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事業承継においてm&aをする目的と他の事業承継との比べた時のメリット

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事業承継においてm&aをする目的と他の事業承継との比べた時のメリット

昨今、中小企業の多くが、経営者の高齢化問題を抱えています。経営者は、自身が亡くなる前に、引退の準備をしなければなりませんが、上場していない企業の場合、後継者を見つけるか、廃業する以外に、経営者が引退する方法はありません。

しかし、少子高齢化の影響により後継者が見つからない企業が多くなってきています。後継者が見つからない場合、廃業も視野に入れなければなりませんが、近年、事業承継問題を解決するためにm&a(他社からの買収)が注目を集めています。

図引用:「中小企業白書(2013年)|中小企業庁

今回の記事では経営者がどのような目的で他社から買収(m&a)されることを選択するのか、m&aを利用するメリットについてまとめました。

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事業承継におけるm&a(合併・買収)とは

まず、事業承継の際にm&aという場合、自社を他社に買収してもらうことを意味する場合が多いといえます。

合併

このような買収方法は、大きく分けて合併と株式譲渡に分けることができます(これ以外にも会社分割や事業譲渡などがあります。)。ここではこの2つに絞ってそれぞれの特徴を確認していきましょう。まず、合併とは、2つの会社が融合して一つの会社になることです。

この場合、自社(消滅会社)の権利義務関係は、譲渡先会社(存続会社)に包括的に承継されます。また、消滅会社の株主は合意した株主比率で存続会社の株式を保有することになります。上記の通り、権利義務関係はその一切が承継されますので、資産、負債はそのまま譲渡先の会社が引き継ぐことになり、元の従業員の雇用も同じ条件のまま保持されます。

株式譲渡

株式譲渡とは、自社の株式を全て他社へ買い取ってもらう行為です。結果、当該他社は、自社の新たな株主として、自社の経営権を取得することになります。なお、この場合、自社の資本関係に変動が生じるのみで、その権利義務関係には変動が生じませんので、合併と同様に従前の取引関係は基本的に保持されますし、従業員の雇用も維持されます。

事業承継においてm&aを利用する目的と理由

続いて事業承継する上で、中小企業の経営者が他社へ自社を売却(m&a)する目的について確認していきましょう。

経営者の高齢化による後継者問題の解決

近年、m&aによる事業継承がトレンドになってきましたが、従来は経営者の親族(子供)、社内の人間に事業継承させることが当たり前でした。しかし、少子化問題や、仕事に対する価値観が変化してきているため、そもそも経営者に子供がいない、子供が後を継ぎたがらないなど従来の常識が現代では通用しなくなってきました。

後継者が身の周りにいないことから、事業継承という問題を先送りにした結果、中小企業には高齢化した経営者が沢山います。しかし、上場していない企業の場合、経営者が引退するためには承継者を設けるか会社を畳まなければなりません。

できれば廃業は避けたいという思いから、事業承継問題を解決する手段として近年、他社に自社を買収(m&a)してもらう選択が取られるようになってきました。

会社を存続させる上でリスクが少ないから

社外の人間に自社の経営を任せることを快く思わないかもしれませんが、買収してもらうことは結果的に買収される会社にとってプラスの要素が沢山あります。

買取先の会社は、会社を買収するぐらいの資産があるため、譲渡先の会社の経営は安定していることが多く、譲渡先による資本投入の結果、経営状態が良くなることが期待できるかもしれません。また、優秀な経営者に会社を譲渡すれば、自社の従業員の成長や、既存事業の発展に繋がる可能性も含んでいます。
 

他の事業承継と比べた時のm&aの優位性

事業承継問題を解決する手段として他社へ買収(m&a)してもらう以外に、上場、後継者への承継、廃業という選択肢があります。m&aと比較した時のそれぞれの特徴を確認していきましょう。

上場

まず、上場とは証券取引所で自社の株式を売買される状態に持って行くことです。自社の株式が証券取引所という市場で処分可能になりますので、経営者は上場後に引退する場合、市場で株式を全て処分することができますし、これによるキャピタルゲインも大いに期待できます。

上場のデメリット:クリアすべきハードルが高い

しかし、企業を上場させるためには、自社の利益、株主数、株式の時価総額、事業継続年数など一定の基準をクリアしなければなりません。そのため事業承継問題を解決する目的で上場を選択できる会社は限られています。

その反面、自社の売却(m&a)は買取先の企業が見つけるだけで事が足りるため、利用できる会社の幅が広いです。

上場のメリット:キャピタルゲインが期待できる。

上場の最大のメリットは、保有株式を市場で処分できるということです。非上場株は買取先を探すのに非常に苦労しますが、上場株は市場内で取引されるため買取先を探す必要がありません。これは上場のメリットと言えるでしょう。

後継者への承継

親族、自社の人間に会社の経営を継がせたいと考える経営者の方は多いです。

後継者のへの承継する上での問題点①:経営者としての能力が足りない

しかし、後継ぎをさせたい候補者がそもそも経営に向いていないことがあります。それは優秀な社員であっても、経営者として能力を発揮できるかは別問題だからです。その点、m&aは、優秀な経営者のいる企業に買収(m&a)してもらえば問題ありません。

後継者のへの承継する上での問題点②:株式の資金繰り

また、後継者が経営権を握るためには、後継者が保有する自社の株の保有率を高くすることが必要です。経営者サイドが、経営権を握る上で十分な株式を後継者へ譲渡できれば問題ありませんが、十分な株式を用意できない場合があります。

例えば、経営者が3割の株式を所有しているが、候補者へ経営権を引き継がせることに反対する人間が合計で4割の株式を保有している場合を想定してください。この場合、後継者に経営の実権を握らせるのが難しくなるため、株式を買い集めることで株の保有率を高める事が必要です。

しかし、株式を買うための資金が用意できない(融資を受けられない)、または、株主が株式を売ってくれない場合があります。さらに、候補者が経営権を引き継ぐことができても、元の経営者が銀行融資の連帯保証から外れることができないという可能性もあります。

他社へ会社を売却(m&a)してもらった場合、資金繰りの問題も解決できる上に、連帯保証の処理についても交渉する余地があろうかと思われます

後継者へ承継をするメリット

反対に候補者に事業承継をさせるメリットは、「事業を円滑に継承できる」、「元の経営者は引退後も経営に深く関わることが可能」の2点です。m&aは社外の人間が参入してくるため、新しく経営に関わる方が、元々、自社にいる従業員と折り合いをつけなければなりません。

廃業

事業承継問題において経営者が最も避けたい事態が廃業です。当然ながら従業員は失業者となるため、従業員は新しい雇用先を探さなければなりません。また、社内の事業に関わっていた取引先にも深い影響を与えることになります。

負債が残っている場合は清算も必要となるので、廃業のリスクを負うぐらいなら他社へ買収(m&a)してもらう方が建設的です。

m&aによって事業承継する上で必要なこと

事業承継問題を解決する上で、他社へ売却(m&a)するためにはどうすればいいのでしょうか。

早期の段階から準備を進める

他社への売却(m&a)を成功させる上で、なるべく早い内に、売却の準備を進めるべきです。買主にとっては大きな買い物となりますので、対象会社の情報をつぶさに確認する必要があります。そのため、対象会社においては自社の情報を整理したり、財務状況を洗い出しておく必要があります。

 

取引先・従業員へ誤解を生まないようにする

他社へ買い取り(m&a)される事実が、思いも寄らない形で従業員や取引先へ知れ渡った場合、良からぬ誤解を生む可能性があります。良からぬ誤解を生まないために、従業員への情報開示のタイミングや説明方法については細心の注意が必要でしょう。

自社のブランド力を高める

自社を買い取り(m&a)たい候補者を少しでも多く増やすために、自社のブランド力を高めることは必須でしょう。

自社の強みを明確にする

そのために、まずは自社ならではの強みを知る必要があります。自社商材の魅力や、各社員のパフォーマンス能力など、自社を買い取りするメリットを一度、整理してください。

社内の統制をしっかりする

また、買い取り側にとって、買い取り後に事業を円滑に進めることができるかどうかは、気になるポイントです。買い取り側の不安を払拭するためにも、売却する段階で、自社内の統率が良くとれていることは好ましい状況です。

自社内を統率させるためにも、各社員の役割を明確にすることをオススメします。また、改善するのが難しい社内の良くない点に関しては、他社へ正直に伝えてください。社内の状況を明らかにすることで、相手企業からの信頼を得やすくなるからです。

買い手のニーズを考える

こちら側の条件と、譲渡先の企業のニーズをマッチングさせるためには、候補者達がどのような意図で会社を買収(m&a)するのかを確かめる必要があります。

既存事業の強化

買収の目的は「社内の既存事業の強化」や「社内事業の多角化」などがあげられます。前者の場合は、顧客、人員、ノウハウ、人脈などを吸収することで既存事業を発展させることが買取先のニーズです。

事業の多角化

新規事業を軌道に乗せるまでには、ある程度の労力と時間を割かなければならなりません。事業を多角化する上で、新規事業を立ち上げるよりも、すでに実績のある既存事業を買収した方が効率的です。買収することで、すでに実績のある既存事業を自社に取り入れる会社もあります。

シナジー効果の出るマッチングかどうかを考える

m&aを成功させるためには、買い手と売り手の双方に利益が生まれる、買い手を見つけることが必要です。例えば、A社は法人営業が得意だけど売り込むための魅力的な自社製品がない、B社はWebデザインが得意だけど売り込むための法人に対する営業力がない場合を想定してください。

A社とB社の強みがお互いの弱点を補完すれば、法人営業とWebデザインの両方に強くなることができます。

 

事業承継やm&aについて相談可能な専門家

最後に、事業承継やm&aに関する課題は会社によってそれぞれです。そのため、当コラムでは、各会社が抱える問題を全て補うことは難しいでしょう。そこで各会社の解決方法について相談可能な専門家を紹介します。

税理士

親族へ会社を引き継がせた場合、旧経営者が亡くなった場合に、会社を引き継いだ親族へ発生する相続税の負担を減らすために、事前に手を打たなければなりません。承継者は旧経営者から株式を相続することになりますが、株式は会社の経営状態によっては高額な財産であるため、高額な相続税が発生する恐れがあります。

納税額を安くするためにも税理士に相談することは必要です。

銀行

他社から買い取り(m&a)してもらう上で、融資先の銀行から相談するのもありだと思います。銀行側も貸したお金を回収するために、協力的に対応してもらえるかもしれないからです。

弁護士

法人関連に特化した弁護士へ相談することで、事業承継をする上で自社の抱える問題点や、解決に向けた方向性を提示してもらえます。また、弁護士に依頼することで事業承継をスムーズに進めることも可能です。

まとめ

事業承継の問題を解決する上で当コラムを参考にしていただければと思います。また、今回の記事ではm&aについて紹介しましたが、会社によって事業承継問題の解決方法は異なるため、詳しくは、弁護士、税理士などの専門家へ相談しましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤 康二 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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