家賃滞納者への法的対処|督促状の作成方法と応じない時の法的措置|ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)
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家賃滞納者への法的対処|督促状の作成方法と応じない時の法的措置

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たか法律事務所
高橋 孝彰 弁護士
監修記事
家賃滞納者への法的対処|督促状の作成方法と応じない時の法的措置

家賃を滞納した借主に対して賃料の支払い、契約解除を催促するにあたり督促状の作り方は把握しておくべきですが、不動産経営に慣れていない賃貸人にとってどのような手順で対処すればいいのかわらかないでしょう。

そこで今回の記事では、家賃滞納者に対する督促の方法を順を追って、督促状の作成、契約解除するために必要な催告書の作成方法や法的手段の取り方についてまとめました。

家賃・管理費を滞納されていてお困りの方へ

家賃・管理費の回収は長引けば長引くほど、大きな損になります。

あまりにも悪質な滞納の場合は強制退去などを検討しなければなりません。

 

できるだけ早く回収するには、弁護士に相談することがベストです。

弁護士に相談・依頼することで以下のような事も望めます。

 

  • 滞納分を回収するのにベストな方法を教えてもらえる
  • 滞納者と交渉してもらえる
  • 法的手続きをすべて任せることができる など

 

弁護士から督促状を作成・発送してもらうことで裁判になる前に、支払いに応じてくれる可能性もあります。

債務者が破産・再生手続きをおこなう前に、弁護士にご相談ください。

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家賃滞納者へ督促状の作成方法とその手順

まず、家賃滞納者に対する督促行為の一連流れについて確認していきましょう。

電話による督促|滞納から1週間以内

家賃滞納から1週間以内の滞納者に対しては、まずは電話で対処してください。電話は時間も場所も選ばずにできるので、手間のかからない督促行為になります。

相手側が電話に応じた場合は、賃料が未払いである旨を伝えて、もし電話に応じない場合は、留守電にその旨を伝えた上で、直接、訪問してみてください。

督促行為における禁止事項

督促行為をする上で

  • 連帯保証人以外の親族への督促行為

  • 勤務先・学校への督促行為

  • 借主の部屋の鍵交換、家具道具の搬出や処分

  • ポストの張り紙など借主の滞納の事実が周囲の人間に知らせる行為

  • 正当な代理人以外の第三者へ督促行為をさせる

以上のことは絶対に行わないでください。損害賠償で訴えられる可能性がある上に、いざ裁判で賃料の回収、立ち退きを訴える際に、こちら側が不利になります。

督促状の通知

もし家賃の滞納が1週間以上、続くのであれば督促状を作成してください。

滞納から1週間以上の借主への督促状の内容と文例

以下、滞納、一週間以上の借主への督促状の内容の文例の雛形になります。

平成○年○月○日

アシロ 太郎様

〒○○○-○○○
東京都 新宿区  ○丁目 ○番○号
電話番号:○○○-○○○-○○○○
あしろ 治郎

賃料についてのご連絡

いつも○○○号室をご利用いただいきありがとうございます。
○○マンション○○○号室の賃料の件ですが、下記の通り滞納となっており現在、入金の確認ができておりません。
恐縮ですが、下記の振込先へ入金していただいた上で、上記記載の電話番号までご連絡ください。
なお、本状との行き違いでお振込み済みの場合はご容赦ください。ご不明な点がありましたらご連絡ください。よろしくお願いいたします。
 

1.物件名:○○○マンション ○○○号室
2.未納賃料:○○万円(1ヶ月分滞納)
3.振込先:
○○銀行○○支店
普通口座:
口座名義:

以上

特徴としては滞納1週間目であるため単なる支払忘れの可能性もあるので、あくまで物柔らかな内容で支払期日などは設けず、支払いを思い出させるつもりで督促状を仕上げてください。

滞納から半月以上の借主への督促状の内容と文例

上記の通知を送ったのに関わらず、滞納から半月以上が経過した場合は、意図的に支払いを怠っている可能性が高いです。

そのため、タイトルも「賃料についてのご連絡」から「賃料の支払いについて」とよりダイレクトに支払を促すものにして、文章の内容も少しきつくしましょう。具体的な内容と文例の雛形は以下の文章を参考にしてください。

平成○年○月○日

アシロ 太郎様

〒○○○-○○○
東京都 新宿区 ○丁目 ○番○号
電話番号:○○○-○○○-○○○○
あしろ 治郎

賃料に支払いについて

以前にご連絡いただいたとおり、○○○マンションの○○○号室の賃料が下記の通り滞納となっておりまして、現在も入金の確認がとれていない状態です。
下記の賃料につきましては翌月分の支払いも当月末までに支払うことになっております。
○月○日までに下記の振込先へ入金していただけるようお願いいたします。
○月○日までに入金が確認できなければ、連帯保証人へ連絡させていただきますので、あらかじめご承知おきください。
 

1.物件名:○○○マンション ○○○号室
2.未納賃料:○○万円(1ヶ月分滞納)
3.振込先:
○○銀行○○支店
普通口座:
口座名義

以上

より家賃滞納者へプレッシャーを与える意味でも連帯保証人へ連絡を入れる旨を記載しておくことがポイントです。

連帯保証人へ賃料請求の督促状を送る|家賃滞納から1~2ヶ月

家賃滞納から1ヶ月以上が経過した場合、今度は連帯保証人へも督促状を送りますが、滞納者と連帯保証人の双方に督促状を郵送してください。

家賃滞納者への督促状の文例と内容

以下の雛形で記載したように、より一層、滞納者へプレッシャーのかかる内容にしてください。

平成○年○月○日

アシロ 太郎様

〒○○○-○○○
東京都 新宿区 ○丁目 ○番○号
電話番号:○○○-○○○-○○○○
あしろ 治郎

賃料支払い請求書

貴殿は、平成○年○月○日に締結した賃貸借契約により○○○マンション○○○号室を賃借しておりますが、現在、下記の賃料を滞納しており現在も入金の確認がとれていませんが、平成○年○月○日までに下記の口座まで振り込みください。
同日までに振込が確認できない場合は、賃料のみならずそれに伴い遅延損害金を合わせて請求させていただきなお、本賃貸借契約の解除も検討させていただきます。
なお、本請求と同時に連帯保証人様へも請求させていだだきます。
 

1.物件名:○○○マンション ○○○号室
2.未納賃料:
平成○年○月分賃料○○万円
平成○年○月分賃料○○万円
3.振込先:
○○銀行○○支店
普通口座:
口座名義

以上

連帯保証人への督促状の文例と内容

連帯保証人への督促状の文例と内容は以下の通りになりますが、送達前に連帯保証人へ督促の連絡を入れておきましょう。

平成○年○月○日

asiro 三郎様

〒○○○-○○○
東京都 新宿区 ○丁目 ○番○号
電話番号:○○○-○○○-○○○○
あしろ 治郎

賃料支払い請求書

先日、ご連絡させていただいた通り、当方とアシロ太郎様との間の○○○マンション○○○号室の賃貸借契約において貴殿が連帯保証させている下記の賃料が滞納されております。幾つかの督促の末、アシロ太郎様から支払いをしていただけなかったため、大変恐縮ですが、連帯保証人である貴殿がアシロ太郎様に代わり、下記の滞納分の賃料の支払いを平成○年○月○日までに下記口座まで振込していただけるようお願い致します。
 

1.物件名:○○○マンション ○○○号室
2.未納賃料:
平成○年○月分賃料○○万円
平成○年○月分賃料○○万円
3.振込先:
○○銀行○○支店
普通口座:
口座名義

以上

賃料の支払い・契約解除の催告書を作成|家賃滞納から3ヶ月以降

家賃滞納から3ヶ月が経過しても賃料の支払いがない場合は、今度は賃料の支払いだけではなく契約解除を促す催告書を作成しましょう。

催告書の内容は、より直接的な内容になりますが、催告書で指定した振込日に入金いただけない場合は法的手段に訴える旨を記載してください。催告書の作成方法は、「①催告書の作成」を参考にしてください。

内容証明郵便を介して催告書を通知

催告書の作成が完了したら、今度は内容証明郵便を介して催告書を通知してください。内容証明郵便とは通知した事実を証明するための郵便方法であり、後々、裁判まで発展した際、証拠書類として催告書を提出することができるのです。

内容証明郵便の利用要件、利用方法については以下の記事を参考にしてください。
 
参照:「家賃滞納問題を解決するために必要な内容証明の知識

交渉

もしは催告書を通知したことで借主と連絡が繋がった場合は、今後の賃料の返済方法、物権の明け渡しに関する話合いを行います。

交渉を成立させるポイント

話合いを成立させるポイントは相手側の状況を加味した上で、こちら側がある程度の譲歩も検討することです。「滞納分の分割払い」、「退去日を調整する」などを検討すると、交渉が成立しやすくなります。

家賃滞納者が督促状に応じない場合の法的処置

もし、家賃滞納者が督促状、催告書に応じなかった場合は法定手段に出るしかありません。

明け渡し訴訟の申立

まずは、明け渡し訴訟の申立を行いますが、この明け渡し訴訟では物件の明け渡しだけでなく滞納した家賃の請求をすることができます。

申立書類

明け渡し訴訟を申立てるためには、

  • 訴状

  • 賃貸借契約書

  • 契約解除の通知書

  • 不動産登記簿謄本

  • 固定資産評価額証明書

  • 代表者事項証明書(原告・被告が法人の場合)

などを提出することが一般的です。また同時に訴状に張り付ける収入印紙、予納郵券切手(約6000円)が同時に必要になります。収入印紙に関しては、不動産の時価評価額によって異なるため一概には言えません。

評価額400万円の不動産に対する印紙代は15000円と言われていますが、詳しくは専門家へ相談した方が良いでしょう。

裁判

申立から裁判が開始されるまでには2ヶ月~3ヶ月程度の期間がかかります。もし被告が何も争ってこなければ、訴状で記載した請求通りの判決が下さる可能性が高いです。

他方、被告が原告の言い分を争ってきた場合、1回の期日では終わりません。その場合、1ヶ月~2ヶ月に1回程度で期日を開き、両者の言い分を裁判官が判断し、最終的に判決となります。

執行文付与の申立

訴訟手続きが完了したからといって、判決通りに家賃滞納者が賃料の返済、立ち退きをするとは限りません。そのため確実に立ち退きをしてもらうためには強制執行の申立を行いますが、その前に訴訟で得た判決に執行力をつけることが必要です。

そのため強制執行の申立をする前に、執行文付与の申立を行います(参照:「債務名義の執行文付与の申し立て」)。

送達証明書の取得

また、強制執行の申立をするためには、家賃滞納者へ判決の送達が完了していることが前提です。そのため、強制執行の申立時には判決が送達されたことを示す、送達証明書が必要になりますが、大体、判決から1~2週間で判決が送達されます。

そのため判決から2週間を目安に送達証明書を申請するのがいいでしょう(参照:「債務名義の送達証明申請」)。

強制執行の申立

強制執行の申立には、申立書と共に、送達証明書、執行文の付与された判決の正本、資格証明書(大家・借主のどちらか一方が法人の場合)、物権の住所が示された地図の提出が必要です。

また、申立費用として予納金65000円を納めなければなりませんが、請求相手、対象の物件が増えるごとに25000円ずつ加算されます。

強制執行

申立から強制執行までの流れは、

申立

↓(数日)

執行官との打ち合せ:今後の方針

↓(1~2週間)

明け渡しの催告:部屋の下見、強制執行日の催告

↓(1ヶ月)

強制執行

の通りになります(参照:「家賃滞納者へ強制執行する手順とその流れ」)。

明け渡しまでの流れ

実際の明け渡しは、執行官の監修の元、業者によって滞納者の部屋にある所有品が保管用の倉庫へ運び出しが行われます。

運送が終わり次第、明け渡しの手続きは終了です。

また、明け渡しの際に運び出す滞納者の所有物の中から換金価値のある財産はその場で差し押さえましょう。明け渡し費用は、

  • 解錠費用:2万円

  • 運搬費用:1Rの場合で約20万円/一般家庭の場合で約30万~50万円

  • 廃棄処分費用:約5~10万円

が大まかな目安になりますが、最終的な費用は部屋の荷物の量に大きく左右されることとなります。

明け渡し費用は、最終的に、申立時の予納金から差し引いた金額を納めることになります。

賃料回収だけを目的とした場合の法的手段

家賃滞納者に対して退去までは望まないけど賃料だけは回収したい方に、簡易的でかつ費用が低額な法的手段として支払督促、少額訴訟をオススメします。

支払督促|裁判所が代わりに督促状を郵送する法的手段

支払督促とは、裁判所が申立人に代わり家賃の滞納者へ支払いの督促状を送達してくれる法的手段です。

手続きを介して2回の督促状が滞納者へ郵送されますが、督促状には督促異議申立書が同封されておりますが、家賃滞納者が督促異議を申立てた場合、訴訟へ移行しなければなりません。

2度の督促状の送達に対して、2週間以内に督促異議の申立が行われなかった場合、裁判所から仮執行宣言付支払督促が発行されます。

仮執行宣言付支払督促とは判決と同様に強制執行の申立をするために必要な文書になりますが、執行文付与の申立をすることなく強制執行の申立をすることが可能です。

少額訴訟|60万円以下の賃料回収するための訴訟手続き

少額訴訟とは60万円以下の賃料を請求する目的の訴訟手続きになりますが、平均して1.5ヶ月の期間で訴訟手続きを終えることができます。

一般の民事訴訟と同じく勝訴した場合、同様の効果を持った判決、仮執行宣言付判決を取得することができるので60万円以下の金銭を請求したい方にはオススメの法的手段です。

まとめ

家賃滞納者に対して督促行為や督促状の作成方法を覚えておくべきでしょう。これから家賃滞納者へ督促状を作成する方が、今回の記事を参考にしていただけたら幸いです。

家賃・管理費を滞納されていてお困りの方へ

家賃・管理費の回収は長引けば長引くほど、大きな損になります。

あまりにも悪質な滞納の場合は強制退去などを検討しなければなりません。

 

できるだけ早く回収するには、弁護士に相談することがベストです。

弁護士に相談・依頼することで以下のような事も望めます。

 

  • 滞納分を回収するのにベストな方法を教えてもらえる
  • 滞納者と交渉してもらえる
  • 法的手続きをすべて任せることができる など

 

弁護士から督促状を作成・発送してもらうことで裁判になる前に、支払いに応じてくれる可能性もあります。

債務者が破産・再生手続きをおこなう前に、弁護士にご相談ください。

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この記事の監修者
たか法律事務所
高橋 孝彰 (第一東京弁護士会)
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本記事はベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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