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債権者(さいけんしゃ)とは、特定の人(法人を含む)に対して財産における行為を請求することができる人(法人を含む)です。
主に債権者と聞いて、金銭上のやり取りをイメージされる方が多いと思いますが、金銭に限らず、ある特定の物の引き渡しや行動などを主張することができる人も債権者の対象に含まれます。債権者という言葉を理解する上では、債権、債務者という言葉を理解することは欠かせないでしょう。
そこで今回の記事では債権者を理解するために、債権、債務者との関係性、また日常的な例を踏まえた債権者の例や、債権者に生じるトラブルが発生した場合における債権者が取るべき行動についてまとめました。
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冒頭でも説明しましたが、債権者について説明するために、債権と債務者について説明していきます。
債権とは、特定の人に対して特定の行動を要求することが権利であり、人に対して発生する権利です。
債権は契約上、発生しますが代表的なところをあげますと、お金の支払、物の引き渡しなどがありますが、債権者とはいわば債権を持つ人、つまりは、特定の人にそれらの行動を請求できる人を指す言葉になります。
逆に債務者とは、債権者から行動を請求される側の人を指す言葉であり、債権で求めてられている行動を実行に移す責任(債務)のある人を指す言葉です。
では債権者について解説したところで、日常的によるある債権者の例について確認していきましょう。
よくある例ですが、売買契約における債権者の例を確認していきますが、Aさんが、お店Bから商品Cを購入した場合の例を想定してください。Aさんとお店Bのどちらが債権者になるのか、今回のケースにおいては両者共に債権者です。
Aさんはお店Bへ商品Cの購入代金を支払う義務(債務)がある代わりに、商品Cを請求する権利(債権)があり、反対にお店BはAさんに商品を引き渡す義務がある代わりに、Aさんから代金を請求する権利があります。
つまりは、商品の引き渡しに関してAさんは債権者、代金支払に関してお店Bは債権者です。
商品の引き渡し |
代金支払 |
|
Aさん |
債権者 |
債務者 |
お店B |
債務者 |
債権者 |
次に金銭消費賃借契約における例をとって確認していきますが、金銭消費賃貸借契約とは、借入した金銭を消費することを目的に、貸主へ借主が借入金を返済するための契約であり、銀行や消費者金融などの借入をイメージしてください。
この場合、債権者は貸主のみになります。借主は借主に対して、貸付金の返済を請求する権利(債権)を持っており、借主は借入金の返済(債務)をしなければならず、今回のケースでは債務者です。
雇用契約における債権者の例を確認していきますが、株式会社Aと株式会社Aで働くBさんを想定してください。
この場合、株式会社AとBさんの両方が債権者になりますが、株式会社AはBさんに対して労働を請求する権利(債権)があり、反対にBさんに対しては給与を支払う義務(債務)があります。
また、Bさんは株式会社Aに対して給与を請求する権利(債権)がある代わりに、労働という対価(債務)を払わなければなりません。
|
労働 |
給与の支払 |
株式会社A |
債権者 |
債務者 |
Bさん |
債務者 |
債権者 |
もし債務者の方が、債務の弁済に応じなかった場合、どうすればいいのか債権者にとって気になるところです。そこで債務者から弁済に応じなかった場合に債権者が取れる行動についてまとめました。
まず、債務者の方と弁済内容について交渉の場を設けるべきですが、いきなり交渉の場を設けるのは難しいと思うので債務者の方へ催告書の通知を行います。
催告書の内容としては、債務者との契約内容、債務者の返済残高、支払いの期日・口座番号、返済に応じなかった場合の措置(法的手段)について含めるのがいいでしょう(参照:「内容証明郵便による催告」)。
また、通知をする際は内容証明郵便を使用するのが一般的ですが、内容証明郵便とは催告書の郵送事実を証明することができるため、訴訟へ発展した際に裁判に有効的です(参照:「内容証明郵便を介した債権譲渡の通知方法」)。
もし債務者が催告書に応じてくれた場合、債務者と交渉の場を設けることになります。
交渉の際は、弁済に応じなかった時点で、弁済する余裕がないことが伺えるため、「弁済期間の延長」、「弁済額の減額」など債務者に負担が少ない内容で交渉をすると話しがまとまりやすくなるでしょう。
交渉の内容がまとまり次第、債務者と弁済に関する契約書を交わして上で、公正役場にて公正証書を作成します。
公正証書は、後に債務者が契約書の内容通りに弁済を行わなかった場合、債務者の資産を差押え(強制執行)する上で必要な証書になります(参照:「③公正証書の作成(相手から同意を得られた場合)」)
もし、債務者が交渉に応じなかった場合は、法的手段によって債権回収をしましょう。
法的手段の中でも、民事調停は一番、簡易的な手続きになりますが、裁判所の指定した調停委員が、債権者と債務者の意見をまとめた調停調書を作成するための手続きです。
調停調書は、債務者の財産を差し押さえする上で必要な調書になりますが、債務者との意見に相違があった場合には成立しません。費用や時間がかからない代わりに、法的拘束力が弱いため債務者が出廷しないケースもしばしばあります。
支払督促は、民事調停と比べると手続きに手間と時間を要しますが、訴訟手続きと比べ手続きが簡易的なため利用者が多い法的手段です。
支払督促を通して、裁判所から債務者へ支払いの督促の通知が行われますが、債務者からの異論がない場合、仮執行宣言付支払督促を取得することができます。仮執行宣言付支払督促は債務者の財産を差押えるためにも強力な証書です。
【参考】
▶「支払い督促を介して仮執行宣言付支払督促を取得する方法」
▶「支払督促に必要な申立書の書き方と添付書類の作成方法まとめ」
法的手段においても、訴訟は一番、確実な債権回収の手段になりますが、その分、時間と費用がばかになりません。基本的に確定判決が下されることは第二審以降であり、第一審では仮執行宣言付判決が下されることが一般的です。
仮執行宣言付判決も債務名義であるため、債務者へ強制執行手続きをすることで財産を差押えることができます。また、60万円以下の金銭債権に限り、審理が1回の期日で完了する少額訴訟を行うことが可能です。
【参照】
▶「少額訴訟の金額と請求可能な金額|少額訴訟の条件と手続き」
▶「少額訴訟と通常訴訟の違い|通常訴訟への移行を回避する術」
民事訴訟や支払督促、訴訟が上手くいっても債権回収は終わりではありません。債務者がその後、弁済に応じれば話は別ですが、応じないことが多いため強制執行の手続きを通して債務者の資産を差押えることが一般的です。
強制執行の手続きは上記の法的手続きとは別に裁判所へ申立をしなければなりませんが、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【参照】
▶「強制執行で債権回収するために必要な知識のまとめ」
▶「強制執行で差し押さえするために必要な知識と方法のまとめ」
取引先の会社(債務者)から弁済される見込みのない債権を抱えている債権者(法人)の方は、債権譲渡を行うのも一つの手段です。債権譲渡とは、債権の内容を変えずに第三者へ債権を移転するための手続きであり債権回収においてよく用いられます。
債権者は、未回収の債権を弁済してもらうために、取引先の会社(債務者)が保有している債権を譲りうけることで、債務者に代わり譲り受けた債権の(第三)債務者から弁済を受けることができます。
債権譲渡には利用するための手順を踏まなければなりませんが、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【参照】
▶「債権譲渡で債権回収をするために必要な知識と手続きの手順」
▶「債権譲渡の通知の重要性と対抗要件を満たすための2つの方法」
弁済期日を超えている債権を抱えている場合、債務者に対して債権者代位権を行使しましょう。債権者代位権とは債務者所有の債権を、債務者に代わりに債権者が債務者の名義で行使することができる権利です。
行使するためには、「債務者が無資力であること」、「債務者への債権が金銭債権でありかつ弁済期を超えている」、「債務者がまだ債権代位権の対象になる債権を行使していなくかつ一身専属権ではない」ことが条件になります。
参照「債権者代位権を行使することで債権回収するための知識のまとめ」
未回収の債権を抱えた状態で、取引先の会社(債務者)が破産をしてしまうケースはよくあると思います。
債権回収という点において債権者の方にとって一番、避けたいシチュエーションの一つですが、債務者が破産してしまった場合、配当という形でした弁済を受けることができません。
配当金は換金した債務者の財産を元に、債務者の全員の債権者に配当されるため、元の債権額と比べると微々たるものになります。そこで、債務者が破産した場合、債権者が取れる行動についてまとめました。
まず、債務者の特定の財産に抵当をかけている債権者は、その財産おける担保権を行使しましょう。配当金は全員の債権者に対して平等に配当(債権額に応じて)されますが、抵当にかけている財産に関しては優先的に配当してもらうことができます。
少しでも多くの配当金を受け取るためにも、担保権者(財産に抵当をかけている債権者)は担保権を行使するべきです。
次に、破産する債務者へ債務を抱えている場合は、自身が債務者へ保持する債権を相殺させることで債務者への債務を帳消しにすることができます。
相殺権は、破産手続き後に行使することも可能であり、内容証明郵便を通知することで相殺することができるので簡易的な手続きです。
もし、相殺を行わった場合、債務者が保有する債権(自身の債務)が第三者へ渡ってしまうことや、または倒産手続きの中でも債務者が民事再生を行った場合、債務者の債務は免除されるのに、自身の債務は免除されません。
そのため債務者へ対して債務を抱えている債権者の方は、債務者が破産手続きをした場合は相殺をしましょう。
もし、保証人付きの債権を所有している場合、債権者は債務者に代わり保証人へ債権の弁済を請求することができます。
債務者が破産手続きを通して債務の免除が適用された場合でも、保証人への債務は免除されないため、保証人付きの債権を所有している債権者は、債務者が破産手続きを行った場合、保証人から債権回収をしましょう。
破産した会社へ債権回収する方法として代物弁済がありますが、代物弁済とは未回収の債権の代わりに、債務者が所有する納品物を対象に弁済してもらう方法です。
主には自社(債権者)から債務者への納品物が対象になりますが、できるだけ多くの債権回収を図るのであれば他者からの納品物も対象に入れるべきでしょう。
代物弁済をするにあたり、代物弁済契約書を債務者と交わす必要がありますが、他者の納品物を含める場合、他社製品の預り承諾書への同意が必要になります(参照:「代物弁済」)。
また債務者(取引先)が破産する際、自社(債権者)と債務者との売買契約から派生した、債務者が所有する別の取引先(第三債務者)への売掛金を優先的に差押える(動産売買先特許権による物上代位)ことが可能です。
例えると、自社(債権者)の商品Aを通して、取引先(債務者)が別の顧客へ販売していたと仮定します。この時、取引先から自社に対して商品Aに対する弁済が行われていませんが、同時に取引先から顧客へ商品Aを納品したのに関わらず商品の代金が弁済されていません。
この際、商品Aを挟んで自社は取引先へ商品Aの売掛金債権が発生していますが、同時に取引先から顧客に対しても売掛金債権が発生しています。
この場合、自社(債権者)は取引先(債務者)の商品Aに関する売掛金債権を優先的に差し押さえることができ、顧客(第三債務者)から直接、弁済を受けることができます。
また、動産売買先特許権は、担保権の一種であるため債権者は債務者と顧客(第三債務者)の同意を得る必要はありません。手続きの手順としては、裁判所へ債権差押さえの申立を行いますが、詳しくは「債権執行の申し立ての流れ」を参考にしてください。
参照:「動産売買先特許権による物上代位」
できるだけ早い債権回収が求められますが、借金が100万円以下の債権回収では費用倒れになるリスクが発生します。
どのような方法が最適かは、債権回収が得意な弁護士にご相談ください。
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