1. 事業承継の対策が必要な理由と株式や相続税対策

事業承継の対策が必要な理由と株式や相続税対策

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2018.4.16
債権回収 その他の回収方法 弁護士監修記事
S_taisaku

中小企業の経営者で、引退したら親族または社内の人間に事業承継させたいと考えている方は多いでしょう。しかしながら、昨今、事業を承継させたい候補者が見つからないため引退を検討しつつも先送りにしている高齢の経営者は少なくありません。


少子高齢化の影響もあり、昔と比べて候補者を見つけにくい時代ですが、事業継承をするためには事前の対策が必要になります。

 

事業承継を行うにあたり、どのような対策が必要なのでしょうか?

また、対策にあたってどのような準備が必要なのでしょう?

候補者へ事業継承させる上でさまざまな問題と直面しますが、今回の記事では希望の候補者へ事業を承継させるために必要な知識についてまとめました。

 

早いうちからの事業承継の対策が必要な理由

冒頭でも述べました通り、現代は事業承継の候補者を見つけにくい時代。希望に叶った候補者へ会社を継がせるためにも、早期の段階から事業承継の対策に取り掛かるべきです。

 

後継者の確保が困難になるから

事業承継をする際、いちばんの問題点が『後継者がいない』ということ。

引用:帝国データ 後継者問題に関する企業の実態調査

こちらの表からもわかるように、社長が高齢になるにつれて後継者不在率が高まっています。つまり、早いうちから後継者を確保する必要性があるということですね。

 

高齢になるにつれて適切な判断が下せなくなる恐れがある

高齢になると気力や体力が衰えてくることが考えられます。事業承継について適切な判断を下せるかどうかも懸念材料ですね。

 

経営者の理念や想いをしっかりと承継していくために、経営者自身が若いうちからしっかりと対策をとっておくことが望ましいでしょう。

 

事業承継問題を先送りすることで起こりうるリスク

上場していない企業の経営者が引退をするためには、事業承継をする候補者を見つけることが必須です。候補者が見つからない結果、廃業を余儀なくされた経営者は少なくありません。



廃業になると当然ながら従業員は新しい雇用先が確保できず失業者となりますし、取引先にも影響がでます。また、親族が会社の借金の保証人になっているケースは珍しくありませんが、廃業後も事業について債務が残る場合、保証人として当該債務について弁済する義務が続くことになります。



廃業した中小企業の経営者の多くは高齢者だと言われています。これは事業承継の問題を先送りにしたためでしょう。候補者に事業承継をさせるためには自身の体力に余裕のあるうちに行うべきです。

 

事業承継に関してよくある疑問

それではここで、事業承継に関してよくある疑問をご紹介していきます。

 

事業承継の対策はどのような順序で行えばよいのか?

確実に事業承継を成功させるために、弁護士に依頼するのも有効です。弁護士に依頼することで道筋が明確になり、適切な判断ができるでしょう。また、無駄な時間を省くこともできます。

 

こちらの記事を参考に、弁護士への依頼もぜひ検討してみてください。

【関連記事】

 事業承継を弁護士に依頼するメリットと事業承継の手順の流れ

 

親族内の事業承継を円滑に行うためには?

事業承継を円滑に行うために、まずは会社をどのように成長させていきたいのかを考え、事業計画書を作成するといいでしょう。具体的に書き出すことにより、事業承継を行う目的が明確となるので、目的に沿った事業承継を行うことが期待できます。

【関連記事】

事業承継とは|事業継承を行う際に押さえておく5つの知識

 

親族外でも事業承継はできるのか?

引用元:中小企業庁「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会(第1回)

 

こちらの表からもわかるように、経営者の在任期間が35年以上40年未満の企業では、事業承継は親族内承継がおよそ93%、親族外承継がおよそ7%でしたが、0年以上5年未満の企業は親族内承継がおよそ34%、親族外承継がおよそ66%と、その数値を大幅に逆転しています。

 

このうちM&A承継がおよそ39%ということで、親族外の事業承継が主流になりつつある様子が伺えます。

 

事業承継を行う際にかかる税金は?

事業承継を行う際にどれだけの税金がかかるかということも、気になるところだと思います。

これは事業承継をする時期により、その額が若干変わってくるのですが、こちらの記事に詳しく記載されていますので、ぜひご参考ください。

【関連記事】

事業承継対策の基本的な考え方|準備が早ければ早いほど効果が高い?

 

相続人に債務を受け継がせたくない(相続人が受け継ぎたくない)場合はどうすればよいのか?

相続人に債務を受け継がせたくない、または相続人が受け継ぎたくないという場合には、相続放棄をすることで、被相続人の債務の継承をしなくても済むようになります。

 

しかし、相続放棄をすることで債務だけでなく、一切の遺産を相続できなくなってしまいます。事前に被相続人が生前贈与をする、または被相続人の生命保険の受取人を、債務を受け継ぐことになる相続人に設定し、相殺できるようにするなどしてあらかじめ対策を行うとよいでしょう。

 

株式はどう配分するべきなのか?

事業承継を行う際は、株式の配分もしっかりと対策をとる必要があります。

 

こちらも早めに対策をとっておくことが大切です。後継者にしっかりと株式を配分するためにも理解しておくべきでしょう。

 

株式の配分について、詳しくはこちらの記事もご覧ください。

 

【外部サイト:債権回収弁護士ナビ】

事業承継者へ株式を相続させる上で気を付けておくべきポイントまとめ

 

権利の承継はどうすればよいのか?

事業承継を行うことにより、その会社の事業が後継者へと承継されます。事業に付随して生じるさまざまな権利についても適切な手続きを取れば承継可能です。

 

株式を譲渡・承継する場合

株式を譲渡、承継すると、法人に帰属する権利に対する支配権は譲渡人から譲受人にそのまま移転します。株式譲渡について適切な手続きを取っていれば、法人の権利について権利移転の手続きは基本的に必要ありません (契約上支配権の変動について通知義務が定められている場合がありますので、その点は注意しましょう)。

 

権利を包括的に譲渡・承継する場合

ある法人を別の法人と合併させたり、会社分割すると、法人の権利・義務は包括的に承継されます。

 

この場合も、当該合併・会社分割にかかわる法定の手続きを行っていれば、各権利について個別の移転・承継手続きを取る必要はありません(契約で別途通知義務等がある場合は注意です)。

 

権利を個別に譲渡・承継する場合

法人の保有する権利を個別に譲渡・承継する場合には、各権利について個別の移転手続(権利譲渡の合意、移転登記等)を行う必要があります。

 

【関連記事】

相続した不動産の登記申請手続|相続登記をしなかった場合のデメリット

 

後継者への事業承継対策に必要な3つのステップ

では、実際に事業承継対策をする上で必要なステップを確認していきましょう。

 

承継者の候補の確認

まず、親族・社内の人間から事業承継の人選を行っていきます。人選を行う上で、確認するポイントは、

  • 社内の事業内容に対する理解力
  • 時代への柔軟性
  • 経営能力

 
の3点です。

 

社内の事業内容に対する理解力

社内の事業を発展させるためには、当然ながら事業内容を客観的な視点から良い面、悪い面の双方を理解することが大切です。

 

時代への柔軟性

経営者が高齢化していく上で最も危険なことは、過去の成功モデルから抜け出せないまま従来のやり方を変えないこと。その業界内における常識や適した経営方法は時代の流れと共に変化していきます。



自社の事業の悪い面を払拭するためには、変更すべきロールモデルは変更し、事業の良い面を前面に押し出せるだけの柔軟性が新しい経営者には求められます。

 

経営能力

個人のプレイヤーとして優秀な社員が、経営者として優秀とは限りません。同部署の人間を引率する能力や、他の部署や取引先と円滑に仕事をする能力など、リーダーシップをとる上で必要な能力があるか見極めましょう。

 

株式対策

自身の希望する人材に事業継承させるためには、その候補者に自社株を高い保有率で所有してもらうことが必要です。



自社株の保有率の高さによって経営権を握れるかどうかが決まります。詳しくは、「後継者に事業承継させるための株式対策」にて解説します。

 

相続税対策:株価の引き下げ

候補者の株の保有率を高めるためには、経営者が自身で保有する株を候補者へ譲渡することが一般的です。しかしながら、経営者が亡くなった後、譲受した株の総額に応じて候補者へ相続税が発生するため、相続税対策を行わなければなりません。



少しでも候補者の相続税の負担を減らすためにも、自社の株価を下げるための施策が取られますが、『配当金の引下げ』『利益金額の引下げ』『簿価純資産の引下げ』の3つのどれかを行うことで株価を下げることができます。


この三者の中では、配当金の引下げが一番、現実的な方法になりますが、配当を行わないという方法により配当金の引下げが行われます。

また、利益金額の引下げはあまり実用的ではありません。簿価純資産の引下げは、含み損(買取時より評価額の低い不動産・債権など)の出ている資産を売却し、利益の低下を計上することで行われます。

 

後継者に事業承継させるための株式対策

では、先ほど紹介した事業継承する上で必要な株式対策について確認していきましょう。

 

株式の保有状況を確認

まず、誰がどれくらいの保有率で株を所有しているのか、自社株の保有状況を確認しましょう。先ほども述べた通り、候補者の株の保有率を高くすることによって、取締役会における解任、任命の決議が容易になります。



株式を譲渡する経営者が、候補者に事業継承するのに事足りる株式を所有している場合は以下で紹介する方法は読み飛ばしてください。

 

自社株式の買取

もし所有していない場合は、足りない分の保有率を埋めるだけの株式の買取の手続きを検討してはいかがでしょう。しかしながら、“株価が高い”、“株主が株を手放さない”などの問題により株の売買が容易にいかないケースも珍しくありません。



前者の問題に対して、株価を引下げた上で株を買い取る手法も取られるようですが、上記でご紹介した株価の引下げの方法は、あくまで相続税上の対策として紹介しているため、詳しくは税理士や弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。



また、後者の問題に関しては事前に株主から円滑に株式を買取ができるよう良好な関係を築くことが求められます。

 

第三者割当増資

株の保有率を高めるために新たに株を発行するのも一つの手段です。新たに発行した株を経営者や候補者へ割り当てることで全体の株の保有率を高めることができます。

 

事業承継に有利な種類株式を設定する

保有者の権限が異なる種類株式を発行することは、株主総会におけるイニシアチブを取る上で、事業承継を容易にする一つの手段です。

 

議決権制限株式

事業承継は、『議決権制限株式』『取得条項付株式』『拒否権付株式』の3つに分けることができます。議決権制限株式は、株主の議決権を制限するための株式であり、後継者以外の株主の議決権を制限することで後継者が議決権を行使しやすくなります。

 

取得条項付株式

取得条項付株式は会社が株主の所有株を買い取るための株式です。取得条項付株式を買い取ることで、後継者の株の保有率を高めることができますが、一定の事由が生じたことを条件に買い取りが可能になります。

 

拒否権付株式

拒否権付株式は、株式の保有率に関わらず株主総会における決議を否決することができる株式です。拒否権付株式を発行することで、株主総会における権限を集中させることができます。

 

その他の事業承継の方法

候補者に事業承継させることが難しい会社の経営者の方が、廃業以外の手段によって引退をするための方法について紹介していきます。

 

上場する

上場企業とは自社の株式が証券取引所で扱われる状況下にある会社です。英語圏では上場した企業のことをPublic Companyと訳しており、つまり会社を上場させると、会社が私的(private)なものから、公的(public)なものへ変わります。



公的なものであることから、上場企業は、経営者が会社を辞めた後でも会社が存続することが前提となっております。引退後も経営者は株主でいることができるので、経営に関わることも可能です。



そのため引退する手段として上場を検討する経営者は少なくありませんが、達成すべき項目が多いため上場可能な企業は限られてくるでしょう。

 

事業売却(他企業によるM&A)

経営者が引退する手段として、最近では他社への事業売却(M&A)が広く用いられるようになりました。資産だけでなく負債や従業員の雇用も譲渡先の企業が引き継いでくれる上に、融資を受ける際に抵当にかけた不動産、人的担保を解除することができます。



経営には関与することは難しくなりますが、リスクが少ない上に、売却先の企業の経営手腕によっては自社がより発展する可能性もあります。また、候補者へ事業承継させるのと同様に、上場、事業売却を成功させるためには早めの対策が必要です。

また、他社への売却(M&A)により事業承継させる方法として詳しくは以下の記事を参照にしてください。
 
参考:「事業承継問題を他社からのM&A(買取)によって解決するメリット

 

まとめ

後継者へ事業承継をさせることを検討している方は、早めの対策をすることが求められます。当記事で紹介した株式対策など細かい点については弁護士、税理士など専門家へ相談してください。

この記事を監修した法律事務所

Thum_umezawa
プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事は債権回収弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※債権回収弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。


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