この記事をご覧になっている人は、もう弁護士へ強制退去の件で相談する一歩手前の段階まできているのではないでしょうか?
だとすれば、家賃滞納、騒音など、借家人の悪質な行為に相当頭を抱えてこられたのではないかと思います。
そういった借家人とはまずは任意交渉から行うべきであり、あくまでも強制退去は最終手段ではありますが、今回の記事では弁護士に強制退去を依頼したメリットやデメリットにはどのようなものがあるのか?また、その際にどのくらいの費用がかかるのかなどをまとめていきましょう。
強制退去・家賃回収に成功しています!
【成功事例1】
貸していた住居用賃貸物件で家賃滞納があったため、調査したところ、契約者と別の人が住居していました。仮処分により、住居者の素性が判明したので、住居者・契約者へ訴訟。それにより、住居者を退去させ滞納家賃を全額回収に成功しました。
【成功事例2】
マンションの賃料と原状回復費を滞納したまま退去されてしまいました。裁判を行ったところ、相手は出廷しなかったため、勝訴判決。
相手の電話番号から、相手の預金債権を特定。差し押さえしたところ、判決以上の預金があったため全額回収に成功。
迷惑な借家人の強制退去を弁護士に依頼することで、まずはどのようなメリットやデメリットがあるのかを以下にまとめていきましょう。
メリット
借家人の迷惑行為が家賃滞納の場合は滞納に対する抑止力になる
家賃を支払うという行為に対する優先順位が下がるからこそ、ついつい滞納が起きてしまいます。しかし、一度専門家が介入すれば問題解決後も家賃を優先的に支払うようになることが期待できます。
揉めずに解決できる
当事者同士の話し合いでは感情的になりがちなため、埒が明かずに全く進展を見せないというケースが多くあるのが不動産におけるオーナーと借家人のトラブルです。弁護士が間に入ることにより、冷静且つ平和的に交渉が進んでいきます。
早期解決出来る
専門家には法的知識と経験があるので、書類作成から交渉までを速やかに行うことが出来ます。
また、家賃滞納の場合は例え家賃の回収が不能でも、速やかに明け渡しの裁判に移行し、滞納による損害を最小限に食い止めることが出来ます。
デメリット
債務者との間柄が険悪になる
「裁判も辞さない」という意思が相手に伝わることで、以降相手と良好な関係を維持することが困難になる場合もあります。
借家人の迷惑行為が家賃滞納の場合は相手が破産する可能性がある
弁護士が介入してくることにより、これ以上返済することが困難であると判断され、相手も弁護士を立てて破産を選択してしまうこともあり得ます。
相手が破産を選択してしまうと、取り立てを行うことが出来なくなります。
費用がかかる
弁護士に依頼して債権回収をする場合は、着手金と成功報酬が発生します。この費用に関しては次項で詳細を説明していきましょう。
弁護士に依頼することで効率よく強制退去を進めることが出来ます。その際にかかる費用に関して以下にまとめていきたいと思います。
相談料
まずは正式な依頼の前に弁護士へ相談を行うことになります。この相談料は、有料であれば30分~1時間で5,000円程度が相場となります。
しかし今現在、初回相談は無料で行ってくれる事務所が大半ですので、自身と相性の良い弁護士を探す意味でも、何度か無料相談を活用してみるのが得策と言えるでしょう。
着手金
正式な依頼を行い、案件に着手した段階で着手金が発生します。1ヶ月の賃料が20万円以下の場合は着手金の相場は10~40万円程度が相場になります。
この着手金も事務所によって金額にかなり差が出るので、複数の弁護士事務所を比較して検討してみるのが良いでしょう。
報酬金
借家人の滞納家賃分の回収に成功した際には、弁護士に対し報酬金を支払うことになります。
この報酬金の相場は、回収できた金額の約10%程度に設定している弁護士事務所が多数です。
初回の無料相談を活用する以外に、弁護士費用を安く抑える方法について以下にまとめました。
弁護士費用の分割をお願いしてみる
今は多くの弁護士事務所で、分割での支払いや後払いが可能になっています。弁護士費用が安くなるというわけではありませんが、一括で払う負担は軽減されます。
法テラスの建て替え制度を利用する
弁護士費用が工面するのが難しい人が取るべき手段の一つとして、法テラスの民事法律扶助制度の利用があります。
民事法律扶助制度とは、低所得者に向けて設けられた制度であり、制度を介して法テラスから弁護士費用の立て替えをしてもらえます。立て替えた費用分は、強制退去の完了後に、法テラスへ月々5000円ずつ返済していきます。
制度を介して着手金の減額、報酬金の免除なども受けることも可能ですが、低所得者を対象とした制度であるため、ある一定以上の所得水準を超える人は利用することができません。
無料相談できる事務所を利用する
少しでも弁護士費用を抑えたい場合は、無料相談を活用し、弁護士費用がいくらくらいになるのか見積をとってもらうようにしましょう。その結果、信頼でき無理なく支払える事務所にお願いするという方法もあります。
無料相談をより有効的に活用するためにも、相談時は話す順序をあらかじめ決めておいたり、できるだけ証拠や契約書を持っていくようにしましょう。
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実際に弁護士のところに持ちかけられる強制退去に関する相談についてまとめました。
家賃の滞納が2ヶ月間続いています。強制退去の措置を取りたいのですが可能ですか?
【答え】2ヶ月だと強制退去に至らせることは困難であると言えます。少なくても家賃の未納状態が3~4ヶ月は経過しないと、裁判でも執行の許可がなかなか降りません。
家賃滞納から4年が経過しています。家賃には時効があると聞いたのですが、まだ間に合いますか?
【答え】家賃のように毎月定期的に発生するものについては民法169条が適用され、5年で時効によって消滅します。したがって、家賃の回収や強制退去を行うにしても5年以内には行わないといけません。
迷惑な借家人を強制退去させたいので、合鍵で部屋に入って荷物を外に出そうと思いますが、罪に問われますか?
【答え】もしそれを訴えられた場合、住居侵入罪や器物損壊罪となり敗訴することになります。やめましょう。
強制退去の裁判にはどれくらいの時間がかかりますか?
【答え】早ければ3~4ヶ月、遅くても1年程度で解決します。
強制退去の裁判を行うほかに何かいい方法はありませんか?
【答え】任意の交渉(電話、ハガキ、訪問など)を根気よく続けるしかありません。
強制退去させたあとの新たな引っ越し先を見つけてあげるべきですか?
【答え】新しい住まいを探すことを手伝ったり、引っ越し費用を負担してあげたりという人も中にはいます。しかし、本来はそこまで行う義務はありません。
家賃回収・強制退去に成功しています!
【成功事例1】
貸していた住居用賃貸物件で家賃滞納があったため、調査したところ、契約者と別の人が住居していました。仮処分により、住居者の素性が判明したので、住居者・契約者へ訴訟。それにより、住居者を退去させ滞納家賃を全額回収に成功しました。
【成功事例2】
マンションの賃料と原状回復費を滞納したまま退去されてしまいました。裁判を行ったところ、相手は出廷しなかったため、勝訴判決。
相手の電話番号から、相手の預金債権を特定。差し押さえしたところ、判決以上の預金があったため全額回収に成功。
弁護士選びを徹底すればするほど、自身にとって満足のいく結果が得られやすくなると言えるでしょう。以下の4つの選び方を参考にしてみて下さい。
費用・支払い方法が明確か
弁護士費用を口頭で明確にしてくれても、それを書面で確認できなければ、本来味方であるはずの弁護士とももめてしまうという最悪のケースに発展しかねません。依頼者の気持ちを汲み取り、親身になって相談に乗ろうとしている弁護士であれば、契約書などの重要書面はしっかりと作ってくれます。
知識・経験・実績が豊富か
弁護士事務所のホームページを見てみて、賃貸問題の解決が得意かを謳っているかどうかがポイントになります。
強制退去にまつわる実績が多く掲載されていたり、強制退去を行う上での費用が事細かく書かれていたり、強制退去に関連する解説が掲載されていれば、それだけ借家人の問題解決に注力していることの証明になります。
ホームページに事務所の情報や様々なコンテンツが充実しているかも見るポイント
代表者やスタッフの写真や事務所内の写真が載せられている、公式ブログが定期的に更新されている、「お客様の声」「よくある質問」といったコンテンツが充実している、こういったホームページは、悩みを抱えて不安を感じている依頼者に対しとても気が利いていると言えます。
あなたとの相性の良さ
迅速に借家人の問題解決を図る上で、弁護士の手腕は勿論、依頼者との相性も重要になってきます。
真摯な対応で話を聞いてくれるか、また弁護士側から債務に関しての質問を投げかけてきてくれるか、話しやすさや弁護士が持つ雰囲気も、最終的に依頼を行うかどうかのポイントにしましょう。
初回無料相談を活用する
無料相談が行える事務所を、セカンドオピニオンという形で何件もあたり、その中で相性が良く信頼できると思える弁護士を見つけるのが良いでしょう。
過去に問題を起こしていないかどうかをチェック
依頼を受けたにも関わらずに放置した、依頼者に説明なくして高額な費用を支払わせたなど、トラブルを起こした弁護士は弁護士会から懲戒を受けることになります。
懲戒されたことがあるかどうかを調べるには、弁護士会のインターネット検索サービス(弁護士懲戒処分検索センター)を利用してみて下さい。
強制退去の理由が借家人の家賃滞納などの場合、冒頭でも述べたようにまずは弁護士への依頼の前に任意交渉から行うのが鉄則です。
任意交渉とは、手紙や電話などで改善がなければ退去させるという旨を何度も伝えることです。問題なく足を運べる距離であれば訪問も有益な手です。
とにかく『話し合いでの円満解決』を目指し、借家人が支払いのアクションを見せるまでは粘り続ける必要があります。
連帯保証人に対しても同様に催促を行い、それでも改善が見られなければいよいよ弁護士の出番となり、以下のようにして強制退去までを進めていきます。
①配達証明付きの督促状・内容証明郵便の送付
内容証明郵便で、未払い家賃の支払い督促と、支払いがない場合の賃貸契約解除の通知を行いましょう。
この内容証明郵便とは、郵便物の内容文書について、いつ、いかなる内容のものを誰から誰へ宛てて差し出したかということを日本郵便が証明する制度で、裁判では必ず必要な書証類となります。
この時、滞納家賃の支払い、あるいは建物明け渡しの意志が確認できれば、書面にて合意事項をまとめます。
内容証明の書き方
制限文字
内容証明は、文字数が決まっています。下記の文字数に納める必要があります。
【縦書きの場合】1行20字以内、1枚26行以内
【横書きの場合】1行13字以内、1枚40行以内
【2段組】1行26字以内、1枚20行以内
※句読点、括弧などは、1字として扱います。
用紙
用紙の種類や大きさは自由ですが、送る相手が1人の場合は同じものが3通必要です。(相手、郵便局の保管用、自分用)
印鑑
実印でなくても認められますが、文章が2枚以上になるときはその綴目に契印をしなければなりません。
②契約解除
①に記載した請求期間内に滞納家賃の支払いがなければ、賃貸仮契約解除の効力が生じます。
③明け渡し請求訴訟
契約解除、明け渡し請求訴訟の提起を行なうことになります。
裁判では、建物の明け渡しに加え、滞納家賃等の支払いも請求します。(金銭の支払いも請求することで、強制執行の際に、建物の明け渡しに加えて、部屋の中に残っているものを売却して滞納家賃に充てることも可能になるからです。)
被告(借家人、保証人)が裁判所に出頭してきた場合は、話し合いによって和解に至ることもあり、その際には判決と同様の強制力を持つ和解調書が作成されます。この和解内容に従わなかった時は、改めて訴訟を提起することなく強制執行をすることができます。
また、被告が答弁書を出さずに裁判を欠席した場合、必要な証拠書類を提出していれば、裁判官は原告の請求を認めた判決を出してくれることでしょう。
そしてその後も、自主的に建物を明け渡して退去しないときには、建物明け渡しの強制執行をすることになります。
明け渡し請求訴訟に必要なもの
訴状の他に、以下のものが必要になります。
1.不動産登記簿謄本(登記事項証明書)
2.固定資産評価額証明書
3.(原告・被告が法人の場合)代表者事項証明書
4.予納郵便切手 約6,000円
5.収入印紙(訴額に応じた手数料を収入印紙で納付)
6.証拠書類 (最低限必要だと思われるもの)
(1) 建物賃貸借契約書
(2) 内容証明郵便(賃貸借契約解除を通知したもの)
(3) 配達証明書(上記内容証明郵便についての配達証明書)
④強制執行
強制執行とは、法律上の権利、賃金債権、建物明け渡し請求権などを強制的に実現する手続きのことです。
強制執行の際は、強制執行担当の裁判所の職員(執行官)が借家人を退去させることになり、その際は借家人と同居している家族は勿論、家具や動産類を全て運び出して空室の状態にします。運び出した荷物はトラックで倉庫に運んで保管します。
強制執行の費用は自己負担
この回収作業にかかる作業員やトラック代などの費用は、あくまでも自己負担となります。
申立の時に、執行官に対してお金を預けることになりますが、これを予納金と言います。
予納金は執行官の手数料がかかりますが、それらを差し引いたお金は手続き終了後に返金されます。建物明渡しでの予納金は、基本額が物件1つ、相手方1名で65,000円です。物件や相手方が増えるにつれて25,000円が追加されます。
強制退去は文字通り “相手の意に反して強制的に行う手続き” になり法律上厳格な規定があります。
借家人との話し合いによる円満解決が困難の場合は、やはり弁護士に相談の上、強制退去に至らせるにしても細かい指示を仰いだほうが賢明だと言えるでしょう。