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弁済される見込みのない債権を抱えているため、その債権の債務者である会社を破産させるために債権者破産を申立てる方(法人・個人)は一定数、存在します。
どうせ回収できない債権ならば破産手続きを通して配当金を受け取る方が損失は少ない、納税の負担を減らすために不良債権を売上計上から外したいなど、債権者破産の申立を行う方の事情は様々です。
今回の記事では、実際に債権者破産の申立をする上で、必要な申立方法や申立書類の作成方法、申立費用について解説していきます。
早速ですが債権者破産の申立方法について順追って説明していきます。
申立方法について説明する前に、債権者破産申立について先に解説しますが、債権者破産とは債権者側が債務者の債務の免除をするための破産手続きです。
債権者側が債権者破産申立を行う目的は、回収が見込めない債権を自社の売上計上から外すところにありますが、未回収の債権であれ納税する法人税の対象に含まれてしまいます。
しかしながら、破産手続きとは本来であれば、債務者側が行うべき手続きであり債権者側が債務者に代わり破産申立を行うのは一般的ではありません。
その理由としては、破産手続きでは債務者の財産から全ての債権者へ配当金が渡されますが、配当金から弁済される債権の割合が低いためです。
また通常の破産手続きと異なり、債権者破産は債権者側が債務者の情報収集を行わなければならず、手続きが容易ではないため利用者は数知れています。
債権者破産の手続きをするためには、まず債務者の所在地を管轄する地方裁判所にて申立を行います。
この際、申立書類と裁判所への申立費用が必要になりますが、書類の内容に過不足がないか裁判所からの書類のチェックは厳しいため、申請する際は印鑑を持参しましょう。また、申立書類と申立費用に関しては、当記事内で後述致します。
裁判所から申立が受理された場合、裁判官から破産者(債務者)だけでなく、申立債権者も事情聴取を受けなければなりません。
破産手続きでは、破産に至るまでの原因を確かめる必要がありますが、元々、破産手続きをする意思のない破産者(債務者)から原因を追及するのが難しいためです。
そのため申立債権者は、どうして債務者が破産をする必要があるのか、裁判官へ説明する義務があります。また、債務者に対しては負債の状況の確認が行われるのが一般的です。
審尋の完了後、裁判所から債務者に対して保全処分が行われます。保全処分とは破産手続きが完了するまでの間、裁判所から債務者へ対する財産の仮差押さえです。
債務者の財産は全ての債権者へ配当するために換金されますが、破産手続き前に債務者が勝手に財産を処分(贈与・譲渡)するのを防止するために保全処分が行われます。
保全処分が完了後、裁判所から破産手続きの開始が決定されたら、債権者破産の対象である株式会社が解散すると同時に、裁判所から破産管財人が選任されます。
破産管財人とは、債務者の財産を換金し、債権者達へ配当の手続きを行う者を指しますが、弁護士が選定されることが一般的です。
債務者の財産を換金するにあたり、破産の対象の会社の代表者と破産管財人との間で、財産の内容、処分の方法について協議が行われますが、この際、破産者は破産管財人に協力的な姿勢を見せなければなりません。
しかしながら、債権者破産において、債務者(破産者)が破産管財人に対して反抗的な場合がしばしばあります。債務者からすれば破産手続きをすること自体が不本意である場合が多いため、手続きが長引く可能性が高いことを念頭に入れてください。
実際に、換金可能な財産は、可能な限り現金化していきます。配当の準備が整ったら債権額に応じて、全ての債権者へ平等に配当が行われますが、債権者破産の申立人が配当において優遇されることはありません。
債権者の中でも、債務者の財産へ抵当をかけている場合は、その財産における配当は優遇されますが、債権者破産の申立人は他の債権者と平等の扱いです。
債権者破産の申立てをご検討中の方へ
債権者破産は、煩雑で手続きに手間と時間が掛かります。できるだけスムーズ申立てを望むのであれば、弁護士へご相談ください。また、弁護士に相談することで、債権者破産以外の債権回収が見つかるかもしれません。
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では、債権者破産の申立に必要な書類について確認していきましょう。
債権者破産の申立をする上で申立書を作成しなければなりませんが、申立書のタイトルは、「破産宣告申立書」、申立書の内容には申立の目的や申立の理由を記載します。申立書の雛形として、以下のフォーマットを参考にしてください。
破産宣告申立書 2016年○月○日 ○○地方裁判所 ○○民事部 御中 申立の趣旨 債務者 株式会社Bを破産者とする決定を求める。 申立の理由 別紙添付の陳述書記載の通り、債務者は、申立人に対して○○万円の債務が発生しておるが、債務者の資産状況から債務の支払不能な状態である。 添付書類 陳述書 |
債権者破産の申立書の添付書類として、陳述書、商業登記簿謄本、債権証書が必要です。
債権証書は申立人の破産者に対する債権を証明する書類であり、商業登記簿謄本は破産者の登記情報が記載された書類であり、法務局にて取り寄せることができます(参照:「会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ|法務省」)。
また、債権者破産の申立を通して、債務者が破産するに値することを示すために、債務者に弁済能力がないことと、債務超過(総債務額が総資産を上回る状態)であることを裁判所へ納得させなければなりません。そのためには、債務者の負債と資産について情報を集めることが必要です。
債務者の負債を調べる上で、申立人以外の債権者の債務に関する情報を探すことは難しいでしょう。そのため、債務者が所有する不動産の登記事項証明書に記載されている抵当権の内容から、債務者の負債情報を入手する方が現実的です。
不動産の登記事項証明書をするにあたり、480~600円の手数料がかかりますが、詳しくは「登記事項証明書等の交付請求について|法務省」を参考にしてください。
負債の情報を集める以上に、債務者の資産の情報を集めるのは難しいといわれています。債務者が破産手続きに協力的であれば問題ありませんが、そうでない場合は裁判所へ財産開示手続きを申し立てましょう。
また、財産開示手続きをするためには、確定判決、和解調書、調停調書のどれかの債務名義が必要です(参照:「強制執行を通して費用倒れせずに債権回収する方法」)。
では、最後に債権者破産申立の際に納める裁判所費用について確認していきましょう。
債権者破産の申立費用の中で一番、占める割合が高いのが予納金です。予納金は債務者の負債総額に応じて高額になりますが、以下、予納金に関する取り決めになります。
債務者の負債総額 |
予納金 |
5000万円未満 |
100万円 |
5000万円~1億円未満 |
200万円 |
1億円~5億円未満 |
300万円 |
5億円~10億円未満 |
400万円 |
10億円~50億円未満 |
500万円 |
50億円~100億円未満 |
700万円 |
100億円~250億円未満 |
800万円 |
250億円~500億円未満 |
1000万円 |
500億円~1000億円未満 |
1000万円以上 |
1000億円以上 |
1000万円以上 |
しかしながら、先ほども申した通り、債務者の負債総額を把握するのは難しいです。そのため、実際のところ申立人が把握している負債の範囲で申立することになるので、不動産の登記事項証明書から不動産に設定された担保額と、自身の債権額を基準に、予納金を納めましょう。
裁判所に寄りますが、審尋を通して債務者から負債について聴取が行われますが、その際に追加で予納金を要請されるかもしれません。
また、債務者の資産は全て配当のために換金されますが、申立債権者が納めた予納金は債権者達への配当より、優先的に弁済されます。
予納金以外の債権者破産の申立費用として、収入印紙代と郵券切手代がありますが、予納金含め、債権者破産の申立費用は債務者が行う破産手続きと比べ高額です。
債務者が行う破産手続きにおいて収入印紙代が1000円、郵券切手代が4100円なのに対し、債権者破産申立においては、収入印紙代が20000円と、郵券切手代が14100円となっております。
以上が、債権者破産の申立ての流れになります。現在相手に支払える資金がない場合、分割支払いをしてもらう、保証人などに支払ってもらうなど、他の回収方法もあるかもしれません。無料相談などもありますので、まずはお気軽にご相談ください。
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