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債務を支払ってもらうために、どのような対応をしたらいいのか悩んでいる方もいるでしょう。
債権回収は、電話や書面での通知、支払督促などの方法があり、場合によっては訴訟を起こすケースもあります。
この記事では、債権回収の方法や流れ、注意点を紹介します。
債権回収の流れは、メールや電話などで相手方に連絡を入れ、返済を求めるところから始まります。
【債権回収の流れ】
債務者が個人の場合 |
企業間の取引の場合 |
1.メールや電話で連絡する |
1.取引先に連絡する |
2.書面で督促する |
2.書面で催告する |
3.交渉する |
3.交渉する |
4.法的手続きに進む |
4.債権譲渡を受ける |
5.法的手続きに進む |
債務者あるいは取引先に連絡をしましょう。
相手方が手続きを忘れていた場合は、連絡を取り催促することで、すんなり回収できるケースも珍しくありません。「電話では言いにくい」という場合は、メールでの催促が有効です。
メール内容には、以下の項目を入れます。
|
以下、例文を紹介します。
【催促メールの例】
件名:「〇〇〇のお支払いについて」 宛先 挨拶 本文 結び なお、行き違いでご送金いただいておりました際には、何卒ご容赦ください。 最初の連絡では、相手方に気づいてもらう意図もあるため、丁寧な文面を意識しましょう。 |
電話やメールで連絡をしても応じてもらえない場合は、書面で督促をすることになります。
「このまま支払ってもらえない際には、法的な対応をとりますよ」といった意思を通知し、債務の支払いを求めるものです。「催告書」や「督促状」とも呼ばれています。
催告書には、以下のような内容を記載しますが、書き方に決まりはありません。
受け取った側が何について、どのような対応を求められているのか明確にわかるように記載しましょう。
|
【催告書の文章例】
催告書を「内容証明郵便」にする方法もあります。
内容証明郵便は、「いつ・誰が・どのような内容を・誰宛に送付したか」を日本郵便が証明するものです。
法的手続きに進んだ際の「証拠」としても活用できるため、相手方に無視されたり、とぼけられたりする恐れのある場合は、検討しましょう。
催告書を相手方が受領し、話し合いに応じた際は、支払い方法や支払い時期を再度よく相談しましょう。
可能であれば、合意書を作成するのがおすすめです。
双方の署名などを明記し、押印もしておくと、万が一、裁判に進んだとき有効な証拠になります。
企業間での債権回収では、債権譲渡を受ける回収方法もあります。
債権譲渡とは、取引先が持っている債権を譲ってもらうことを指します。
例えば、当社の取引先Aが、未払いを発生させているとしましょう。
しかし、取引先A社は、別の取引先B社への売掛金をもっているとします。
そこで、当社がB社に対して事情を説明し、売掛金の返済をA社ではなく、当社の口座に振り込んでもらうようにします。
債権譲渡を活用すると、取引先が現金を持ち合わせていなくても、未払い金の回収が可能です。
電話やメールでの連絡、書面での督促、交渉などで支払いを求めても、なお応じない場合には、法的手続に進むことになります。
法的手続には、以下のパターンがあります。
|
支払督促は、裁判所書記官が相手方に支払いを命じる法的手続です。
債権者側が申し立てを行い、簡易裁判所の書記官から「支払督促」を発付してもらいます。
支払督促は、裁判所の正式な手続き書面として先方に送付されるので、相手が支払いに応じる可能性が高まるでしょう。
仮に、支払督促後に相手方が返済や異議申し立てをしなかった場合は、強制執行の手続きへ進むこともできます。
書類審査のみで行われる手続であり、訴訟のように裁判所に出向いたり、証拠を集めたりする必要がないため、比較的取りかかりやすい手続といえるでしょう。
なお、支払督促に対して相手が異議を申し立てた場合には、通常訴訟に移行することとなります。
民事調停は、話し合いによって解決を図る法的手続です。
裁判官と調停委員が当事者の間に入り、双方の主張を聞き、歩み寄れる解決案を提示してもらえます。
合意に至ると成立する形です。
調停で合意された内容は、判決と同じ法的効果が生じます。
話し合いによる円満解決を図りたい際に適している手続といえるでしょう。
少額訴訟は60万円以下の金銭の支払いを求めるケースに限り使える特殊な訴訟手続です。少額の債権回収事案について、簡易迅速な処理を可能とするものであり、通常訴訟とは異なるルールで行われます。
例えば、少額訴訟を提起するためには、相手の同意が必要です。相手が少額訴訟に同意しない場合には自動的に通常訴訟に移行します。
また、少額訴訟は原則として1回目の期日で即日結審・判決となります。なお、少額訴訟の判決も債務名義として強制執行手続に利用できます。
民事訴訟は、原告・被告が双方の主張と証拠を出しあい、事実を認定し、法律を適用して、当事者間の権利義務関係を裁判官が裁定する手続です。通常訴訟の手続は重厚であり、審理のための期日が複数回積み重ねられるのが通常です。判決に至るまで早くても半年以上はかかると見たほうがよいでしょう。通常訴訟で下された判決も債務名義として強制執行手続で利用できます。
裁判の判決が出ても、裁判所が自動的に債権を回収してくれるわけではありません。
債務者が判決に従って任意で支払ってくれれば良いですが、そうでない場合は債権者が別途強制執行手続を申し立て、債務者から強制的な回収をしなければいけないのです。
強制執行とは、債務者の財産を強制的に差し押さえて債権を回収する法的手続です。債務者の意思を制圧して強制回収を図る強力な手続であるため、実行するには法律上の要件が充足されなければなりません。
例えば、強制執行手続を取るためには、権利の存在を公的に証明する債務名義が必要ですし、この債務名義は執行力のある者である必要があります。また、強制執行を行うためには、不動産や預金債権など、執行対象となる財産を特定する必要があります。そのため、強制執行の前提として、相手の財産状況をある程度把握しておく必要があります。
強制執行を開始するためには裁判所に申し立てをする必要があります。
この段階で、何を差し押さえるのかを特定する必要があります。特定された財産に執行をかけ、執行可能であれば差押処理がされるというのが基本の流れです。
なお、強制執行を申し立てる場合には執行力のある債務名義が必要です。これがない場合には、強制執行を申し立てることがそもそもできません。
債務名義としては、例えば確定した支払督促・判決、和解調書、執行認諾文言の記載された公正証書などが挙げられます。そのため、強制執行手続を企図するのであれば、
まずは少額訴訟や通常訴訟など、債務名義を取得できる手続から開始しなければなりません。
債権回収のとき注意したいポイントが3つあります。
「時効」「証拠」「違法行為」です。
第一に注意したいポイントは、債権の時効です。
一部の債権については1~3年の短期消滅時効が定められていましたが、2020年4月1日以前の金銭債権は、商事債権であれば5年、一般債権であれば10年が消滅時効でした。
2020年4月1日以後の債権については、債権は一律「権利行使できることを知ってから5年または債権行使が可能な時点から10年」が消滅時効となりました。なお、商事時効制度も短期消滅時効制度も廃止されています。
消滅時効には中断(更新)といって、時効期間がリスタートする制度があります。
具体的には、訴訟手続等を通じて債務者に請求する行為や債務者が権利の全部または一部を承認する行為(一部弁済や支払猶予の申入れも承認行為に当たります。)があると、消滅時効期間はリスタートすることとなります。
なお、時効期間を中断するものではありませんが、債務者に対して催告を行った場合、催告から6ヶ月間は時効完成が停止することとされています。この6カ月の停止期間内に訴訟などの正式な中断(更新)措置を講ずれば、時効期間がリスタートすることになります。
債務者に対して訴訟などの法的手続を通じて債権を請求するためには、権利の存在を裏付ける証拠が必要になります。
債権回収のために訴訟を申し立てても、証拠がなければ裁判官に債務の存在や金額を認めてもらうことは難しいです。
裁判官は全くの第三者であり、当事者間のやり取りを関知する立場にありません。そのような第三者の目から見ても債権の存在や内容がわかる程度の証拠がなければ、最終的に裁判所に権利の存在を認めてもらうことは難しいでしょう。
債務者が金を返さないからという理由で、債権者が何をしても良いということはありません。そのため、債権回収名目で債務者の物品を無断で持ち去ったり、債務者に執拗につきまとうなどした場合、違法な行為があったとして債権者側が不利となることもあります。
相手が非常識な対応をしているから、こちらも非常識な対応をして良いという道理はありません。債権者としてはあくまで常識的な対応を心がけましょう。
債権回収には、さまざまな方法があり、ケースによって最適な回収方法が異なります。とはいえ、法律の知識がなければ、最適な方法の判断は難しいでしょう。
「通知を出すタイミングは?」「支払督促まで進むべき?」など、わからないことが多く、悩んでしまうかもしれません。
泣き寝入りをしないためにも、債権回収で悩んだときは、弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談すれば、適切な回収方法をアドバイスしてもらえます。
また、法的手続きが必要になった際も、代理をしてもらえます。
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債権回収では、相手の出方や債権額によってはあまり効果が期待できない場合もあり、自分だけで債権回収を行なおうとしても適切な方法を選択することは難しいでしょう。
そもそも、今の状況でどのような方法を取ればいいのかを提案してくれる弁護士は、相談だけでも力強い味方となってくれます。
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