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債権回収における連帯保証人の有効性と連帯保証人の取得方法

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債権回収における連帯保証人の有効性と連帯保証人の取得方法

債権の担保として連帯保証人を設ける債権者は珍しくありません。連帯保証人とは、主たる債務者と同等(連帯して)に債務の弁済の責任を背負う保証人のことを指します。

つまりは連帯保証人を設けるということは債務者の破産、債務不履行に備えた債権の担保(人的担保)になりますが、実際のところどのようにして連帯保証人を取得するのでしょうか。

また、債務者から債権の回収が難しいことが判明した場合、どのようにして連帯保証人から債権回収すればいいのでしょうか。今回の記事では、連帯保証人の取得方法から連帯保証人から債権回収方法についてまとめてみました。

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連帯保証人を取得するメリットと方法

では、債務者と契約する際に、どのようにして連帯保証人を設ければいいのでしょうか。

連帯保証人を取得するメリットとは?

債務者(取引先)との契約において、将来的に債務者からきちんと弁済が行われるのか確信が持てない場合、債権に何かしらの担保をつけることは取引をする上で珍しくありません。

債権の保全

冒頭でも説明した通り、債権者は、債務者と同様に連帯保証人から債権を弁済してもらう権利があり、連帯保証人を設けることで将来的に債権が回収できないリスクが軽減されます。

つまりは連帯保証人を取得することは担保をとる上で有効であり、債権を保全するという点が大きなメリットです。

他の担保と比べて取得が容易

また、連帯保証人を設ける以外にも債権を保全する上で、譲渡担保、代物弁済予約、抵当権の設置などが有効ですが担保にかける債務者の資産、または債権の登記手続きをしなければなりません。

その点、連帯保証人を設けるためには、連帯保証契約書に署名、捺印をしてもらうだけで済むので手続きの簡易性という点で利用するメリットが大きいでしょう。

費用がかからない

さらに登記手続きをする上で、登記費用がかかりますが、契約書の作成だけで済む連帯保証人の取得には、費用はかかりません。登記手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
 
【参照】
▶「債権譲渡担保で損しない為に事前に確認すべき3つの事項
▶「代物弁済予約を用いて債権を確実に保全する為の知識のまとめ

法律上の「保証人」について知る|連帯保証人・保証人・身元保証人の違い

そのためにはまず、法律上、保証人がどのように扱われているのかを知るべきです。法律上、保証人には、保証人、連帯保証人、身元保証人の3種類が定義されておりますが、債権回収において身元保証人を設けることは一般的ではありません。

そのため保証人と連帯保証人の違いについて、法律的な観点から確かめる必要がありますが、両者の違いを理解するためには「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」以外に「分別の利益」に知ることが必要です。

催告の抗弁権

催告の抗弁権とは、債権者が保証人に対して債権の弁済をするように主張してきた場合、債権者に対して主たる債務者へ先に弁済の催告をするように主張できる保証人の権利です。

検索の抗弁権

また、検索の抗弁権とは債務者に資力があると判明した場合、債権者の弁済に対する請求を拒むことができる保証人の権利になります。

連帯保証人には、上記の二つの権利がありませんが、単なる保証人を設けるより連帯保証人を設けた方が、債権者にとって債権回収が容易になることがわかります。

分別の利益

分別の利益とは、複数の保証人が存在する場合、保証する債務を人数分、均等に分けるというものになります。例えば、900万円の貸付金債権に対して3人の保証人を設けた場合、一人につき900万円÷3=300万円の債務を保証しなければなりません。

連帯保証人は分別の利益がないのに対して、保証人には分別の利益があります。つまりは、保証人は主たる債務者に弁済能力がなくなった場合でも、保証人が複数いる場合は、分別された債務以外の債務を弁済する必要がありません。

それとは対照的に、連帯保証人の場合は、保証人の人数に関わらず、債権者から債務の弁済を請求された場合は、満額の債務の弁済をする義務があります。

連帯保証人を引き受けてくれる対象者を知る

そのため保証人よりも連帯保証人を設けられた方が、債権者にとって都合がいいことは確かですが、負担が大きいだけに連帯保証人になる対象は限られてくるでしょう。

債務者会社の代表

そこで連帯保証人を引き受けてくれやすい人を知る必要がありますが、まず法人同士の契約において、債務者は法人であって個人ではありません。

そのため、取引先(債務者)の代表を連帯保証人に置くケースが多く、自社の会社の利益のために代表が連帯保証人になってくれる可能性は高いです。

役員

また、代表と同じく会社を運営する役員であれば、連帯保証人を頼みやすいでしょう。さらに契約に携わる事業に関わっている債務者会社の担当など、事業を成功させたい気持ちが強い人間であれば、連帯保証人を引き受けてくれるかもしれません。

代表の近親者

さらに代表に連帯保証人を頼みたいが、回収するにめぼしい資産がない場合は、代表の家族など身近な人間に連帯保証人になってもらうことをオススメします。この場合、自社の利益を考えて代表自らが身近な人間に連帯保証人になってくれるよう頼みに行くでしょう。

連帯保証人を取得しやすい時期を知る

連帯保証人を設けるためには、承諾が得やすい時期に、連帯保証人を頼むことが適切です。

契約書の作成時

承諾が得やすい時期とは、一般的には債務者と債権に関わる契約を結ぶ時のことを指します。契約の締結をする際であれば、先のことであるため、連帯保証人となって債務の弁済をすることは想像しづらいからです。

契約の前に連帯保証契約書を容易する

そのため、契約をする前にあらかじめ、連帯保証契約書を準備しておくことで、契約時に連帯保証人をスムーズに取得できるようにしましょう。

連帯保証人から債権回収する方法

実際に連帯保証人から債権回収する手順は、一般的な債務者から債権回収するまでの手順と変わりません。そのため、一般的な債権回収の方法についてこの項について紹介していきます。

連帯保証人へ債権回収するタイミング

まず、債務者からの債権回収が困難であるために、連帯保証人へ債権回収することが一般的でありますが、どのタイミングで債権回収すればいいのか見極めるのは難しいでしょう。

債務者の経営が厳しいとわかった段階から、連帯保証人へ債権回収をするケースが多いと思いますが、なるべく早く債権回収に着手するに越したことはありません。

そこで債務不履行が生じた場合、主たる債務者へ電話や催告状の通知などの督促行為を行いますが、この際、債務者と連絡がつかない、または連絡がついたが次回に指定した弁済期日を債務者が守らなかった場合、債権が未回収になる可能性を危惧するべきです。

この段階から連帯保証人への債権回収も行うべきですが、以下で紹介する債権回収方法を、債務者の債権回収と並行して行いましょう。

連帯保証人の保有する財産の確認



債権回収の手続きをするにあたり、連帯保証人から直接、弁済を受けられなかった場合に備えて、強制執行による財産の差し押さえも念頭に入れておくべきです。

強制執行の手続きを含め債権回収の手続きにはある程度の時間と費用(債務者から回収できる)が必要になりますが、そういったコストを無駄にしないためにも、まずは連帯保証人の財産の確認をしましょう。

財産の確認をするにあたって、保証人が不動産を所有しているのであれば、その不動産がすでに別の債権者によって抵当にかけられていないか確認するために登記情報を確認することです。

また保証人の給与債権を対象にしたい場合は、振込先の口座番号を確認する必要があります。このように連帯保証人の所有している資産とそれに関わる情報を抑えておくことが必要です。

仮差し押さえ

連帯保証人の財産の所在がわかっていても、いざ強制執行をする段階になって連帯保証人が処分(売却)してしまったというケースは珍しくありません。

そこで、債務者・連帯保証人が財産の処分や隠してしまったりすることを防止する方法として仮差し押さえが利用されるのが一般的です。

仮差し押さえを利用するにあたり、対象の財産の所在地を管轄する裁判所へ、対象とする財産、被保全債権(連帯保証人に対して保有している債権)が記載された申請書と、その財産の存在、仮差し押さえの必要性が示された証明書を提出します。

申立に必要な費用は、印紙代が3000円、予納郵券代、資格証明書(法人の場合)が1社あたり1000円、不動産全部事項証明書が1社あたり1000円、登録免許税が請求額(債権額)の0.4%です。

予納郵券代に関しては、対象となる財産が債権の場合、3000円、不動産の場合、2000円がかかります(参照:「費用倒れしないための必要な強制執行の事前知識」)。

一般的な交渉

法的手段による債権回収方法を紹介する前に、連帯保証人と直接、交渉ができることを前提とした債権回収方法を紹介していきます。

電話による督促行為

回収を始めるにあたり、最初は電話によって弁済の催促をすることが一般的ですが、連帯保証人本人の携帯番号へかけるのは最後にしましょう。

債務者の近しい人間たちから電話をするのが鉄則であり、あえて周りの人間に電話をすることで本人へ精神的なプレッシャーがかけられるためです。

内容証明郵便による支払いの催促

電話であまり効果が得られない場合は、連帯保証人へ支払いの催告書を郵送することが一般的ですが、その際は内容証明郵便を利用してください。

内容証明郵便は、郵送の事実を証明するための郵便方法であり、法的手段で対応する際に証拠書類として提出することができる上に、連帯保証人へプレッシャーを与える意味でも効果的です。

催告書の作成方法に関しては、「内容証明郵便による催告」を参照にしていただけたらと思います。
 
参照:「債権回収に必要な内容証明の利用方法と知識のまとめ

公正証書を作成する

連帯保証人が催告書、または電話に応じた場合、弁済に関する交渉を行うのが次のステップです。

交渉は、連帯保証人の同意の元に成り立つため、時には相手側が弁済しやすいように、弁済額の減額、返済期間の延長など、こちら側が妥協することも必要になります。

交渉が成立次第、弁済方法に関する契約書を作成した後に、連帯保証人と共に公正役場にて公正証書を作成しましょう。

公正証書とは、公証人の干渉の元に作成される公的な文書(債務名義)であり、公正証書通りに連帯保証人が弁済を行わなかった場合、債権者は強制執行をすることができます(参照:「③公正証書の作成」)。
 
【参照】
▶「債権回収する方法|状況別に合わせた債権回収方法まとめ
▶「債権回収を個人で行うために必要な知識と方法のまとめ

法的手段による債権回収

もし、上記の方法を試みても効果が得られなかった場合は、法的手段による債権回収方法を試してください。

民事調停

法的手段による債権回収方法には、民事調停がありますが、民事調停とは和解を前提に調停委員の仲介の元に連帯保証人と弁済方法に関する話し合いをするための手続きです。

利用するメリットとしては、費用が安いこと、手続きに時間がかからないことですが、反対にデメリットとして連帯保証人から同意が得られなければ和解が成立しない、和解をしても弁済額が減額されることがあるなどがあげられます。

民事調停に関しては、以下の記事を参考にしてください。
 
参照:「債権回収における民事調停の有効性と利用方法のまとめ

支払督促

支払督促とは、申立をした裁判所から連帯保証人へ支払いの督促を代わりにしてもらうための手続きになります。

利用するメリットは、手続きが完了すれば仮執行宣言付支払督促(強制執行に必要な債務名義)を取得できること、費用や時間的コストがかからないことですが、反対にデメリットは連帯保証人から(督促)異議申立をされた場合、訴訟へ移行しなければならない点です。
 
【参照】
▶「支払い督促を介して仮執行宣言付支払督促を取得する方法
▶「支払督促とは|申立方法と手順や弁護士選びに必要な知識まとめ

民事訴訟

民事訴訟は、裁判所から債権の弁済を請求に関する判決を目的とした手続きになります。民事訴訟を利用するメリットは、民事調停と支払督促と比べて回収への確実性が高いことですが反対にデメリットは、手続きに時間と費用がかかることです。

民事訴訟に関しては以下の記事を参考にしてください。
 
参照:「債権回収の民事訴訟を起こす上で抑えておきたい知識まとめ

強制執行

もし、民事調停によって和解に至った、支払督促において仮執行宣言付支払督促を取得した、または訴訟によって判決を取得したのにも関わらず、連帯保証人が弁済に応じない場合は、強制執行手続きによって債権回収をしましょう。

より確実に債権回収したい人へ

本人から返済がない場合、連帯保証人・保証人への債権回収も有効です。連帯保証人や保証人への債権回収は弁護士に依頼することでより安全に実行できます。依頼に不安がある方は弁護士費用やメリットを確認しましょう。

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倒産しそうな債務者から債権を回収するには?

連帯保証人へ債権回収を検討されている方の多くが、債務者の経営状態が悪いなど、債務者から直接、債権回収するのが困難な場合が多いと思います。そこで倒産しそうな債務者から債権回収する方法について最後に確認していきましょう。

納入した商品の引き上げ

もし債務者に対して商品を販売しているのであれば、債務者の経営状態が悪くなった時点で取引を中止にしましょう。

回収できる見込みのない売上金債権を増やさないためであり、また債務者の手元に納入した商品の在庫が残っているのであれば引き上げる方法を考えるべきです。

商品を引き上げるためには、債務者の同意付きの商品引き上げ承諾書が必要になりますが、承諾書の作成テンプレートに関しては、「納入した商品の引き上げ」を参考にしてください。

相殺

債務者に対して、こちら側が債務を抱えていた場合、債務者に対する債権と債務を相殺させるべきでしょう。もし、債務者が破産手続きを完了させた場合、債務者の債務は免除されますが、債務者に対する債務は消滅されないためです。

相殺させるためにも、債権・債務の内容が同種である必要がありますが、相殺は債務者の同意を得ることなしに行えるため一番、手っ取り早い債権回収方法でもあります。

相殺は、相殺をする意思表示をすることで成立しますが、内容証明郵便を介して債務者へ相殺に関する文書を郵送することが一般的でしょう。

代物弁済

代物弁済とは、債務者の資産を譲渡してもらうことで債務の弁済をしてもらうための手続きです。

代物弁済の対象の資産は、商品の引き上げと同様に、自社から納入した商品を対象にすることもできますが、他社から納入した商品の在庫を対象にした方が、高額な債権回収を望めます。代物弁済に関しては、以下の記事を参考にしてください。
 
【参照】
▶「代物弁済の効力を発生させるまでに必要な手順とその注意点
▶「代物弁済予約を用いて債権を確実に保全する為の知識のまとめ

動産売買先特許権による物上代位

経営状態の悪い債務者に対する債権回収の方法として、動産売買先特許権による物上代位を利用することも有効的です。

動産売買特許権による物上代位とは、売買契約における取引先が倒産する場合、自社から納入した商品によって発生した債務者が保有する売掛金債権(他社の会社へ転売したが回収できていない)を優先的に差し押さえすることができる権利になります。

詳しくは「動産売買先特許権による物上代位」を参考にしてください。

まとめ

債権回収を想定して、連帯保証人を事前に設けておくことは効果的です。連帯保証人の取得、連帯保証人から債権回収をする上で当記事を参考にしていただけたらと思います。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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本記事はベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ債権回収(旧:債権回収弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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