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2024年から新NISAが始まり、投資に関心を持つ方が増えてきています。
投資を始めたばかりの方は、特にインターネット上で横行している投資詐欺に騙されないように注意すべきです。
投資詐欺のよくある手口を理解し、日頃から警戒しておきましょう。
また、万が一投資詐欺の被害に遭ってしまったら、速やかに弁護士へご相談ください。
本記事では投資詐欺について、よくある手口・被害事例・騙されないための注意点・被害に遭ってしまった場合の対応などを解説します。
投資詐欺についての理解を深めたい方や、実際に投資詐欺に巻き込まれてしまった方は参考にしてください。
投資詐欺は、さまざまな方法でおこなわれています。そのすべてを列挙することはできませんが、ここでは代表的な投資詐欺の手口を12個紹介します。
各手口に当てはまるような勧誘には、絶対に応じないようにしてください。
投資詐欺の勧誘は、SNS(X、Instagramなど)のDMを通じておこなわれるケースが多いです。
主に投資初心者をターゲットとして、「ここだけの話」「めちゃくちゃ儲かります」などと甘い言葉で投資詐欺に誘い込みます。
SNSで見知らぬ人から投資の勧誘を受けたら、まず投資詐欺を疑いましょう。
投資詐欺には、複数の詐欺師が協力して被害者を騙すパターンもあります。
たとえばカフェの一角で、直接勧誘する人・成功者としての体験談を語る人・スキームの主宰者などの役割分担をして、入れ代わり立ち代わり被害者を勧誘するようなケースが典型例です。
このような劇場型投資詐欺は、被害者をその場の雰囲気に押し流し、よく分からないまま契約を締結させることを目的としているので、強く警戒しましょう。
投資セミナーを開催して、詐欺的な金融商品への投資を促す手口も横行しています。
投資セミナーでは、投資初心者に向けた基礎知識の解説などに、投資詐欺への勧誘を紛れ込ませるパターンが多いです。
また、セミナー主宰者側が「絶対にみんなで金持ちになろう!」などと参加者を煽り、一種の催眠状態に陥らせたうえで契約を締結させる例がよく見られます。
このような投資セミナーで販売される金融商品を購入しても、主宰者側が儲かるだけで、参加者側が儲かるケースはほとんどないことを知っておきましょう。
「ポンジスキーム」とは、資産運用をおこなうと偽って出資者から資金を集め、実際には既存の出資者に支払う配当金に回すという投資詐欺の手法です。
出資者が増えているうちは「配当金」がもらえるため、最初はまともな投資に思えますが、出資者の増加が鈍くなった時点で必ず破綻します。
SNS型・劇場型・投資セミナー型の勧誘では、ポンジスキームへの投資を勧誘するケースも多いのでご注意ください。
「バイナリーオプション」という金融商品を悪用した投資詐欺(=バイナリー投資詐欺)も散見されます。
バイナリーオプションとは、購入から一定期間後の時点にかけて、為替相場や株価指数などが上昇しているか、それとも下落しているかを予想するオプション取引です。
当たっていれば出資金の2倍近いお金を貰えますが、外れればゼロになります。
バイナリー投資詐欺の典型例は、バイナリーオプションの必勝法を教えると称して高額の情報商材やツールを売りつけるというものです。
しかし、販売される情報商材やツールは役に立たないものが大半で、購入者は損失を被ってしまいます。
2017年ごろから爆発的に流行した仮想通貨(暗号資産)への投資を勧誘する詐欺も横行しています。
仮想通貨取引のすべてが詐欺的というわけではなく、ビットコイン(Bitcoin)やイーサリアム(Ethereum)のように、金融庁の登録を受けた暗号資産交換業者が取り扱っているものもあります。
しかし、ほとんど誰も知らないような仮想通貨や、そもそも発行が決まっていない仮想通貨への投資を勧誘する詐欺グループが存在します。
このような詐欺グループの勧誘に応じてしまうと、出資金を丸ごと失ってしまう可能性が高いので注意が必要です。
また、「出資してくれれば、仮想通貨で運用して増やすことができる」などと勧誘する詐欺グループも見られます。
このような勧誘は、ポンジスキームをはじめとする不正なスキームによって出資者から搾取しようとするものであるため、絶対に応じてはいけません。
メッセージアプリの「LINE」を通じて、「投資に関するお得な情報」などと称して詐欺の勧誘がおこなわれるケースもあります。
1対1のメッセージ、グループトーク、オープンチャットなど、さまざまな形でLINEを活用した投資詐欺の被害が報告されているのでご注意ください。
上場株式とは異なり、未公開株式には取引相場がないため、客観的な価値が非常に分かりにくいです。
このような未公開株式の特徴を悪用して、無価値の未公開株式を売りつけようとする投資詐欺が横行しています。
「上場株式の利回りはたかが知れている」「未公開株式は夢がある」などと言われて未公開株式への投資を勧誘されたら、詐欺の可能性を疑いましょう。
投資詐欺の被害に遭った人をターゲットに、詐欺による損失を取り戻すためと称して、別の詐欺的な金融商品を購入させようとする例も報告されています。
詐欺被害で精神的に弱った人をターゲットにする点で非常に悪質です。
投資詐欺の被害に遭った人に対して、金融庁や消費生活センターの名称を騙って「被害の調査をおこなっている」「被害者にアドバイスをしている」などと安心させ、新たに詐欺的な金融商品を購入させようとする例もあります。
被害回復型詐欺の一類型ですが、公的機関を装って被害者を安心させようとする巧妙な手口を用いている点で、より悪質といえるでしょう。
被害者を違法行為の当事者に仕立て上げ、責任を回避しようとする心理に付け込んで金銭をだまし取る詐欺を働く業者も存在します。
典型的な手口は、被害者にいわゆる「名義貸し」をさせるというものです。
詐欺グループは被害者に対して、自分の代わりに被害者の名義で金融商品を購入してくれれば、一定の金額をキックバックするなどと提案します。
被害者が承諾すると、詐欺グループは「名義貸しは違法だった」などと言って、違法行為を免れるためにお金を宅配便等で送るように指示します。
被害者が指示に従ってお金を送ると、詐欺グループとの連絡が取れなくなります。
このような名義貸し型詐欺は、被害者の知識不足や罪の意識に付け込んでお金をだまし取ろうとする悪質な手口です。
恋愛感情を利用した投資詐欺も横行しています。
詐欺グループは、SNSなどを通じて異性の被害者に近づき、言葉巧みに恋愛感情を掻き立てて親密になります。
ある程度関係性が深まった時点で投資話を持ち掛け、多額の金銭を騙し取ります。
被害者としては、投資話を怪しいと思ったとしても、相手との関係性が壊れることをおそれて断り切れないケースが多いです。
しかし結局、勧誘に応じて投資をした途端に相手との連絡が途絶え、被害者は金銭的にも精神的にも大きなダメージを負ってしまいます。
行政機関のウェブサイトで公表され、または報道された投資詐欺の被害事例のうち、以下の3つを紹介します。
30代の女性が、マッチングアプリで自称外国人経営者の男性と出会い、メッセージ上で懇意なやり取りを続けていました。
女性は男性から、将来のために自分が紹介する投資サイトで投資するように何日も説得を受け、断り切れずに投資を始めました。
少額を投資したところ利益が出て出金でき、さらに元金を増やせば儲けも増えると説得されたため、銀行や消費者金融から借り入れをして合計約500万円の投資をおこないました。
女性が出金しようとしたところ、利益を含めた総資産の15%に当たる180万円を保証金として支払う必要があると言われました。
保証金の調達について女性が男性に相談していたところ、男性との連絡が途絶えてしまいました。
60代の女性が、SNS上で知り合った男性から仮想通貨(暗号資産)への投資を持ち掛けられ、詐欺グループのSNSアカウントを紹介されました。
男性の話を信じた女性は、22回にわたり現金約1億5000万円を振り込みましたが、「引き出すのにも金がかかる」と言われて騙されたことに気づいたそうです。
60代の男性が、LINEグループで投資話を持ち掛けられました。
男性は、投資に詳しいという2人と個別にやりとりしたところ、指導のとおりに投資をすれば利益を得られると言われたので、FX取引の資金として約2010万円の現金を指定された口座に振り込みました。
投資アプリ上では利益が出たように見えたものの、出金ができなかったために被害が発覚しました。
投資詐欺グループに騙されないようにするためには、よくある投資詐欺の手口を踏まえて、日頃から警戒しておくことが大切です。
特に、以下のポイントに注意しておけば、投資詐欺に騙されるリスクを抑えられます。
投資詐欺グループは「絶対に儲かる」「元本保証高利回り」などの甘い言葉を用いて勧誘してくるケースが多いです。
しかし、投資のリターンはリスクと表裏一体であり、「絶対に儲かる」投資はあり得ません。
詐欺グループの甘い言葉を信じることなく、ご自身のリスク許容度に応じた堅実な投資を心がけましょう。
未公開株式や私募債(=特定少数の人に対して取得を勧誘する債券)への投資を勧誘されたら、まず詐欺ではないかと疑いましょう。
未公開株式や私募債の客観的な価値は分かりにくく、そのことを悪用した投資詐欺が横行しているためです。
たしかに、ベンチャー企業に出資して未公開株式を取得したところ、出資先が上場して大儲けしたという話がないわけではありません。
しかし、このようなケースはごく一部ですし、成功例についても、企業の経営者と出資者との間に強力な信頼関係が構築されているのが通常です。
見ず知らずの人に対して、利益を出せる可能性が高い未公開株式や私募債の取得を勧誘することはまずあり得ません。
SNSなどを通じて未公開株式や私募債の取得を勧誘されたら、詐欺の可能性が高いと心得ましょう。
聞いたこともない名前の業者から投資の勧誘を受けたら、詐欺の可能性を疑いましょう。
自社株を発行する場合などを除き、有価証券の取得を勧誘する際には、対応する金融商品取引業(第一種金融商品取引業または第二種金融商品取引業)につき、金融庁の登録を受ける必要があります。
また、投資先についてアドバイス(助言)をするためには投資助言・代理業、出資金を預かって運用するためには投資運用業の登録が必要です。
各種金融商品取引業の登録を受けている業者は、金融庁のウェブサイトに掲載されています。
無登録の業者から投資の勧誘を受けた場合は、詐欺の可能性が高いのでご注意ください。
また、「自社に出資してほしい」という勧誘についても、その会社の実態が分からない状態で応じるべきではありません。
見ず知らずの会社から出資を求められても、応じないようにしましょう。
LINEやDiscordなどで立ち上げられている投資関連のチャットやコミュニティでは、詐欺的な金融商品の勧誘がおこなわれているケースがあります。
著名人やインフルエンサーなどの影響力を利用して集客し、大規模な詐欺スキームを運用している業者も存在します。
投資関連のチャットやコミュニティで得られる情報を参考にするのは構いませんが、それが信頼できるものであるかどうかは慎重に検討しなければなりません。
特に、個別の金融商品への投資を勧誘された場合には、詐欺ではないかと疑いましょう。
投資詐欺グループは、「今だけ!」「あなただけ特別!」など、投資しなければ損をするかのように錯覚させる勧誘文句を用いることが多いです。
しかし、勧誘文句が金融商品の実態を表しているケースは稀で、実際には粗悪な金融商品であるケースが少なくありません。
出資を煽るような勧誘文句に騙されず、本当に投資すべきかどうかを慎重に判断しましょう。
SNSなどを通じて怪しい投資勧誘を受けたら、行政機関や自主規制機関などへ通報しましょう。
<主な通報先>
万が一投資詐欺の被害に遭ってしまったら、速やかに以下の対応をおこなって被害の回復を図りましょう。
投資詐欺に当たる勧誘によって締結させられた契約は、特定商取引法によって規制されている「連鎖販売取引」に該当することがあります。
連鎖販売取引に当たる契約は、契約締結書面の交付後20日以内であれば、ペナルティなしでクーリング・オフができます。
また、契約締結書面の交付を受けていなければ、時期にかかわらずクーリング・オフが可能です。
また、契約締結書面の交付から20日が経過したとしても、将来にわたって契約を解除することはいつでもできます。
連鎖販売取引に当たらなくても、勧誘方法等によってはクーリング・オフが認められることもあります。
クーリング・オフをすれば返金を請求できるので、速やかにクーリング・オフの可否を確認しましょう。
投資詐欺に遭ったのではないかと感じた場合には、業者とのやり取りの内容をすべて保存しておきましょう。
後に弁護士へ相談する際、また返金請求や刑事告訴をおこなう際に利用できます。
また、同じような投資詐欺に遭っている人がいるかどうか、インターネット上などで情報を収集しましょう。
同種の被害報告が多数みられる場合には、詐欺の可能性が高いと判断すべきです。
すでに詐欺グループへ資金を預けてしまった場合には、詐欺グループに連絡して返金を求めましょう。
対応が遅れると、詐欺グループが倒産して出資金を回収できなくなるおそれがあるので、速やかな対応が求められます。
早い段階で弁護士に相談し、返金交渉を依頼しましょう。
詐欺グループがすんなり出資金の返還に応じるケースは稀で、実際には返金を拒まれるケースが多いです。
その場合は、訴訟などの法的手続きを通じて回収を図りましょう。詐欺グループに対して訴訟を提起する際には、弁護士を訴訟代理人とすることをおすすめします。
詐欺グループに対して、銀行口座を通じて出資金を振り込んだ場合には、振り込め詐欺救済法に基づく救済を受けられることがあります。
金融機関へ投資詐欺の被害を届け出ると、振込先の口座が凍結され、その残高から分配金の支払いを受けられます。
ただし、すでに詐欺グループが出資金を出金していると、振り込め詐欺救済法に基づく分配金は受け取れません。そのため、金融機関に対する届出は直ちにおこないましょう。
投資詐欺によって資金をだまし取る行為は、詐欺罪(刑法246条)などの犯罪に当たります。
出資金を振り込んだ先の金融機関とともに警察にも連絡して、被害届を提出しましょう。
投資詐欺の被害金を回収するためには、詐欺グループが出資金を出金したり、倒産したりする前に対応しなければなりません。そのため、なるべく早く弁護士に相談することが大切です。
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