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近年、振り込め詐欺の手口は巧妙化しており、お金を振り込んだあとに詐欺だと気づくケースもあるでしょう。
しかし、振り込め詐欺による被害金は、金融機関から返金してもらえる可能性があります。
本記事では、被害金を取り戻せる場合と取り戻すための流れなどについて解説します。
泣き寝入りをしないためにも、ぜひ最後まで読んでください。
詐欺だと気づかずお金を振り込んでしまった場合でも、一定の要件を満たせば、「振り込め詐欺救済法」によって返金してもらえる可能性があります。
まずは振り込め詐欺救済法の内容を確認し、振り込め詐欺救済法の対象となる事件の種類を押さえていきましょう。
振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)は、その名のとおり、振り込め詐欺の被害に遭った方を救済するための法律です。
同法では、一定の要件を満たす場合、騙されて振り込んでしまった先の口座を金融機関が凍結し、凍結した口座の残高を上限として、被害回復分配金を受け取ることができる旨、定められています。
被害金の分配を受けるには、同法で定められた所定の手続きが必要であり、また、分配される金額は凍結した口座残高を上限とするため、被害に遭った全額を返金してもらえるとは限りません。
振り込め詐欺被害救済法によって返金してもらえる可能性があるのは、口座への振り込みを利用した詐欺事件の被害者のみです。
具体的には、以下に挙げたケースに該当するようであれば、返金を受けられる可能性があります。
ただし、あくまで振込手続を利用してお金をだまし取られた場合の救済方法であり、現金を犯人に手渡した場合や犯人が指定した宛て先に現金を郵送した場合などのように、振り込み手続きを踏まずにお金をだまし取られてしまった場合には、同法の適用を受けることができません。
お金を振り込んでしまったあとに詐欺被害に気づいたら、以下の流れで返金手続きを進めましょう。
振り込め詐欺の被害に遭ったことに気づいたら、まずはすぐに警察に被害届を提出してください。
最寄りの警察署に直接足を運ぶか警察相談専用電話「#9110」に電話するとよいでしょう。
警察に連絡したあとは、犯人が振り込み先として指定した口座のある金融機関にも速やかに連絡しましょう。
連絡の際には、スムーズに対応してもらうためにも、以下の2点を伝えます。
連絡後は、金融機関が調査のうえ、振込先口座を凍結し、振り込め詐欺救済法に基づいた返金手続きを開始します。
なお、振り込め詐欺の被害に遭った場合の各金融機関の連絡先は、下記ページから調べることができます。
だまし取られたお金を返してもらうには、必要書類を提出し、返金を申請する必要があります。
所定の申請書のほか、資料を添付して振込先の金融機関に提出しましょう。
主な必要書類は以下のとおりです。
申請には一定の期間が設けられています。
具体的なスケジュールが知りたい場合は、申請先の金融機関に問い合わせるか、預金保険機構のWebサイトで確認するとよいでしょう。
申請期間が経過したあとは受け付けてもらえないため、必ず期間内に手続きをするよう注意してください。
申請期間経過後、金融機関が支払い該当者と支払い金額を決定し、被害金が返金されます。
返金は原則、口座への振り込みによっておこなわれます。
被害に遭った方にとって、「いつ、どれだけのお金を返金してもらえるのか」は最も気になるところでしょう。
ここでは、被害金の返金額と受け取り時期の目安について解説します。
返金の対象となるのは、口座凍結時点での振込先口座の残高です。
口座に残っているお金を、返金申請した人で、各自の被害金額に応じて按分することになります。
たとえば、次のようなケースについて考えてみましょう。
なお、犯人の口座の残高が1,000円未満であった場合は返金の対象にはなりません。
申請をしてから、実際に返金されるまでには半年程度の時間がかかります。
預金保険機構による公告の実施など、時間を要する法律手続きが必要であるためです。
振り込め詐欺の被害に遭ったことに気づいたら、警察や金融機関に届け出るだけでなく、弁護士にも相談することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、以下のようなメリットを受けることが期待できます。
被害分配金の返金申請は、自分でもおこなえます。
しかし、被害に遭った状況を具体的に説明する必要があったり、聞き慣れない言葉があったりして難しく思われることもあるでしょう。
被害分配金の返金申請は、代理人がおこなうこともできるため、弁護士に依頼すれば申請から任せられます。
自分では説明が難しい箇所も弁護士が適切に記載のうえ提出してくれるでしょう。
また、添付が必要な振込明細書をなくしてしまった場合でも問題ありません。
弁護士が代わりに被害に遭ったことを証明できる資料を入手し、対応してくれるでしょう。
弁護士に依頼すれば、加害者を特定できる可能性が高まります。
会社名や住所がわかれば、登記情報を取得するなどして調べてもらえますし、電話番号がわかれば弁護士会の照会制度を利用して素性を明らかにしてもらえる可能性もあります。
さらに犯人に連絡をし、直接交渉して被害金の返金を求めてもらえます。
犯人が応じなければ、訴訟提起をするなどの法的手段を講じることもできます。
これらの対応を弁護士に依頼することで、自分で手続きをするよりも返金してもらえる可能性が高まります。
詐欺罪は親告罪ではないため、必ずしも刑事告訴をする必要はありませんが、あえておこなうことで、示談交渉によってより多くの被害金を回収できる可能性が高まります。
刑事告訴は自分でもおこなえますが、要件を満たすのかを判断したり、告訴状などの書類を作成したりするなど、法律知識が必要な場面も少なくありません。
そのため、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。
振り込め詐欺救済法によって返金される可能性があるとはいえ、ご自身が望んだとおりの結果になるとは限りません。
返金請求にあたっては、以下の注意点についても押さえておきましょう。
返金の対象となるのは、振込先である犯人の口座の残高です。
犯人が全額を出金していれば、1円も返金されませんし、一部のみ出金されていた場合はその額が上限になります。
さらに、口座の残高が1,000円未満のケースは返還の対象ではありません。
また、複数人が返金申請をしていれば、申請した全員で被害額に応じて分け合います。
全員の被害金の合計額よりも犯人の口座残高が少なければ、全額の返金は不可能です。
被害金の返金申請には、犯人の口座にお金を振り込んだ事実がわかる証拠書類が必要です。
振込明細書を提出するのが望ましいところですが、紛失した場合は、明細を確認できる書類を用意しましょう。
どのような書類を準備すればよいのかわからない場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
ただし、準備した書類から犯人の口座がわからなければ、対象口座の特定ができません。
金融機関も手続きのしようがなく、返金を受けられないでしょう。
知らない間に申請期間が過ぎており、手続きができなかった場合は、残念ながら返金は受けられません。
手続きを確実に間に合わせるためにも、振り込め詐欺の被害に遭った場合は、早めに振込先金融機関に相談しておきましょう。
そうすることで、申請の受付期間が開始すれば連絡をもらえるはずです。
被害回復のチャンスを逃さないためにも、被害に気づいた時点で速やかに警察や金融機関へ通報・相談しましょう。
被害金は何としても返してほしいものです。
「自分の場合はどうなるのだろう?」と、疑問があるという方もいるでしょう。
ここでは詐欺の被害金の返金について、よくある質問とその回答を紹介します。
手渡しや、ゆうパックなどによる郵送など、振り込み以外の方法で犯人にお金を渡した場合は、振り込め詐欺救済法による返金の対象にはなりません。
この法律による手続きは、被害金が振り込まれている犯人の口座残高を被害者で分配するものだからです。
ほとんどの金融機関は、郵送でも申請を受け付けてくれると考えられます。
まずは、各金融機関が設けている相談窓口に問い合わせをしてみましょう。
振り込め詐欺の被害に気づいたら、可及的速やかに警察や金融機関へ相談しましょう。
少しでも多くの被害金を返却してもらうには、犯人が口座から出金する前に口座を凍結する必要があるからです。
素早い行動が、返金と事件解決につながります。
自分で手続きをすることに不安があったり、より多くの被害金の返却を望む場合は、弁護士への相談や依頼を検討するとよいでしょう。
弁護士に依頼すれば、代わりに手続きをしてもらえたり、犯人との示談交渉によってより多くの被害金を返却してもらえる可能性が高まったりするなどのメリットがあります。
振り込め詐欺被害に気づいたら、被害回復を図るためにも、速やかに行動しましょう。
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