家賃滞納を保証人へ請求する際に知っておくべき知識|ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)
累計相談数
55,700
件超
累計サイト訪問数
913
万人超
※2024年03月時点
無料法律相談Q&A
家賃滞納・明渡・立退き
更新日:

家賃滞納を保証人へ請求する際に知っておくべき知識

キーワードからコラムを探す
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 弁護士
監修記事
家賃滞納を保証人へ請求する際に知っておくべき知識

借家人から家賃を支払ってもらえず、保証人へ滞納分を請求する場合、相手が連帯保証人であれば請求の基本的な流れは借家人の場合とほぼ変わりはありません。ただし相手が保証人の場合には一定の考慮が必要です。

今回の記事では、滞納家賃を(連帯)保証人に請求する場合のポイントなどについて解説します。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ債権回収で
家賃・地代に強い弁護士を探す

保証人の責任

民法446条1項では「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。」とされています。この意味は、保証人は借家人の債務を自ら履行する責任があるということです。

なお、保証人の責任の範囲は広く、民法447条1項は「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」としています。

したがって、例えば借家人の保証人は、借家人が賃料を支払わない場合はもちろん、借家人が賃貸借契約終了後も借家を明け渡さない場合の損害賠償義務についても自ら負担する必要があります。

もっとも、保証人(連帯保証人ではありません)には、債権者からの請求に対して次の2つの抗弁権が認められています。

催告の抗弁権

保証人は家賃の支払請求をされても、まず借家人に請求すべきことを貸主に求めることが出来ます民法452条本文)。これを「催告の抗弁権」といい、保証債務の補充性から認められている権利です。

例えば、貸主がA、借家人がB、保証人がCだとすると、AがCに対して家賃支払請求を行っても、Cは「まずはBさんに支払請求を行って下さい」と反論を行うことが出来ます。

ただし、借家人が破産手続開始の決定を受けたときや、その行方が知れないときなど、そもそも催告自体が不可能な場合は当該抗弁は認められません。

検索の抗弁権

保証人は、貸主からの請求に対して「借家人に資力があり、かつ執行が容易であること」を証明して、まず借家人の財産に執行するよう求めることができます民法453条)。これを「検索の抗弁権」といい、これも保証債務の補充性から認められている権利です。

例えば、上記の例でいえば、AがCに家賃支払請求を行っても、Cが「Bに支払能力があり、強制執行が容易であること」と証明できれば、Cは「まずはBさんの財産に強制執行してください」と主張して支払いを拒むことができます。

なお、保証人がこれら抗弁権を行使した場合、貸主が借家人への対応を怠って回収ができなくなった際は、その限りで保証人は支払義務を免れることになります(例えば、滞納家賃が150万円だったとして、Cが上記の抗弁権を行使した場合、AがすぐにBへ支払請求を行っていれば満額を回収できたのに、それを怠って時間が経ってしまったために100万円しか回収できなかったとしても、残りの50万円をCに請求することは出来なくなります)。実務的にはあまり利用されていない権利ではありますが、一応、貸主側は気をつけなければなりません。

他方、連帯保証人の場合は、上記の2つの抗弁権は認められていません民法454条)。連帯保証人は借家人と同列に扱われるため、借家人が家賃を滞納したときは、直ちに連帯保証人に請求することができます。

借家人以外の者に滞納家賃を請求する際は、「その者が保証人なのか連帯保証人なのか」事前に確認しておくべきでしょう。

滞納家賃を保証人に請求する場合の方法

滞納家賃を(連帯)保証人に請求する場合、以下のような方法があり得ます。

協議・交渉

保証人に対し、電話・Eメール・書面等で、事情を説明して任意の支払いを求める方法です。

もし法的手続まで視野にいれるのであれば、内容証明郵便で書面を送付することも検討に値します(内容証明が来たことによる心理的圧迫から任意の支払いをしてくれるかもしれません)。

書面での請求の一例として、例文を載せておきます。

 

 

令和○年○月○日

asiro 三郎様

〒○○○-○○○
東京都 新宿区 ○丁目 ○番○号
電話番号:○○○-○○○-○○○○
あしろ 治郎

 

賃料支払い請求書

当方とアシロ太郎様との間の○○○マンション○○○号室の賃貸借契約において貴殿が連帯保証させている下記の賃料が滞納されております。

 

幾つかの督促の末、アシロ太郎様から支払いをしていただけなかったため、大変恐縮ですが、連帯保証人である貴殿がアシロ太郎様に代わり、下記の滞納分の賃料の支払いを令和○年○月○日までに下記口座まで振込していただけるようお願い致します。
 

1.物件名:○○○マンション ○○○号室
2.未納賃料:
令和○年○月分賃料○○万円
令和○年○月分賃料○○万円
3.振込先:
○○銀行○○支店
普通口座:
口座名義

以上

 

訴訟などの法的手続

相手が任意の協議・交渉に応じなかったり、支払いをしないような場合は、訴訟などの法的手続きを検討することになります。これら手続きは本人のみでも行うことができますが、やはり餅は餅屋ということで弁護士への相談も検討しましょう。訴訟手続きはある程度の知識と経験が必要ですので、弁護士のサポートを受けることを強く推奨します。

訴訟手続では、和解又は判決により借家人や(連帯)保証人に家賃支払義務が確定的に認められれば、両名が任意で支払いをするかもしれません。もし、それでも支払いをしない場合は、このような和解や判決の内容を「債務名義」として強制執行手続を申し立て、相手の財産を差し押さえるなどして強制的な回収を図ることも可能となります。

家賃滞納を保証人へ請求する前に知っておきたい3つのポイント

(連帯)保証人に家賃を請求するに当たって、気をつけなければならないポイントがいくつかあります。以下の3点には注意が必要です。

強引な請求は避ける

相手に対する連絡は、当然、常識の範囲内で行うべきです。

例えば、以下のような督促行為は常識を欠くと判断される場合もあります。悪質な場合は違法な権利侵害行為として損害賠償の対象となり得ますし、最悪、犯罪となる可能性もあります。

家賃債務には時効がある

家賃債務にも消滅時効があり、法律で定められている期間内に権利を行使しなければ権利は消滅します。具体的には、家賃債務の時効期間は5年です民法169条)。時効の起算点(いつから数えて5年か)は、「賃貸借契約書で定められている支払日の翌日」であるのが通常です。

例えば、賃貸借契約書に「当月分を翌月末日までに支払う」とある場合、令和元年6月分家賃の時効起算日は令和元年8月1日であり令和6年7月31日の経過で時効が完成します。

もっとも、時効は所定の手続によりリセットすることができます。具体的には以下の事由があれば、その事由が終了したときから新たに時効が進行します(民法157条)。これを時効の中断といい、以下事由を「中断事由」といいます。

・裁判上の請求(147条1号149条

・差押え・仮差押え又は仮処分(147条2号154条155条

・賃借人が家賃を支払うと承認すること(147条3号156条

早期解決のためには弁護士への相談がおすすめ

借家人やその(連帯)保証人との賃料トラブルを早期に解決したいならば、弁護士へ相談することをおすすめいたします。

弁護士は、高度な知識と豊富な経験を有し、上記のようなトラブルが起きても、迅速かつ適切に解決へと導きます。また訴訟に発展した場合でも、代理人として引き続き事件を担当してくれるので、改めて専門家に依頼する手間が省けます。

また内容証明の作成代行を実施している弁護士も多く、弁護士名義での作成も可能です。弁護士名義で内容証明郵便を送ったところ、トラブルが早期解決したということもあるようです。

まとめ

滞納家賃を保証人に請求する際のポイントを説明しました。

滞納分が少額のうちに(連帯)保証人に働きかけることで、家賃を全額回収する可能性も高まるため、なるべく早期の対応を心がけましょう。その際は、弁護士のサポートを得ることで早期解決が見込めます。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ債権回収で
家賃・地代に強い弁護士を探す
東京
大阪
愛知
福岡
京都
神奈川
Office info 202403181715 94691 w220 トライアンフ法律事務所

占いサイト出会い系投資詐欺】【相談料着手金0円】少しでもおかしいと感じたら、弁護士 鎌田へご相談ください。4,000件以上の解決実績を持つ弁護士が代理人として返金請求します【LINE相談可

事務所詳細を見る
Office info 202004101659 16811 w220 弁護士法人グラディアトル法律事務所

【LINE相談】【初回相談0円】【全国対応】【早朝夜間・土日祝・当日対応】売掛金、賃料、損害賠償請求、家賃・地代、立替金、高額投資詐欺での回収実績が豊富にあります。※50万円未満のご依頼は費用倒れ懸念よりお断りしております

事務所詳細を見る
Office info 202110051559 37421 w220 【企業の方へ:メール相談歓迎】弁護士 新森 圭(東京グリーン法律事務所)

【債権額100万円〜】企業様/ご経営者様の専用窓口◆顧問契約も◎業種問わずご相談ください【初回相談0円】債権の支払いが少しでも滞ったらご連絡を◆フットワーク軽く迅速対応!メールでご面談予約24時間受付中!

事務所詳細を見る
東京都の弁護士一覧はこちら
あらゆる法的トラブルに備える弁護士費用保険
弁護士費用を補償

弁護士へ依頼すると数十万~数百万の費用がかかる場合があります。

ベンナビ弁護士保険は弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険で、月額2,950円で幅広い法的トラブルで利用できます。

  • 離婚
  • 相続
  • 交通事故(自転車事故)
  • 近隣トラブル
  • ネットの誹謗中傷 など
無料で資料ダウンロード
弁護士費用を負担してくれる
弁護士保険で法律トラブルに備える
弁護士保険に関する資料のお届け先
氏名
必須
フリガナ
必須
電話番号
必須
メールアドレス
必須
この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

債権回収でお困りなら弁護士へ無料相談がおすすめ


債権回収では、相手の出方や債権額によってはあまり効果が期待できない場合もあり、自分だけで債権回収を行なおうとしても適切な方法を選択することは難しいでしょう。

そもそも、今の状況でどのような方法を取ればいいのかを提案してくれる弁護士は、相談だけでも力強い味方となってくれます。

「ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)」では、債権回収を得意とする弁護士に直接ご相談ができ、相談料無料、初回の面談相談無料、全国対応で相談を受け付けいる事務所も多くいますので、法人・個人問わず、お金のことで悩み続けているなら、一度債権回収が得意な弁護士にご相談ください。

編集部

本記事はベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

家賃滞納・明渡・立退きに関する新着コラム

家賃滞納・明渡・立退きに関する人気コラム

家賃滞納・明渡・立退きの関連コラム

家賃滞納・明渡・立退きコラム一覧へ戻る
弁護士の方はこちら