえとはいえ、全ての財産を突然一括で差し押さえられるわけではありません。
また、仮差押えの場合は、判決が得られていない状態で債務者の預金等を拘束することになるので、債務者側に配慮をする必要があり、債権者側は担保金(差し押さえを希望する額の約3割程度)の準備をすることが一般的です。
債務の承認とはその名の通り、債務者が債務の存在を認めることです。
前述しましたが、債務者が1円でも借金を返済したり、または支払い約束証へサインをしたりした場合、債務の承認にあたり時効は更新されます。
さらに、判例では、時効期間が満了したあとに債務の承認を行ってしまうと、もはや消滅時効の援用はできないとされています。
売掛金が回収できないままでいると、利益となるお金が入ってこないことは当然のことながら、「ルールに緩い人だ」「払わなくても大丈夫な会社だ」と思われ、ますます払ってもらえないスパイラルに陥るリスクがあります。こうなってしまうと、
このような怖い事態に陥ります。
また、銀行や投資家など外部から、金銭の管理能力の低い会社だと思われたり、成長性の低い会社だとマイナスの印象を持たれたりしてしまいます。
期限内に未収金の回収を行えないままタイムリミットとなってしまった場合は、どのようにしたらいいのかも以下で確認しておきましょう。
相手と連絡が取れない、相手から郵便物の受け取りを拒否されたという時は、書面の効力が発生しないので、回収実務を進捗することが出来ません。
また、相手が自己破産をしたり、相手の会社が倒産したりした場合も、法的に「財産がないので払わなくてもいい」ということが認められるので、回収は困難となります。
内容証明郵便等で、その未収金を放棄する旨を書類で残すというのも一つの手段です。
回収の見込みがないのであれば、自らが未収金を放棄してしまえば貸倒損失として損金算入することが可能になります。
本当に放棄しても構わない未収金かどうかをしっかり判断したら、税理士などプロの判断を仰ぎながら、期末までに提出するようにしましょう。
未収金が回収出来ない事でこちらの事業にも悪影響がある場合、公的融資の取引企業倒産対応融資というものがありますので、積極的に検討しましょう。
詳細は以下のページを参考にして下さい。
日本政策金融公庫
集金代行サービスを行っている会社へ、回収代行の依頼をすることも検討の余地があります。
初期費用やサービス利用料金は数万円かかりますが、そのぶん回収業務に費やす時間を本来の業務に費やし注力することが出来ます。
債権回収サービスについて興味がわいた方は、下記記事をご覧ください。
特別な研修を受けて試験に合格した認定司法書士であれば、140万円以下の債権回収の交渉を代理したり、簡易裁判所で代理人になることが可能です。
しかし司法書士は本来、登記の専門家になるので、債権回収の知識はあってもその道のプロというわけではありません。
債権回収に注力している弁護士に回収を依頼することで、全ての手続きは弁護士が依頼主の代理となり行ってくれます。
弁護士に依頼する際の詳細は、次項で解説していきましょう。
現在、債権の回収代行を行える専門家は、国が認可したサービサーと弁護士か認定司法書士のみとなります。
このような専門家に依頼した場合のメリットとデメリット、また費用について以下にまとめました。
「法的な手段に出ている」「本気で回収しようとしている」と相手に印象付けることが出来るので、「早く支払わないと」という焦りを生じさせる効果があります。
時効を成立させない為に専門家からは適切なサポートを受けることが出来るので、気が付いたら時効が成立してしまっていたという最悪の結果を免れることが出来ます。
債務者とは、逃げられないだけの距離感を保ちながらシビアな交渉をしていくことになりますが、場合によっては逆に脅されたりなどといったこともあるかもしれません。
弁護士に依頼することで、このような精神的負担を肩代わりしてもらうことができます。
当事者だけで話し合いをしても、上手くかわされ、時間だけが過ぎていくということになりかねません。
交渉に応じない相手には速やかに裁判所を使った手続きを選択し、迅速な解決が可能になります。
「裁判も辞さない」という意思が相手に伝わることで、以降相手と良好な関係を維持することが困難になる場合もあります。
弁護士に依頼して債権回収をする場合は、着手金と成功報酬が発生します。
回収しようとする借金額が小さい場合、弁護士に依頼すると費用倒れになってしまうこともあり得ます。
内容証明郵便を送って交渉をするだけでも、着手金が最低5万円程度はかかります。
また、裁判所を使う手続きの場合は、着手金が10万円程度かかるのが一般的です。
着手金とは別に、回収が成功した際には成功報酬として、回収できた金額の約20~30%を別途支払います。
ほとんどの弁護士事務所がホームページを所有しているので、以下のポイントをチェックしてみましょう。
弁護士が取り扱う法律分野は多岐に渡ります。
債権回収という分野において、十分な専門性・知識を持つ弁護士を選びましょう。
無料相談を行っている事務所も多くあります。
よい結果に繋げる為にも、契約費用が発生する前の段階で弁護士との相性の良し悪しを調べておきましょう。
相性がよいと思える弁護士が見つかるまで電話での無料相談を何度も活用したりするのも有益といえます。
その際は、以下のポイントをチェックしてみましょう。
安全策としては、知人に依頼して知っている弁護士を紹介してもらう方法があります。
過去にトラブルを起こしたことがある弁護士や悪質な弁護士を避けることができ、弁護士に対するクレームもその知人を通して伝えて解決することができます。
インターネットで「債権回収 弁護士」というワードで検索してもたくさんの弁護士事務所がヒットしますが、手っ取り早く信頼できる弁護士を探す方法として、「ヤフー知恵袋」や「教えてgoo」などで実際の体験談や口コミを見てもよいでしょう。
ただし、インターネット上の口コミは玉石混交のため、あくまで参考程度にとどめましょう。
各弁護士会では有料(30分5,000円程度)の法律相談を開いているので、そこでの相談後に弁護士を斡旋してもらうのもよい手段といえます。
弁護士会経由で依頼をした場合、弁護士費用(着手金、成功報酬)は、少額事件を除き、弁護士会の委員によって審査されます。
弁護士に不都合なことがあれば、依頼者は弁護士会に相談できます。
まずは実際に依頼する前に気になることは何でも質問し、経験年数や相談分野の実績を尋ねるなどして、弁護士としての能力を確認しましょう。
未収金を払えない側にも払えないなりの事情があるかと思いますが、人間誰しも、飲食店で飲み食いをしたら代金を払い、タクシーに乗れば運賃を払い、病院に行けば診療代を払うのが社会のルールです。
相手の事情に深く関わりすぎず、淡々と機械的にスピーディーに回収することが一番のコツです。
その為にも、まずは弁護士への相談を検討しましょう。
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