1. 立ち退き問題を裁判で解決するために必要な知識まとめ

立ち退き問題を裁判で解決するために必要な知識まとめ

キーワードからコラムを探す
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Pixta_45958745_s

借家人が任意で建物を退去しない場合、裁判手続の利用が不可避な場合もあります。しかし、裁判を行う場合には、それなりに費用がかかります。裁判を検討している方は「どのような費用がかかるのか」についても知っておいた方が良いでしょう。

 

今回の記事では、建物退去について裁判を行うに当たって知っておくべき手続の流れや費用、弁護士に依頼するメリットなどについて解説します。

 

立ち退きを求めて裁判を検討するべきケース

建物の貸主・借主の間には賃貸借契約が存在します。したがって、建物退去も同契約に対する規律に基づいて求めていくことになります。場合によっては当該規律の下で退去を求められないケースもありますので注意しましょう。

 

一般的には、賃貸借契約が終了する原因として期間満了終了契約解除の2パターンがあります。

前者については「借地借家法の適用がある場合とない場合」で規律の内容が違います。同法の適用がある場合には、期間満了のみを理由に退去を求めるのは通常は困難です。

 

後者は借り主に契約違反がある場合の終了原因であり、典型例なものとしては家賃滞納です。ただ、こちらも単に1~2ヶ月程度の家賃滞納では契約解除までは認めないことが多いです。3ヶ月を超えるような家賃滞納がある場合は、契約解除まで認められる可能性が相当程度あります。

 

裁判まで検討するべきケースとしては、貸主側に上記規律の下で退去を求める権利があるといえそうな場合で、かつ相手が任意退去に応じない場合といえるでしょう。

立ち退きを求めて裁判する際の流れ

家主としては「すぐに立ち退きをしてほしい」と考えがちですが、訴訟手続には段階があります。家賃滞納事例を例とした場合は、以下のようなステップを踏むのが一般的です。

①滞納家賃について催告しつつ、契約解除を通知する

借り主に対し、家賃滞納額を知らせて任意の支払いを求めます。そして、支払いがない場合は「契約を解除する旨」を通告しましょう。なお、借り主に連帯保証人や保証会社がいる場合、同時に、これら保証人から回収できないか検討しましょう。保証人から回収できる場合は、家賃滞納を理由として契約を解除することはできません。

 

これらの通知は、書面Emailなど後々証拠に残る形で行いましょう。内容証明郵便で行えばより確実かもしれません。

②明け渡し請求訴訟

上記のとおり、催告しても任意の支払いがない場合は、債務不履行解除による契約終了を理由として建物の明渡しを求める訴訟を起こします。なお裁判を提起する場合には、以下のような書類が必要となります。

 

・訴状・証拠

・不動産登記簿謄本(登記事項証明書)

・固定資産評価額証明書

・(原告・被告が法人の場合)代表者事項証明書

・予納郵便切手 約6,000円

・収入印紙(訴額に応じた手数料を収入印紙で納付)

 

訴訟手続では、原告・被告がそれぞれの請求や抗弁を裏付ける主張・立証を積み重ねていきます。この審理の中で、裁判所の勧告により和解協議が行われることもあります。和解が成立すればその時点で手続は終了しますが、成立しない場合は裁判所の判決により明け渡しの要否が判断されます。

③強制執行

裁判手続で貸主による明渡し請求が認容された場合、または借主が和解条項で定めた期限内に明け渡しを完了しない場合、強制執行手続により明け渡しの断行を求める事が可能です(なお、滞納家賃の支払を含めて債務名義を取得していれば、当該家賃回収のための差押えを同時に申し立てることもできます)。

 

強制執行の手続きには、以下のような書類が必要となります。「債務名義」とは判決正本和解調書正本を意味します。

 

・申立書

・送達証明書

・執行力のある債務名義正本

・資格証明書(大家・借主のどちらかが法人の場合)

立ち退きを求めて裁判する際の費用

上記のような訴訟手続を行う場合に生じる費用相場を見ていきましょう。

明け渡し請求訴訟を行う場合

訴訟提起に当たり、建物価額に応じた印紙が必要です(固定資産税評価額を基準に算定するのが通常です。)。併せて郵券として6000円程度がかかります(裁判所によって異なります)。

強制執行を行う場合

強制執行を行う場合、一定の金額を予納する必要があります。予納額は事案に応じて異なりますので、執行裁判所の執行官に確認してください。

 

明渡し断行の処分を行う場合、鍵の解錠、家具の搬出、借家人の排除等に逐一費用が生じます。この費用は予納金から捻出されますが、不足する場合は追加の予納を求められます。最終的にかかった執行費用は相手に請求することも可能です。

弁護士に依頼する場合

訴訟や強制執行などの手続きについては、すべて弁護士に一任することも可能です。自分で行うよりも費用はかかりますが、スピーディーに確実な成果が期待できます。

 

相談料

弁護士に相談する際に必要な費用です。相場は1時間あたり5,000円〜1万円ですが、弁護士によっては無料で相談に応じてもらえる場合もあります。

 

着手金

着手金とは、正式に弁護士に依頼した時点で発生する費用です。金額は事案に応じてケース・バイ・ケースですが、建物退去の請求をする場合30~40万円は見た方が良いでしょう。

 

報酬金

報酬金とは事件処理が完了した時点で支払う費用です。こちらもケースバイケースですが、最終的に得られた金額の10~20%程度と考えて良いでしょう。

立ち退きを求めて裁判する際に弁護士に依頼するメリット

家賃滞納者を立ち退かせるのは実際には非常に大変です。そのため、問題がこじれそうであれば早めに弁護士に依頼するべきです。弁護士への依頼には次のようなメリットがあります。

依頼内容に合った解決方法を選択できる

弁護士に相談することで、本人では見えていなかったアプローチの仕方を提示してもらえることもあります。弁護士から的確かつ最善の解決法をアドバイスしてもらえれば、解決も早いかもしれません。

ストレスを軽減できる

交渉にしろ、法的手続にしろ、素人が独力で行うのは大変な労力です。必要書類の作成、裁判への出廷など負担は大きいでしょう。弁護士に任せてしまえば、このような煩雑な処理を一任できるので、時間や手間、精神的なストレスなどを減らすことができます。

相手にプレッシャーとなる

本人が独力で交渉していても解決しなかった問題が、弁護士名義で連絡したところ解決したという場合もあります。弁護士が動いた事実は相手に相当程度プレッシャーとなるからです。そのため、弁護士に依頼することで意外とスムーズに問題が解決するという場合もなくはないです。

まとめ

家賃滞納事例を例として、建物退去を求める場合の流れや費用について簡単に説明しました。同様の事例でお悩みの方の参考となれば幸いです。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

債権回収でお困りなら弁護士へ無料相談がおすすめ


債権回収では、相手の出方や債権額によってはあまり効果が期待できない場合もあり、自分だけで債権回収を行なおうとしても適切な方法を選択することは難しいでしょう。

そもそも、今の状況でどのような方法を取ればいいのかを提案してくれる弁護士は、相談だけでも力強い味方となってくれます。

「債権回収弁護士ナビ」では、債権回収を得意とする弁護士に直接ご相談ができ、相談料無料、初回の面談相談無料、全国対応で相談を受け付けいる事務所も多くいますので、法人・個人問わず、お金のことで悩み続けているなら、一度債権回収が得意な弁護士にご相談ください。

Prevent_banner
編集部

本記事は債権回収弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債権回収弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。


家賃滞納・明渡・立退きコラム一覧へ戻る